プロローグ  ……はぁ、はぁ、……はぁ、はあ……っ。  あの、パン屋、まだ追いかけて、きて……っ。  パン、たった、一個、だというのに……っ。あんなに、本気に、なるとは……っ。  私の……顔と、肌を、見て……思いっきり、馬鹿にしてきた、のに……っ。  自業自得、です……っ。  そんなに、私みたいな子が、憎い、ですか……っ!  痛(いた)……っ。つ、ぅ……。さっき、足、引っかけたところ、こんなに、切れてたんですね……。  出血が、ひどい……。  けど……我慢、しないと……。このままじゃ、捕まって……ひどい、目に……っ。下手すれば、また奴隷に、売られる……っ。  はぁ、はぁ……はぁ……。  あ……この家の扉、開いてる……人のいる家かな……  ……捕まるよりは、マシ、です。ここに入って、やり過ごす……っ。  ……はぁ、はぁ、はぁ……。  はぁ……ふぅ。  ひとまず、撒けた、でしょうか……。  ……さて、と……  二日ぶりの、まともな食事……。  あむ……っ。あむっ、あむっ、はぐっ、もぐ……っ。  ん……は、ぁ……。  美味しい……。  人間なのに、こんなに美味しいものが、作れるんですね……。  それに、毎日、美味しいものを食べられるなんて……。  ……。  私は……。  ……っ! 誰、ですか……!?  に、人間……っ!  いつからここに……っ!? 私を、追いかけて……!?  ……。違う……の、ですか?  ここは……あなたの、家?  ……そうですか。  私は、謝りません。ドアの鍵が、開いていたのが悪いんです。  それで、どうしますか。私がここにいると、追っ手に知らせますか?  ……なぜ、私が、追われているか……ですか?  さぁ。知りません。きっと、私のことが気に入らなかったんでしょう。  ……このパンですか?  これは、パン屋の方が“快く”譲ってくれただけです。  決して、盗んだわけではありません。  ……どうでもいいでしょう、そんなこと。  あなたが、追っ手を呼ぼうと呼ぶまいと、私はここから出ていきます。  ……それとも、あなたがここから出ていってくれても構いませんが。そうすれば、しばらく私の住む場所ができて、ちょうどいいです。  ……なんでしょうか。  そう、です。私の住む場所なんて……あるわけ、ない。  普通の街には住めません。私たちは、森からも追い出されますし、野宿は危険で……  私が、ダークエルフ、だというだけで……! エルフも……人間も……私を……!  ……。  ……話し、すぎました。忘れなさい。  私は、もう行きます。  私のことは、放っておいてください。もし追いかけてくれば、ただでは済みません。  それでは……  痛……っ。  く、ぅ……っ。これくらいの、怪我……っ。  大丈夫……大丈夫、だから……  ……。  離しなさい。  ……なんですか。やっぱり、追手を呼び寄せて……私を、捕まえさせるのですか。  私が、ダークエルフだから?  あなたも、他の人間と同じように……ひどいことをするのですか……  ……違う? “ちょうどいい”とは、一体……  ……え? “しばらくここにいていい”……?  嘘……でしょう? 1  私は、“ダークエルフ”と呼ばれる種族です  褐色の肌と白銀の髪を持っていて、一目で普通のエルフとは違うと分かります。  ……だけど、逆に言えば、違うのはそれだけです。  耳は尖っているし、本来は森に住みます。長生きで、弓の扱いは上手く……普通のエルフと、ほとんど変わりません。  でも、この暗い見た目のせいで、“悪いことをするエルフ”というイメージがついてしまっています。  もちろん、本当に悪いことをするダークエルフもいるでしょう。けれど、大抵は、普通のエルフや人間と同じく……争い事なんて嫌いな者ばかりです。  なのに、ダークエルフを見た人間は、大抵が馬鹿にしてくるか、あからさまに避(さ)けてくるかしてきます。  どうやら、ダークエルフに隙を見せると呪われる……というのが、人間の間での定説のようです。  そんな扱いなので、悪いダークエルフには何をしてもいい、という最低の考えの人間もいて……捕まえて奴隷にしようとする者までいます。服従させて弱らせれば呪われまい、と。  人間だけでなく、エルフからも迫害されています。まともに言葉を交わせたことなんて、数えるほどしかありません。  だから、私は森からは追い出され、街にも住めず……行く宛てもなく、彷徨うしかありませんでした。  そうして出会った彼も……他の人間たちと同じなのだと、思っていました。  だけど……  この部屋を使っても、いいのですか?  このベッドは? ……私の?  このパンと果物と水は……?  ……これも、私の?  ……。  こんな手に、引っかかる者がいますか。  どうせ、食べ物か水に、眠らせる薬でも入っているんでしょう。  それで、私を誘拐して……奴隷として、売り飛ばすつもりなんでしょう。  そういうやり方があることくらい、私だって、知っています。  ……なんでしょう。怒ったのですか?  パンを手に取って、何を……?  あ……パンと、それに、果物、食べて……。  水と一緒に、飲みこんで……。  ……。  確かに、薬は入っていない、ようですけど……  ……でも。分かったのは、それだけです。  あなたのことを、信用しろと言われても……無理です。  そもそも、理由が分かりません。なぜ私に、部屋を貸したりするのですか。  ただの同情だったら要りません。  ……いえ。嫌というわけでは。部屋を提供してもらうこと自体は、迷惑ではありませんが……。  今日はこのまま、休め、と?  …………。  ……話は、終わりでしょう。出て行って、もらえませんか。  ……ちゃんと、ドアに鍵もかけられる。  これで、彼は無断で入ってこられない。寝てる間に誘拐される、ということは、なさそうだけど。  ……一体、何なんでしょう。  ダークエルフを家に泊まらせる、なんて……。  ……分からない。  私が可哀想だったから? それとも……ただの、人間の気まぐれ?  ……何か、下心があって?  ……どっちにしろ、信用なんてできない。  いつでも、ここから逃げられるようにしておかないと……。  っ、いたたた……。  でも、この傷もあるし……今日は、ここで休むしかない、か……。  もし、急に襲われたときのために、何か武器は……。  ……この椅子を、すぐに手に取れるようにしよう。  ぅ……。  ……それと、このパンと果物も、いただいておこう。  怪我の治療には、エネルギーが必要だし……  ……さっき食べたパンだけじゃ、足りませんし。 * * *  ん……朝……。  ここは……そうだ。あの、人間の家……。  天井、昨日眠ったときから、変わってない。眠ってる間にさらわれる……ということは、さすがになかったようだけど……。  今日こそ、彼の目的を聞きださないと……。  一体どうして、私を匿ったのか……。  ……っ、いたた……。さすがに、一晩じゃ、傷、治ってないか……。  これじゃ……しばらく、動き回ることは、難しそう……。  ……っ!  あ……あなた、ですか。  ……何の、用ですか。  ……朝ごはん?  …………  ……う。  確かに、お腹は空きました、けど……  く……っ。  ……分かり、ました。今、鍵を、開けます。  おはよう、ございます。  ……はい。眠れました。それなりに。  ……そう、ですね。確かに、私が寝ている間に、何もされなかったようですけど……  でも、まだ、あなたのことを、信用したわけではないです。それは、はっきりしておきます。  朝ごはんを置いて、さっさと出ていってくださると、安心できるのですが。  ……? なんですか。 “お腹は空いてるのか”、って……  ……あ、当たり前、です。夜寝て、起きたら、お腹は空くものです。  余計なことは言わないで、早く出ていってください。  ん……待ってください。一緒に持っている、その包帯とビンは?  私の分、ですか? ……足に怪我をしてるから?  ……。いえ。治療は自分でやります。さっさと出て行ってください。  ……はい。何かあったら、呼びます。  何もないとは、思いますけど。  ……。  そういえば、あの人に毒見させるのを、忘れていました……。  ……変な薬、入っているかも……?  ……。  ……ん……  もぐもぐ……もぐ……はむはむ……  ……すーっ。ずずーっ。  ん……はぁ……。  ……まあ。眠くなってきたり、体が変に熱くなってきたりしたら……そのときはそのとき、です。  ……ひとまず、足のケガを、処置しましょう……。化膿したら大変です……。  消毒して、包帯巻いて……。  ……ふぅ。  これで……少しは、楽に。  しばらく、安静にしていれば、問題なく治りそうです……。  ……そういえば、また、彼の目的を聞き損ねました……。  やっぱり、信じられません……。  人間なんて……一皮剥けば、最低な人ばっかりです。  彼らに比べれば、ダークエルフのほうがよっぽど心が綺麗です。  ……私からは、絶対に、彼を頼ったりなんてしません。 * * *  ……あの。  あの……。  ……はい。あなたです。あなた。  ええ、と……  ……。  ごはん。  ……お昼ご飯。  ……いただけませんか。  ……っ。  わ……笑わないで……ください……。  それから一日経って、二日経って……  あの人間は、私をどこかに売り飛ばそうとはしませんでした。  家には、彼以外の誰も住んでいなかったし、必要最低限の時にしか、彼は私と話そうとしませんでした。  それに、足の怪我がそろそろ治りかけているのに、彼は私を追い出そうとしません。  私が部屋に居ることに、迷惑そうな素振りを少しも見せません。  ……だから、私はますます分からなりました。  何故、彼は、私を住まわせてくれるのでしょう? 2  またしばらく経って、足の怪我が完全に治って……その翌日。  あの人間は、朝から部屋を訪ねてきて、私を外に連れ出しました。  あの。大丈夫なのですか。私と一緒に、街を歩いて。  ……確かに、私はローブのフードを被っていますから、エルフだということは、一目では分からないとは思いますが……。  でも、万が一ということも、あるでしょう。  ……別に、あなたを心配しているわけではなくて。  あなたの家に、“ダークエルフが住んでいる”などと噂されたら、住みづらくなるでしょう。お互いに。  大体、どこに行くのですか。  ただの買い物なら、私を連れ出さなくてもいいのでは。  ……やはり、私のことを……売り飛ばすつもりですか。  あ……到着したのですか。ここが目的地?  ここは……服屋ではないですか。  あなたの服を探しに? 違うのですか。  ……私の? なぜ、ですか?  私は、別に、最低限の衣服は身に着けています。今着ているこの服だって……まだ着られます。  ……嫌、というわけではありません。混乱しているだけです。  大体、服なんて買ったら、店員に私がダークエルフだと分かってしまうではありませんか。店内でフードを取らないわけにもいかないでしょう。  あなたも、変な目で見られてしまいます。 “大丈夫”、って、どうしてですか。  ……あなたの知り合いだから? しかし、いくら知り合いだからって、ダメな人も……  ……あの! 先に入らないでください! 置いていかないで!  どうしたら……。  ……仕方ない。ついていくしかないですか……  はぁ、はぁ、はぁ……。  ……な、なんなのですか、あの店主は……  私のことを見た途端に、目を輝かせて、次から次へと服を持ってきて……  一体、何着、着せられたのでしょう……こんなこと、初めてです……。  確かに、私がダークエルフだと分かっても、変な顔はされませんでしたが……ずいぶんと、変な知り合いがいるのですね。  ……違う、のですか? あの店主、いつもあんな感じなのでは? ……普段はもっと落ち着いてる?  では、どうして?  ……“素材がいいから”……?  ……っ。  なにを、言っている、のですか。  ……それは私が、ダークエルフであるという、だけでしょう。頭に“ダーク”とついても、エルフですので……醜い容姿の者は、そうそう生まれません。  ですから……別に、私がどうこう、というわけでは。  ……。  ……あなたは、どうなのですか?  今の、私の服は……変では、ないですか。  ……ん。  そう……です、か。  それなら……別に。まあ。  いいの、ですけれど。  でも、と私は考えます。  彼はどうして急に、私に服を買い与えたのでしょう。  ……いえ、本当はもう、理解していました。  彼は、私を奴隷として売り飛ばすつもりはないようです。  なのに、私を匿って、しかも着飾らせる、ということは……。  ……それは、つまり。  彼自身が、私を奴隷として使うためでしょう。 3  ……少し、よろしいですか。  ……。  そろそろ、話していただけませんか。  あなたは、どうして、私に色々してくれるのですか。  なんで、他の人間みたいに、酷いことをしないんですか。  だって私は……あなたたち人間の嫌いな、ダークエルフなのに……  ……怪しい人に、慣れてるから?  それだけ、ですか? そんなわけ、ないでしょう。  ベッドも、食事も、無料じゃありません。何かの下心なしで、できるわけがありません。  ……ふぅ。  もう、いいです。何も、言わなくてもいいです。  あなたも一応、男でしょう。それに……私は、ダークエルフです。  私の……女としての“市場(しじょう)価値”は、理解しているつもりです。頭に“ダーク”とつくエルフであっても、その価値は、あまり変わらないはずです。むしろ、“そういうことをさせる奴隷”として珍しいから、逆に価値が高い……という話も聞いたことがあります。  そんなダークエルフを匿って、要求することといえば……さすがに、私にも想像がつきます。  経験があるわけではありませんが……過去に、何度も目にしましたから。  失礼、します。  何をしているんですか。暴れないでください。やりづらくなるでしょう。  ……私だって、別に、好きでやっているわけじゃ、ないです。  でも、夜、寝ているときに……あなたに強引に襲われるよりは、遥かにマシです。自分の意志でやったほうが、まだ、諦めがつきます。  それに……私だって、パンとベッドを失うのは、嫌ですから。  じっとしてください。脱がせないでしょう。  ん……  ぁ……。  これが、男の……。  こんな形を、しているのですね……。  確か……“おちんちん”、と言うんですよね。  ここから……また、大きくなるのでしたね。今はまだ、ちっちゃくなっている状態、と。  では、大きくしないと……  ん……  ん……ちゅう……ちゅう……ちゅう、ちゅう……れろ、れろ……んちゅう……んちゅう……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ……ちゅぅ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ……。  ぷはぁ……。  ……変な味、です。  よく、こんなのを、ペロペロ舐められるものです……。  ……え? 違うのですか? ここの、おちんちんを舐めると……男は喜ぶのでしょう。  違うのですか? ……違わないでしょう?  私、それくらいは、分かっています。  続けます。あなたは、余計なこと、言わないでください。  んちゅう……ちゅう、れろ、れろ、んちゅう……ちゅう、ちゅう、れろ、ちゅう、ちゅう、れろ……れろ……れろ……んちゅる……んちゅるっ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅる、ちゅる、ちゅる……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ……。  ふ、ぅ……。  ん、ぁ……。むくむくと、大きくなってきました……。  こんな風に、なるのですね。まだ、大きく、なっています……。  ……この状態のままペロペロすれば……何か、液体が、おちんちんから出てくるのですよね。  では……  ん……ちゅるっ、ちゅううう……んちゅぅ、んちゅぅ、んちゅぅ、んちゅぅ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅるるる……んちゅっ、んちゅっ、んちゅっ、れろ、れろ、れろ……ちゅるっ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……ちゅっ。  ふぅ……。  ……おちんちんから、また別の変な味がしてきました。  先っぽが、透明に光っています。  これが、気持ちいいときに出るもの、でしょうか。……違う?  ……先走り? なるほど。おちんちんからは、色々出てくるのですね。  だけど、少しは気持ちよくなっている、ということですよね。  では、このまま続けます……  ん……ちゅぅ、ちゅう……ちゅっ、ちゅるるる……んちゅっ、んちゅっ、んちゅっ、ちゅっ、ちゅぷぷぷ……ちゅるるっ、ちゅるるっ。  ん……ちゅぅ……ちゅっ、ちゅぅう……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅ、んちゅう……んちゅっ、んちゅっ、んちゅるるる……ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅ……。  ふぅ……。  ん、ふぅ……。なかなか、顎が疲れます……。  男は、女にこんなことをさせて喜んでいるのですね。なんとも、自分勝手なものです……。  早く、おちんちん気持ちよくなって、液体を出してください……  あむ……んちゅう……ちゅぅ、ちゅぅ、んちゅぅ……んちゅぅ、ちゅぅう、ちゅう、ちゅるるる……んちゅう、んちゅう……ちゅっ、ちゅうう……んちゅるるる、ちゅぅう、ちゅるる、ちゅう、ちゅぅう……んちゅう、んちゅぅ、ちゅ、ちゅう、ちゅう、ちゅう、ちゅぅう……んちゅう、んちゅぅう……ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅう……ちゅぅ、ちゅう、ちゅう……。  ん……おちんちん、ぷっくり膨らんできたような気が、します……。  それに、おちんちんの下の、ここ……袋の部分も、だんだん、持ち上がってきたような……。  気持ちいい、ということ、ですよね……。  やっぱり、男なんて、変態ばっかりです。  ん……ちゅっ、ちゅぅ……んちゅぅ、んちゅぅ、んちゅぅ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅう……ちゅるる、んちゅう、んちゅう、ちゅるるっ、ちゅるるっ、ちゅっ、ちゅるるる、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅ……。  ぁ……あなたの息、荒い……。おちんちん、ぶるっと、震えて……。  おちんちんから、何かを、出すのですね……  はい……いいから、さっさと出してしまってください……。  ん……ちゅぅ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、んちゅっ、んじゅっ、んじゅっ、んじゅっ、んじゅっ、じゅるるっ、じゅるっ、じゅるっ、じゅるっ、じゅっ、じゅっ、じゅっ、じゅっ、じゅっ、じゅっ、じゅっ、じゅぅ、じゅぅ、じゅるるっ、じゅるるる……っ。  ん……んんんんんんんんんんんん……っっっ!!  ん……っ、ん……っ、ん、ん、ん……っ!  ぷ……はぁあっ。  う……うぇええ……。  ひどい、味、です……。  苦くて……どろどろして……匂いも、酷くて……  最悪の、気分、です……。  男は、こんなものを、出すのですね……  しかも、この液体は……聞いたところによると、子種、なのですよね……?  これで、子どもを作るのですね……  信じられません……。こんな、ドロドロしたもので、子どもができるなんて……。  本当に……最低、です……。  はぁ……。ふぅ……。  はぁ……。  ……でも。  あなたは、これがしたかったんでしょう。  家に転がり込んできたダークエルフに……こんなことをさせて。さぞかし、ご満足いただけたことでしょう。  だから……  ……私のことを、もう少しだけ、放り出さないでください。  こんなことだったら……たまになら、しますから。  お願い、します……  ……え? “そんなつもりじゃない”……とは。  嘘を、つかないでください。では、一体、どういうつもりなのですか。  ……怪我が治ったら、私に、して欲しいことがあった?  だからそれは……さっきしたような、いやらしい行為のことでは。  ……違うの……です、か?  う、うそ……  本当……に?  ……あ、ぁ、あ……  ぁ、ああ、ぁ……。  ……さ、先に、言って、くだしゃい……。 4  その翌日。彼は、私を朝早くから呼び出しました。 “今日からして欲しいことを説明する”、と……。 * * *  家の裏……こんな風に、なっていたのですね。  ……違う? そもそも、私が最初入ってきたところが、裏口……?  つまり、こっちが、この家の正しい入口ということですか。  では、入口に、何かあるのですか……?  ん……。  ……これは……お店?  壁に、ずらっと本が並んで……  本屋さん、ということですか?  この街に、こんな本屋があったのですね。知りませんでした。  あなたは普段、本屋を経営していたのですか。 “して欲しいこと”……というのはつまり、私に、ここの店番をしろということなのですか?  ……。  そんなことだったのですか?  ……いいえ。嫌、というわけではありません。ただ、理由が分からないだけです。  ただの店番であれば、私のようなダークエルフを使う必要はありません。それこそ、街で募集をかけて、適当な人間を雇えばいい。  なのに何故、あなたは私を……  ……この本屋が、普通の本屋じゃないから? どういうこと、ですか?  本を見れば分かる……?  これ……私にも、分かります。これは……  魔導書、です……。  これも、これも、これも……怪しい魔法が、たくさん書いてあります。  なるほど。こんな本屋、見覚えがない、とは思っていましたが……  知らない人しか入れないように、隠れた入口になっているのですね。  ……ここがまっとうな本屋ではない、とうことは分かりました。  ですが、“私でなければいけない”という説明になっていません。  ……理由が分からないのは、嫌なんです。  理由がないのに、優しくされて……不安にならない者がいますか?  や、やめて、ください。昨日の話は、言わないで……。  ……とにかく。理由を、教えて、ください。  ……私が、ダークエルフだから?  それは、聞きました。でも、どうしてそれが、店番を頼む理由になるのですか。  ……私が? 珍しい雰囲気の見た目をしているから……?  どういう、こと……?  まさか……怪しい者が店番をしていると、魔導書を取り扱っている店の雰囲気に、ハクがつくから……ということ、ですか。  なんですか……それは……。  ダークエルフを……そんな風に、思っていたなんて……  私を匿ったのは、全て……このためだったのですね……。  なんて……こと、でしょうか……  ……くすっ。  本当に、なんてことなんでしょう。  そんなことを言う人間、初めて見ました。  あなたにかかれば、私はダークエルフではなくて……それ以前の、“ただの怪しい人”、なんですね……。  私を見ても、少しも怖がったり、嫌がったりしないで……あまつさえ、私への印象を、そんな風に利用するなんて……  本当に……変わった人間、です……。  ……ふふっ。  ……はい。いいでしょう。  あなたがそう言うのだったら……  この本屋の店番に、なって差し上げましょう。  せいぜい――人間どもを、ダークエルフ様が怖がらせてあげましょう。  それで、いいのでしょう? ふふっ。  はい、なんでしょうか。  名前……?  そういえば……名乗っていませんでしたね。  ……人間に、名乗る名前はない、と思ってましたけど。  確かに……今後、不便です。  私の名前は……“ソフィー”、です。  好きなように、呼んでください。  ……私は、あなたをどういう風に呼べばいいのですか?  ……なんでもいい? そうですか。適当ですね。  そう……ですね。一応は、本屋の店主なのですから。“ご主人(しゅじん)”、と。  よろしいですか? ……わかりました。  では、せいぜい、怪しくなるように店番するとします。 “ご主人”。 * * *  さて、その翌日から、私はこの怪しい本屋で働くことになりました。  それはいいのですが……  ……。  ……店を開けてから、一時間少々経ちましたが。  誰も、来ませんね……。  いつも、こんな感じなのですか。  そう、ですか……。  ……いえ。別に、お客が来なくて安心なんて。  確かに、店番は初めてではありますが……それくらいは、問題なくこなせます。  しかし……ご主人。本当に、誰も来ません。  こう言ってはなんですが……この店、やっていけているのですか。  ……不安ですね。  本当は、店番なんていらなかったのでは……  ……!  あの。ご主人。お客が……来たようですが。  こ、こういうとき、なんと言うのですか。  ……何も言わなくていい? そ……そう、でした。私は、怪しい店番でしたね。  しかし……あのお客、とても怪しい風貌です。フードを被って、顔が見えませんし……男でしょうか。女でしょうか……。  ……店の中、うろうろしています。何か探してるみたいですが……  目当てのもの、見つけたんでしょうか。  あ……こっち、来ました……! あの本を、買う……?  ……え、ええと。  その本を……お買い上げ、に?  ああ、はい。分かりました。はい。ええ。  ちょっと、待って、ください。  確か……値段は、本の裏に書いてあると、ご主人が……。  値段、値段……ありました。  ……え。  嘘でしょう。これ、何かの間違いじゃ……?  でも……  じゅ、15万ゴールド、です。  ……あなた、お金、足りてますか。  ……う、うわ。  ええと……ええと。  いち、じゅう、ひゃく……これで、いちまんごーるど、で……  ……15万、確かに。  あ、ありがとう、ございます。また、どうぞ。  ふ、ぅぅ……。  え? な、なんですか。別に、緊張なんて、していません。ただ、慣れていないだけです。  そんなことより……一体、どういうことなのですか。あのお客、15万ゴールド、ポンと置いていくなんて……。  節約すれば5年は暮らせる額を、ああも簡単に……。  ここに来る人は、毎回あのような感じなのですか。  客が全然来なくても、成り立つわけですね……。  それで。ええと……ご主人。あんな感じでよかったでしょうか。  問題ない、ですか? もっと、怖い感じを出したほうがよかったでしょうか。  ……無理やりそんな風にしなくてもいい? そうですか……。  ん……あの、どこに行くのですか、ご主人。  ……店の奥で仕入れの仕事? ……ああ、なるほど。そうですね、別の仕事がなければ、店番を雇う必要はないですね……。  では、このような感じで、店番をします。  ……けれど、結局その日は、あのお客以外に、誰かが来ることはありませんでした。  この店が、十分やっていけることは分かりましたが……なかなか退屈な時間でした。 5  お風呂、入りました。  はい。特に、問題なく。よい湯加減でした。  ……。  ……いえ。特に、何か用事というわけでは。  ただ……このまま部屋に戻っても、することがないので。  ……そういえば、家事を全て、ご主人にお任せしてしまっています。  今度から、お手伝いします。これから私も、この家の住人なのですから。申し付けてください。  はい。  ……。  ……ご主人のことを、聞いてもよろしいですか。  どうして、あのような本屋を、一人で経営されているのですか。  ……ああ、なるほど。ご両親から引き継いだのですね。道理(どうり)で、蔵書の量がすごいはずです。さぞ、高名な魔導士だったのでしょう。  そのご両親は、今は……?  ……そうですか。  私と同じです。……いえ、住む家がある分、私とは比べられませんが。  ……はい? 私のこと、ですか?  話してはいませんでしたか。でも……あまり、聞いていて楽しい話ではないです。  それでも聞きたいと?  ……本当に、変わった方ですね。  そうですね……  ……といっても、そんなに複雑な話ではありません。  ダークエルフであるというだけで、エルフからも人間からも迫害されていた……というだけの話です。  両親の顔は、知りません。……けれど多分、母親は、奴隷のダークエルフだったのでしょう。  大きくなるまで、私は奴隷商人のもとで暮らしていました。女ばかり取り扱っている商人でした。  だから……奴隷が売られた先で、どのように扱われているかは……よく分かっていました。  それが嫌だったから……ある日、隙を見て、商人のもとから逃げ出しました。  何日も追われて、何日も逃げ回って……山と川を四つずつ超えて、ようやく逃げ切れました。  でも……今思えば、大変なのはそこからでした。  森に行って、エルフを訪ねても……話すらできずに追い出されました。  街に降りたら、人間たちは私をまるでバケモノのように扱いました。中には、私を捕まえて、奴隷商人に売ろうとしてくる人までいました。  だけど、何とか逃げ続けて、街から街へと移動して、食べ物と飲み物を探して……命を繋ぎました。  その途中で……あなたと、出会いました。  ……私の話は、それだけです。  大して、面白くもないお話でしたでしょう。  ……まあ、そういうわけですから。  ご主人のところに置いてもらえるのは、とても、ありがたく思っています。  私のことを、もうしばらく、放り出さないでもらえると嬉しいです。  ……ご主人?  あ……。  ……突然、何を?  急に、抱きしめたくなったと?  それは……私を“抱きたく”なったという、意味ですか?  ……違うのですか?  ただ、抱擁したくなったと。それだけ……ですか? そうですか……。  ……以前の、あの行為は、ただの私の勘違いでしたが。  でも……ご主人は、私にそういう行為を求めてきても、しょうがないとは思っています。  ……いえ。“しない”のであれば、私はそれで、構わないのですが。  ……。 “ダークエルフに隙を見せると呪われる”という噂は、ご存知でしょう。ご主人も、街で暮らしている人間なのですから。  それなのに、少しも怖がらずに、私の体に触るのですね。  ……なぜですか?  いいえ。嫌というわけでは。ただ、理由が気になるだけです。  ……そんな呪いなんてありえないから?  ……そうですか。  ご主人にかかってしまえば……人間も、エルフも、ダークエルフも、何も関係がないのですね。  私を、ただの“ソフィー”として、扱っているだけなのですね……。  ……。  誰かの腕の中、というのは、不思議な感覚です。  嫌な気分では、ありません……。  あたたかい、と思います。  もしかすると……心地よい、のかもしれません。  ……もっと、こうしてもらってもよいですか。ご主人。  ……はい。ありがとう、ございます……。  ……。  ん……。  ……悪くない、気分、です。  とても……悪くない、気分です……。 6  そちらの本、お買い上げで?  分かりました。  こちらは……8万ゴールドです。  ……はい。確かに。ちょうどですね。  またどうぞ。  ふぅ……。  ……こほっ、こほっ。  ん……少し、埃っぽいからかな……。  ……あ、ご主人。  ええ。大丈夫です。何の問題もありません。  だんだん、店番も慣れてきました。  相変わらず、お客は少ないですけど……。  ……ご主人の言った通り、私がダークエルフと分かっても、お客に変な顔はされませんし、何も言われません。  みんな、本当に気にしないんですね。人間の街の中なのに、街じゃないみたいです……。  というより、気づいたのですが……人間でない方も、本を買いに来ているようですね。エルフもいましたし、ドワーフもいました。今更、ダークエルフ一人、気にならないのでしょうか。  はい? ……なるほど。妙なことをして、出禁(できん)にされたくない、と。確かに、この店の品揃えの良さは、素人である私にも分かります。ここに来られなくなると痛手になるから、下手なことはできないのですか。  なんだか、私……  ……いえ、なんでもありません、ご主人。  お客が来ましたので、その話はまた後で。  お客は……若い人間の女性ですね……。  ……彼女、よくこの店に来る人なんですか?  そうなのですか。行商人で、ここに商品を卸しに来ると。  ん……こっちに来ました。  いらっしゃい。  ……え? 私……ですか?  最近、この店に入った……店番ですが。  ……確かに、私はダークエルフですが。何か、問題でも。  何もないのなら、別にいいでしょう。  ……なんですか?  ……私と、ご主人の関係、ですか?  それは……  ……あなたに、関係のあることですか。  ……怒ってなんていません。ただ、答える義理がないだけです。  ご主人と、仕事の話があるのでしょう。さっさと終わらせて、帰ってください。  なんですか。一体。  ……似ている? 私とご主人が? あなたの知り合いと?  他に、エルフの知り合いでもいるのですか? ……ハーフエルフ?  だから何だと言うのですか。意味が分かりません。さっさと用事を済ませてください。  ご主人も。早く。  はぁ……。  ……でも。  あの商人……私とご主人の関係は何か、と聞いてきました。  確かに……不思議に思われるのかもしれません。  家族ではありません。かといって、別に主従関係というわけでもありません。  ……ご主人に雇われているという、“理由”はあります。  でも、“理由”だけしかない……。他には、何も……。  ……。  ……こほっ。  ん……。少し、寒くなってきた……気がする。  こほっ、こほ……っ。  ……環境が変わったから、慣れていないだけでしょう……。  きっと、大丈夫……。 * * *  ん……はぁ、は、ぁ……。  は、ぁ……ふ、ぅ……。  ……あ、ご主人……。  いえ……私、体、もう大丈夫です……。  店番……仕事、ちゃんとします……。  え……お店、開けないのですか……  雨がひどいから……?  ……はっきり、言って、ください。  私が、体調を崩してしまったから……ですね。  ……すみ、ません。  店番を、始めた、ばっかりなのに……手伝え、なくて……。  ……。  ご主人は、お仕事に、戻って、ください……。  私は……一人で、大丈夫、ですから……。  ……いえ。でも、それでは、ご主人が……。  ……そう、ですか……。  けほっ、けほっ……。  はぁ……はぁ……。  今までは、大丈夫、だったのに……どうして、急に……  体調を、崩すなんて……滅多に、ないのに……。  奴隷だった、ときは……  病気になった子は、捨てられて、ましたから……  私は、そうならないように、注意していたのに……  どうして……今に、なって……。  ……安心……したから?  そうかも……しれません。  ご主人の、家に住み始めて……。居場所と、いる理由を、もらって……。  ご主人からも、とても、よくしてもらって……  それで……気が抜けて、しまったの、かも……。  情けない、です……。  ん……。  ご主人の、手……温かい、です……。  とても……温かくて……。  離して欲しくないな、と……思って、しまい、ます……。  ご主人……。  私は……どうすれば、いいんでしょう……  どうすれば、ご主人から、捨てられずに済みますか……?  もう……逃げ回る日々は、嫌、です……。  私……きづき、ました……。  店番の、仕事……。とっても退屈、ですけど……  でも……好き、です……。  みんな……私に、普通に、接してくれて……  そんなこと、初めてで……。  ご主人、も……。  私を、私として、見てくれて……  気づいたんです……  好きだって……  この家も……本屋のお仕事も……あなたも……  だから……  教えてください、ご主人……  私は……どうすれば、いいですか……?  どうすれば……あなた……を……。  ……すぅ……。  すぅ……すぅ……。  くぅ……。  …………。 * * *  ん……。  私……眠って……。  だいぶ、体、楽になって……。  天井、同じ、だ……。ご主人の、家……。  よかった。私、捨てられて、ない……。  ……あ。  ご、ご主人……!? ベッドの傍で、寝てる……。  ……ずっと、私の傍に、いたの……?  顔、少し、やつれてる……。  ずっと、傍で……看病を……。  私の、ために……。  ……。  ……そっか。  ようやく、わかりました。  私を助けてくれた理由なんて……本当は、何も、なかったんですね。  色々説明してくれたのは、きっと全部、後付けで……  あなたは……ただの。  本当に、優しい人、だったのですね。  その三日後。  ご主人のおかげで、体調は完全に戻り、私は店番の仕事に戻りました。  不思議なことに……店番に戻ると、私はお客から声をかけられるようになりました。 “大丈夫?”とか“心配した”とか“元気になってよかった”とか。  ……お客には、あまり丁寧に接客した覚えはないのですが。どうも、彼らの中ではしっかりと、“この本屋の看板娘”として認識されているようでした。  お客たちからそんな心配をされるなんて……一体、“怪しいお店を引き立てる、怪しいダークエルフ”はどこにいったのでしょう。  困ったものです。  これではますます、このお仕事が、好きになってしまいます。  まあ、退屈なのは玉に瑕ですけれど。 7  ご主人。  少し、よろしいでしょうか。  しばらく、お時間をください。  はい。ありがとうございます。  話が、二つあります。  まず一つは……改めて、ご主人に、お礼を言いたくなったのです。  本当に、ありがとうございます。どこの誰とも知れない私に、パンと、ベッドと……居場所を与えてくれて。寝ずに、看病までしてくれて。  出会ったときに、失礼な言葉を投げかけてしまって、とても反省しています。  ……はい。ご主人は、そう言ってくれると思っていました。  それでも、謝罪と、感謝を言わせてください。  優しい、優しい、私のご主人。  それから、二つ目ですが……  ご主人。私は、あなたのことが好きです。  私を、抱いてください。  気づけば、あなたのことが、好きになっていました。  もちろん、あなたともっと親密になって……家族になってしまえば、見捨てられることがなくなるだろう、という打算が、ないわけではありません。それは、はっきりと言っておきます。  けれど、それ以上に……そんな打算が、どうでもよくなるくらいに……  私はあなたが好きになってしまいました。  ダークエルフではなく、私を、ただの“ソフィー”として見てくれたあなたに……抱いていただきたいのです。  ……返事を、お聞きしても?  ……ん。  ん……ちゅっ、ちゅう……ちゅっ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅう……ちゅっ、ちゅっ、ちゅ……ちゅぅ……。  は、ぁ……。  ……ぁ。  ご、主人……  ……その。今は、あまり……私の顔を、見ないで、もらえますか。  頑張って、隠して、いたのに。  ……顔を見られたら……わかって、しまいます……。  顔から、火が出そうなくらい、恥ずかしい、です……。  ん……っ。  ん……ちゅっ、ちゅっ、ちゅう……れろっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅるる……んちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅ……っ。  は、ぁ……。  あ……ごしゅ、じん……。  ……はい。私のこと……抱いて、欲しいです……。  ん……。服……脱がすの、ですね……。  ぁ……胸、見えてしまい、ます……。  私の、体でよければ……見るのは、構いませんが……あまり、見ても楽しくはないと思います……。胸、大きくは、ないです、から……。  ん……ぁ、ご主人の、指が、私の胸、なぞって……。  ん……く、ぁ……。い、いえ、痛い、わけでは……ただ、変な、気分に、なって……。  ぁ……ん、ふ、ぁ……っ。  む、胸は、いいです、から……。早く……他のところ、脱がせて、ください……。  ん……ご主人、が……私の、下着、下ろして……。  ん……。  ここは……ええと。確か、“おまんこ”……と、言うのでしたか。誰かが、そう呼んでいた、気がします。  ……別に、ご主人になら、見られても構いませんが……。そこもあまり、見ていて楽しい場所では、ないかと。  ん……ぁ、ぁ……っ。い、いきなり、触らないで、ください……っ。ぁ……あ、ふ、ぅ……っ。  ご主人の、指、が……っ。私の、おまんこ、を……上下に、なぞ、って……っ。  あ……ふぁ、あ……んっ、は、ぁ……っ。  なんだか、体、熱く、なってきて……変な、感じ、です……っ。  ご主人……っ、それ、やめて、ください……っ。私、頭、変になりそうで……っ。あ、ふぁ、あ……っ。  は、ぁ……はぁ、はぁ……。  ぁ……なん、でしょうか……おまんこ、なんだか、ぬるぬるに、なってる気がします……。私、漏らしたん、ですか……?  違う……? これは、体の反応……なんです、か? そう、なのですか……。  ん……ご主人も、服、脱ぐんですね……。  ぁ……。  ご主人の、おちんちんは……一度、見ていますけど……何だか、今日は、随分と大きい気がします……。  興奮、しているのでしょうか。私の……体に……。  ……嬉しいです。ご主人。  こうして見ると……おちんちん、破裂しそうなくらい、びくびくと張り詰めて……苦しそうです……。  その固くなったおちんちんを、私のおまんこに、入れるんですよね……。やり方は、分かって、います……。  どうぞ、ご主人……。私は、大丈夫ですから……おちんちん、入れて、ください……。私を、ご主人のものに、して欲しいです……。  あ……だけど、一つ、だけ……。  初めて、なので……できるだけ、優しくしてもらえると、嬉しいです。  ん……  ちゅう……ちゅう……ちゅう、ちゅぅ……ちゅぅ、れろ、れろ……れろ、ちゅう、ちゅぅ……。  は、ぁ……。  ん……っ。  ぁ、はぁ、ぁ……っ。ん、く、ふぁ、あああぁ……っ。  あ……中、入って、来てるのが、分かります……っ。おちんちん、が……おまんこの、中、にぃ……っ。  ん……はぁ、は、ぁ……っ。かた、くて……おっき、ぃ……っ。は、ぁ、はぁ……っ。  ご主人……私、大丈夫、ですから……早く、入れて……  ん……はぁ、あ……っ、はっ、はっ、ぁ……ふぁ、ああ……っ。  はぁ、はぁ、はぁ……。  全部……入った、んですか……?  すごい、です……。体の半分が、貫かれているような、気がします……。これが、抱かれる、ということなのですね……  だけど……これで終わりじゃ、ないですよね……。おちんちんから……白い液を、出さないと……。  大丈夫、ですよ。ご主人……。少しだけ、苦しいですけど……でも……。  ご主人と、こうしていることの……嬉しさのほうが、大きいですから……  だから、ご主人……  ん……っ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、ん……っ。  ん……ぁ、はぁ、あ……っ。  これが……男女の、交わり……っ。こんなに、激しくて、熱くて……でも、嬉しくて、幸せで……。頭が、ぐちゃぐちゃになって……訳が、分からなく、なりそうで……っ。  ご主人……っ。私……おかしく、なりそうです……っ。  おちんちんの、感覚……とても、固くて、大きくて……いっぱい、感じる、のに……私の、おまんこ、が……とろけそうに、なってる、みたいで……っ。変な、感じ、なんです……っ。  ご主人……ごしゅ、じん……っ。  ん……っ。  ちゅう……ちゅっ、れろ、れろ……んちゅっ、んちゅっ、んちゅっ、ちゅっ、れろっ、ちゅぅっ、ちゅっ、ちゅぅっ、ちゅっ、ちゅっ、れろっ、れろっ、ちゅぅ……っ。  ふ、ぁあ……っ。  ぁ……っ。キス、されながら……中、突かれる、と……っ。また、体、熱く、なって……っ。  ご主人……っ。おちんちん、ちゃんと、気持ちいい、でしょうか……。私の、体で……私の、おまんこで……ちゃんと、気持ちよく、なれてるでしょうか……っ。  ごしゅ、じん……っ。ふぁ、あああ……っ。  あ……気持ち、いいのですね……っ。おちんちん、ちゃんと、おまんこで気持ちよくなれているんですね……っ。  何だか……嬉しい、です……っ。ご主人に……ちゃんと、感じてもらえて……っ。  ん……ぁ……っ、はぁ、あ……っ。  どんどん……おまんこの、感覚……分からなく、なって、ます……っ。痛くて、苦しかった、のに……っ。今は、ただ、熱くなってる、だけで……っ。嫌な感じじゃ、なくて……溶けて、しまいそうで……っ。  よく、分からないです、ご主人……っ。  ぁ……はぁ、あ……んっ、ふぁ、ふぁ、あ……っ。  ん……っ。ちゅっ、れろっ、ちゅっ、んちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅっ、ちゅるるっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ……っ。  は、ぁ……っ。  それ、に……おちんちん、私の中で、びくびく、しているような気がします……っ。いっぱい、震えて……っ。きゅぅ、っと、なって、います……っ。  ご主人……っ、そろそろ、気持ちよく、なるの、ですね……っ。あの、白い液……精子を、出すん、ですね……っ。  はい……どうぞ、ご主人……っ。私の、おまんこの、中で……たくさん、気持ちよく、なってください……っ。  ぁ……っ、ご主人の、動き、早くなって……っ。  ぁ……っ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ふぁ、あっ、ぁ……っ。  ん……っ。ふぁあああぁあぁあぁ……っっ。  ぁ……は、ぁ……っ。  ぁ……。  ん……ちゅぅ……ちゅぅ……ちゅっ、ちゅぅ……ちゅぅ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅ……ちゅっ。  は、ぁ……。  ご主人……。すごかった、です……。  私の、おまんこ……きもちよかった、でしょうか……。  ……それなら、よかった、です……。  ご主人……。  好きです。とても……。これからも、よろしくお願い、します……。  ……ふふっ。 8  それから一夜明けて、翌日のこと。  少し、体は痛かったですけれど。体調は何も問題なく、何だか不自然なくらいに、気分もよくて。  いつもと同じように、本屋の店番を始めました。  いらっしゃい……  ……ああ。この前の商人の方ですか。  またお仕事の話ですか。ご主人は奥にいます。勝手にあがって、さっさと帰ってください。  ……なんですか。私の顔を、じっと見て。  ……嬉しそう? 私が?  おかしなことを言わないでください。  まったく……。  ……ああ、そうそう。この前の、質問ですが。  あなたは、私とご主人の関係が何かと聞きました。  お答えします。  ――私とご主人は、大切な人同士です。  ……私はダークエルフで、ご主人は人間です。  だけど……お互い大切に想うことに、理由なんて要らないでしょう?  それだけです。  ……。何を笑っているのですか。不愉快な。  さあ、さっさと用事を済ませて帰ってください。私も、忙しいのです。  ……他にお客はいませんけれど。  そんな風にして――  街をさまよっていたダークエルフが、何故か今は、本屋の店番をしています。  一体、どうしてこうなってしまったのでしょう。  けれども。家があって。仕事があって。……ご主人がいて。  今、とても幸せです。  私はもう、しっかりと分かっています。  幸せであることに――理由なんて、要らないのです! 9  ご主人。よろしいでしょうか。  失礼します。  いいえ。大した用ではありません。  ただ、ご主人と触れ合いたくなったのです。  ご主人のことが大好きですから。  お傍に行ってもよろしいですか?  ……はい♪  では……せっかくですから、キスをしてもいいでしょうか。  はい……。  ん……ちゅう……ちゅっ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅぅ、ちゅう……れろ、れろ、れろ……れろ、れろ、れろ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅう……。  は、ぁ……。  ご主人とのキスは……とても、気持ちいいですね。頭がふわふわして、体中、ぽかぽかと温かくなります……。  ところで……ご主人? 今日は、私のことを抱かないのでしょうか。  いえ……男の方の欲望が溜まる度合は、よく分かっていませんが……少なくとも私は、もう一度ご主人に抱いて欲しいと思っています。  はい。昨日は、痛くて、苦しいこともありましたが……それよりも強く、幸せだったものですから。  もう一度、それを味わいたいです。  ご主人が嫌ではなければ、ぜひ。  ……嬉しいです。  昨日は、ご主人にいっぱいしてもらいましたから……今日は、私のほうからしてみてもいいでしょうか。  こういったことも、練習しておきたいです。ご主人のおちんちんを、気持ちよくできるように。  おそらく、体勢的にはこのまま……ご主人が椅子に座ったままでも、可能ですよね。要は、おちんちんを、おまんこに挿入できればいいのですから。  では、ご主人の服、脱がせますね……。  ん……。  ぁ……。ご主人の、おちんちん……もう、固くなっているようです……。興奮している、ということですね?  嬉しいです。  では、私も下を、脱いで……  ん……。  このまま、ご主人の膝に乗って、入れればいいのでしょうか?  ……違う? このままでは、滑らないから、おちんちんを入れても痛いだけなのですか?  まずは……私のおまんこの、準備をしないといけないのですね。  そういえば昨日、ご主人が私のおまんこを弄っていたとき、だんだんと濡れてきたようでした。あれは、おちんちんを挿入する準備だったのですね。  では……自分で、いじってみることにします。  確か、ご主人は昨日、おまんこを上下になぞるようにして……。  ん……ぁ、あ……、は、ぁ……。  自分で、いじる、というのは……不思議な、感覚、です……。体中が、ぴりっとして……頭が、ぼうっとしてきます……。  ん……ぁ、ふあ、ぁ……。こう、でしょうか……。刺激が、強くなるように、おまんこを、いじると……だんだんと、湿ってきたような、気がします……。これが、おちんちんを入れるための準備、なのですね……。  ん……は、ぁ……ふぁ、あ……。  これくらい、でしょうか……。おまんこ、とろけてきたように思います。  では、ご主人……失礼します。  ん……気のせいでしょうか。おちんちんが、先ほどよりも大きくなったような気が。  ……私が自分でおまんこを弄っているところに、興奮したのですか?  そういうものなのですか。男女の交わりというのは、奥深いですね……。  では……ご主人の、お膝の上に乗って……。  この、体勢で……おちんちんを、おまんこに、あてて……  ここの、ところに……入れる、のですよね……。  ん……。  ん、んん、ん、ぁ、あぁああああ……っ。  は、ぁ、ふ、ああ……っ。入って、きまし、た……。ご主人の、おちん、ちん……。  昨日と、違う、体勢だから……もっと、深く、おちんちんを感じます……すごい、です……。  はぁ、はぁ、ふぁ、ああ……っ。  あ……全部、入ったようです……。また、体の半分が、貫かれている気分です……。  でも……昨日よりは、慣れたようです……。あまり、痛く感じません……。  ん……ご主人……  ん……ちゅっ、ちゅぅ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ、れろ、れろ、れろ、ちゅぅ、ちゅぅ、ちゅぅう……っ。  はぁ……。  ……では、動きます。ご主人。  私のおまんこで……おちんちん、気持ちよくなって、欲しいです……。  ん……っ。んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、ん……っ。  この、体勢……っ、本当に、深い、です……っ。少し、腰を、動かすたびに……おちんちんが、おまんこの一番奥まで、来て……っ。ご主人と、一つになっていると、感じられます……っ。  ん……っ、ぁっ、あっ、はっ、はっ、はっ、ふあ、ぁ……っ。  ご主人……っ。きもち、いいでしょうか……っ。こんな、風に……おまんこを、上下に、動かして、いますけど……これで、おちんちん、気持ちよく、なれますか……っ。  ん……っ。気持ち、いいのですね……っ。よかった、です……っ。ご主人……っ。  もっともっと、おちんちん、気持ちよくなって欲しい、です……っ。  ん……っ、は、ぁ……っ。あっ、あっ、あっ、あっ、ふぁ、ああ……っ。んっ、はっ、ふぁ、あ……っ。  ご主人……っ。ご主人……っ。  ん……っ。ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、れろっ、れろっ、ちゅっ、ちゅっ、んちゅっ、んちゅっ、れろっ、れろっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……っ。  はぁ、あ……っ。  ご主人……っ。好き、です……っ。  好き……っ、ご主人、好き、好き、好き……っ。  初めて会ったときのことが、もう、思い出せません……。ご主人が、好きって気持ちしか、もうなくて……。  好きです。ご主人……すき、すき……ずーっと、一緒にいたいです……っ。ご主人が望むなら……ずーっと、こうしてても、いいです……っ。おちんちんを、おまんこに入れて……ずーっと、ご主人に抱かれて過ごしても、いいです、からぁ……っ。  だから、ご主人も……私のことを、もっと、好きになって欲しいです……っ。  好きです……ご主人、好き、好き、好き、好き……っ。好きです……っ。大好きです……。  ぎゅーっとしてください……っ。強く、抱きしめて……離さないでください……っ。  それに……いっぱい、キスも、して……。  ん……っ。ちゅっ、ちゅっ、んちゅっ、れろっ、れろっ、れろっ、ちゅっ、ちゅっ、んちゅっ、ちゅっ、ちゅるっ、ちゅるるっ、んちゅっ、れろっ、れろっ、れろっ、ちゅうっ、ちゅぅっ、ちゅぅっ、ちゅぅう……っ。  はぁ、あ……っ。  ん……ぁ……っ。おちんちん、が……おまんこの、中で……いっぱい、ビクビクしてるの、分かります……っ。  これ……ご主人のおちんちんが、気持ちよくなってきた、ということですね……っ。  精子……出すんですね、ご主人……っ。おちんちん、気持ちよくなって……っ、私のおまんこの、中に……いっぱい、出してくれるんですね……っ。  はい……どうぞ、ご主人……っ。精子、たくさん欲しいです……っ。中に、いっぱい……っ。  ん……っ。んっ、んっ、ん……っ。  あっ、あっ、あっ、あっ、ふぁああぁ……っ。あっ、あっ、あっ……!  ん……っ、ふぁ、ぁあぁああぁあああ……っ!!  あ……っ、は、ぁあ……っ。ん……っ。ぁ、は、あ……っ。  頭……ぼーっと、して……ばちばちって、なって……  これ……私、きもちよく、なったん、でしょうか……?  ごしゅ、じん……。  すき、ぃ……  ん……ちゅぅ……ちゅぅ……ちゅぅ……ちゅっ、ちゅっ、ちゅぅ……ちゅぅ……ちゅぅ……。  は、ぁ……。  おまんこの、中、温かく、なっています……。いっぱい、出してくれたの……わかり、ます……。  あ……おまんこから、こぼれてしまって、います……。なんだか、もったいない、です……。  ん……ちょっと、失礼、します……。  こぼれた精子……指で、すくって……  ん……ちゅる……ちゅる……ちゅるる……  ん……こく、ん……っ。  は、ぁ……。  ……いえ。前と、今とで……味の印象が、変わるかなと思って。  相変わらず、苦くて、ねばねばして……強い匂いです。  ……でも、今は、そんなに嫌な味じゃ……ないです。  これも、ご主人が好きだからでしょうか?  ……ふふっ♪  好きです。ご主人。  ……ずっと、おそばにいさせてください……♪ 10(おまけ)  ご主人。  少し、いいでしょうか。  ……いいえ。特に大した用事があるわけではありません。  ただ……寝る時間には、まだ早いですし……  ご主人にくっついて、甘えたくなったのです。  よろしければ、お膝の上に座らせてもらってもいいですか。  ありがとうございます。失礼して……  ……この体勢で、ぴったりくっつきます。  よければ、ご主人。私のことを、ぎゅーっと抱きしめてもらえると嬉しいです。  それから、頭も撫でてもらえると。  ありがとうございます。  このまま……しばらく、甘えさせてください。ご主人。