;導入パート ;ガチャ、と扉が開く音 「お、来たねー。未熟ゲーマーさん、いらっしゃ~い……あ、ちょっとやめて、いきなり帰ろうとしないであたしが悪かったてば!」 「まー、えっと、ほら、あがんなさいな。うぃうぃ、もーまんたいよ、ちゃんと君が来るって判ってたんだから、掃除は完璧……あたしはの部屋は元々完璧、クリーンルームです!」 「うぐ……え、えっと、ほら、君をこうして家に呼ぶのって初めてだし、ちょっと緊張しちゃって……まぁ、えっと、おあがんなさいな、うん」 「(あーあーあー、あたしってば舞い上がりすぎ!? っていうか、緊張しすぎだって……でもでも、男の子を家に招くなんて初めてだし、そりゃ緊張します。緊張しまくりです、表面上は平静を装っているけど心臓バックンバックンですよっ!)」 「(うー、あたしだけ……だろうなぁ、きっと。あたし、女として見られてない気がするし……とほほ、初対面がオンラインゲームでフルボッコにしちゃったからなぁ。それから師匠、師匠って懐いてくれてるのは可愛いんだけど……しょーじき、それもネタっていうか、いわゆるネット特有のかる~いノリっていうか、そこから一歩も出てない気がするし)」 「(いやいや、だからこそ今回の招待だってばよ、あたし! 次のクラン戦、絶対に代表になりたいって意気込んでるこの子にクラントップのあたしが教える、完璧な口実! そしてプレイイングを確認するために2人きりという完璧な状況! ここから女として見て貰って……って、そもそも女として意識してる人の家にゲームしにはこないってばよ……)」 「ふぇ!? え、えっと、ごめん。なんか口走ってた? あ、ああ、きっとおイモさんへの恨みが募って思わず口走るパッション! ……はい、落ち着きます。えっと、そっちの部屋がゲーム部屋であり、あたしの寝室です……そちらへどうぞ」 「ゲームは起動してあるから。野良で入るとー……さすがにアレだし、君のアカウント、入力して。うん、それ君専用のアカウントだから、君好みに設定なんかも整えておいて」 「(これでいつでもうちに来て大丈夫だね、一緒にラブラブコーププレイでもしちゃおうか、きゃっ……なんて、言える訳無い! あーあーあー、くっそう、駄目だ、うん。ちょっとこう、頭ごちゃごちゃしてる。本当に混乱してるよ、あたし……えーと、落ち着くためには飲物、そして何よりもいつも通りの生活! おし、きちんとしよう、うんっ!)」 「んじゃ、飲物とか用意してくるから先に始めてて。うん、いつものところで。実際、君の画面がどういう風になってるのか確認もしたいしね……あ、うん。もちろんコタツ使って良いから。それじゃ、頑張ってね~」 「(この間に台所で落ち着こ……いや、うん。男の子慣れしてないって本当怖いわー、後々思い出したら悶絶したくなるような事、すっごいしそうだったもん……あの子にはそんなつもり無いんだろうし、あたしもゲームの師匠としてきちんと指導してあげないとね、うん)」 ;3秒程度間 「そこ、右。見逃してる……もっとマップ確認して。今、君のそばに一瞬敵影移ったよ。はいはい、そこじゃない。建物あるでしょ、そこ。うん、あんまり居ないけど居る時は居るし、上手い人が陣取ると一方的なゲームになるから、そこは注意しておいて……自分も行く? おイモさんやるっていうなら、掘っちゃうわよ? ふふ、よろしい」 「(……あー、うん。やっぱ上手いわ、この子。この手のゲーム、これが初めてとか言ってたわよね……甘い部分も多いし確認抜けもあるけど、基本的に攻守のバランスっていうのが判ってるわね。行くときは必ず行くし、守るときはかっちり守ってダメージを最小限にしてる。基本的な事だけど、これが出来ると出来ないとじゃ大違いなのよね)」 「(……筋は本当に良いのよねぇ。あとは経験っていうか、とにかく慣れかなー。今でも急に敵が目の前に出てくると身体がビク、ってなって操作が遅れる時あるし……うう、くっそう、かわいいなぁ……あのビクっとする仕草、やっばいくらい可愛いんだけど……)」 「……ふぇ? え、えっと……そうね、接近戦が多いところだとそういうのも当然有りだけど、それだと中距離に対応出来なくなるからオススメしないわね。何よりも他のとあまりに違いがあるから、汎用性っていうか、それ使えない場所だと戦力にならないし……」 「(……幸せ、なんだけどね。うん、これだけでも十分幸せっちゃそうなのよね……おこたに入って2人で好きなゲームしてるって、多分すっごく幸せな事なんだと思うんだけど……物足りないっていうか、もっとって思っちゃうのは欲張りなのかな……)」 「(……………………って、待て待て待て、あたし今何考えた、何考えた!? き、キスとか、そういうの考えてるの!? お、おおおおおお落ち着きなさいよあたし、彼氏彼女でもないし、そもそもあたしゲーマーだし、いや、ゲーマー関係無いけど……彼氏とか居た事ないし……だからか!? だからなのか、処女だから飢えちゃってるのか、みっともない、本当にみっともないぞ、あたし!?)」 「……ふぇ……あー、うん。えっと……ぐっどげーむ……良い動き、だったわ。ただ、あとは突発的な事態になった時の対処と、予測をきちんとしましょうね……相手も人間だから、こっちがされたら嫌な事してくるの。ぶっちゃけ、対戦ゲームは技量も大事だけど相手が嫌な事をやりまくった方が勝ちだから……」 「ううん、何でも無いわ。なんか、こういうゲームが好きって人として駄目な気がしただけだから……ま、まぁ、それはおいといてよ。そうね……んじゃ、今度はあたしがやってみるから。それ見ててね」 ;3秒程度間