あっ、ええと…もしかして、アプリの…? …はい、私が「しおり」です。 じゃあ、お兄さんが…? …イメージと違うなって。はい、いい意味で。 今日はその、よろしくお願いします。 …あ、すみません。 少し待っていただいていいですか? …あはは、変わってますよね。 手放せないんです、除菌ティッシュ。 私、潔癖症で。 つり革とか手すりとか、人が触ったものがすごく気になっちゃうんです。 実はすっごく汚れてるんじゃないかとか。 バイ菌がついてたらどうしよう、とか。 ここに来るまでもいっぱい触っちゃって、落ち着かなくて…。 すいません、お待たせしました。 今からホテル…ですよね? あっ、あ、その、大丈夫です。 私、こんな風にアプリで人と会うの、慣れてなくて。 ランチとかどこいけばいいか分からないですし…。 むしろ助かります。 えと、一番近いホテルだと…ここ、とかですかね? あ、スマホはなるべく触らないでもらえると…。 ごめんなさい、細かくて。 …はい、ですね。 そこなら歩いてすぐですし。 行きましょうか。 たしか…お兄さんも初めてなんですよね、アプリ。 分かります、緊張しますよね。 私もさっきから、手汗がすごくて…はは。 そうなんです。 男性と話すことなんて、職場の雑談くらいで…。 オフの日に会うのなんか、何年ぶりなんだろう…。 いっ、いやいや。 私なんて、そんな…。 お兄さんが思ってくださってるような、素敵な女性なんかじゃ…。 今朝だって、お化粧してる時…すっごくドキドキしてたんです。 こうやってお手入れしてる顔、 この後ぐちゃぐちゃに汚されちゃうんだって想像して…。 はい。会う予定を入れた日から、ずっとソワソワしてました。 仕事中も、どんな不潔なことされちゃうんだろうって、 妄想ばっかりしてたんです…。 あ、この道ですかね。 ここをまっすぐ行けばあるみたいです。 …意外、でしたか? 実は、私もなんです。 汚いプレイが好きって言うくらいだから、 正直…もっと脂ぎったおじさんみたいな人かと。 だからその、お兄さんみたいな人が来てくれて、ホッとしてたんです。 この人になら、安心して汚してもらえるな…って。 …へへ、楽しみにしてますね…。