こんにちは! わざわざ来ていただいてすみません。 うん! ほんとに。その節はありがとうございましたっ。 さ、さっちゃん。 さっちゃん、やめて……! さっちゃん。そういうのは自分で聞くから。 すいません……さっちゃんが変な事ばっかり言って……。 そうなんです。 私、住んでるとこ、すごく遠いんで。 さっちゃんと会ったのも『去年十年ぶりに』とかなんですけど。 すごく仲良くしてくれて……。 忙しいのに、よく会いに来てくれるんです。 あ。 うち、去年の末におじいちゃんが亡くなりまして……おばあちゃん一人になっちゃって。 そのお葬式で、私は十年ぶりにすずらん市に来たんです。 それから、式の後も居させてもらってます。 それで、さっちゃんはずっとこっちに住んでるので。 よく会いに来てくれてるんです。 そうです。 すごく優しいん、です。 さっちゃんのお陰で、私何とかやってけてます。 あ、あの。 さっきから言おう と、思ってたんですけど……。 私の事は唯為理でいいです。 皆そう呼ぶんで。下の名前で、お願いしますっ。 はい……! じゃあ。ゆ、唯為理ちゃんで、お願いします……! あ。 お昼。なんですけど。 私。お弁当作ってきたんです。 あっ、すみません……! あの。私。この辺にお弁当広げて食べられる所、あると思ってたんですけど。 な、何か、今通ったら、なくなってて? そうです。すずらん文化センターです。 取り壊しちゃったん、ですね。 すいません。私勘違いしてました。 ほんと、すいません。お弁当はやめて……。 えっ? そんな所、あるんですか? はい……! 大丈夫です。行きます。 そこへ、連れていって下さい! すごい……! こんな場所、あるんですね。 はい! すごく素敵です。 こんなに新しくて、建物から海が見れる展望台があるなんて、知りませんでした。 こういう所、冬は閉じちゃうのかなって思ってました。 はい! あっ。食べて下さい。 お口に合うと、いいんですけど。 いえいえとんでもないですこんなの誰でも作れるって言うか。 あっ……⁉ 本当ですか? よかったぁ……。 あ、はい。おばあちゃんもすごく上手なんですけど。 今は私が料理してます。 いえいえそんな。 でも、嬉しいです。すごくホッとしました。 あっ。そうですね。いただきます。 もぐもぐもぐ……。 あの。 被っちゃいましたね。どうぞ。 わ。わかりました。では私から……。 あの、一つ確認させていただきたいん、ですけど。 私の仕事の事って、どの位ご存知なんでしょうか……。 あっ……! 大丈夫ですか? 大丈夫です。今ので、わかりました。 あの、知られるのが嫌だ、とかじゃないので。 ただ女の人はあまり、馴染みがないと思うので。 もしかしたら今日も、無理して来てくれたのかなって、思いまして……。 えっだって。ご存知、なんですよね。 私が描いてるのって、 成人、向けの。 えっちなやつ、なんですけど……。 え? スマホが、何か? えっ……! このレビュー書いてくれたの、あなただったんですか……⁉ あっ。あ……。 これ、今朝見つけて。 すごい嬉しくて……。 スクショして、今日のお守りにしてたんです。 ……はい。こんな風に。 今日あなたに、お仕事の話、する時。 ひ。引かれても、大丈夫なように。 今日うまく行かなくても、頑張れるように……。 でも、あなただったんですね。 あなたがこんなに、応援してくれてたんですね……。 へ? サイン⁉ いいえ。書きます。嬉しい。ありがとうございます……! いえいえお礼なんてとんでもないです。そもそも助けてもらったのは私なんで……。 あはは。 そしたら。やっぱりお願いしてもいいですか。 よかったら、また。お話ししたいです。こっちにいる間だけで、構わないので。 あっ……会って、欲しいです。 そんなのが、いいんです。 あっ、後。もう一つだけ……。 連絡先。教えて下さい!