【寝息】 ……ん、んん……。 ふぁ……あ……ふぅ……。 ……んむ……日が、差して……。 もう朝……のようじゃの……。 ……うん……?お主……とっくに起きておったのか。 くふふ……何じゃ?妾を起こすまいと、息でも潜めておったのかえ……? ……ほう?妾の寝顔を眺めて……。 くふ、その様な不敬を働いて許される者は、この世に二人と居らぬぞ……? んっ……この、果報者め……。 朝から眷属としての特権を存分に使いおって……。 全く……仕方の無い奴じゃ……。 すぅ……ふぅ……。 ん……くふふ……。 ……あぁ、そうじゃろ? お主がこまめに手入れしてくれるお陰で、尾の毛並みがすこぶるよくての。 この触り心地は、恐らく妾が生きてきた中で一番かもしれぬのう……? 加えて、髪もよく梳いてくれる故…… こちらもさらさらで、とても気分がよい……。 くふ……感謝するぞ、お主よ。 ……ふむ、成る程……? 毛並みの良し悪しは、妾自身の威厳にも関わるか……。 確かに……特に尾は、妾の名を表す象徴でもある。 艶が良くて困ることもないしのう……。 ……まぁ、どの道お主は言い出したら聞かぬからな……。 先日も妾がもうよいと言うておるのに、いつまでも櫛を手放さんかったし……。 はぁ……妾の為に尽くしてくれるのは嬉しいが、少々行き過ぎではないかえ……? ……くふふ……いや、よいのじゃ。 別に責めておる訳ではないからの。 ただの戯れじゃ……聞き流せ。 ……ん……はぁ……。 ん……。 ……しかし、此の所どうも退屈じゃのう……。 人間共も我らに阿り、気を遣うばかり……。 挙句良からぬ芽は、お主が事前に全て摘んでしまうと……。 はぁ……。 ……ふむ?そうさな……。 お主の言う通り、この国を我が物とするのも悪くはない、が……。 かつてならばいざ知らず、今の妾にとってはそこまで関心があるものでもない故な……。 人間の政に興味がある訳でもなし……。 ……やはり、当面はお主との子が一番の楽しみじゃの。 所詮、人間共の相手なぞ暇潰しに過ぎぬ……。 じゃが……我らの子となれば、余りある時間を注ぐに相応しかろうて。 ……それに元より、封印が解けた後は静かに隠居するつもりであったしの……。 その様な生き方も、永い年月の暇として悪くはなかろう。 ……ん……くふふ……。 無論、お主が望むのであれば二人三人と、順に増やしていくのもやぶさかでは無いぞ? この地に我ら一族を繁栄させる……というのも一興であろう……? ……あぁ、そうなれば、人間共にとっては悪夢も同然じゃろうな……? とは言え……その様な些事、今のお主にとっては知ったことではないじゃろ? 我らは人ならざる妖の身……人の理に縛られる道理はない。 ……故に、じゃ。 お主よ……。 この先もずうっと、妾に仕えてくれるな……? こうして……傍で。 ……うむ……♡ 期待しておるぞ……? ん……ちゅ……♡ くふふ……。