//煙管を吸う すぅ……ふぅ……。 ……ふむ、よい煙管じゃな。 くふふ……気に入ったぞ。 お主、早速この様な捧げ物を寄越すとは、妾の趣向をよう理解しておるのう……。 優秀なしもべじゃ……褒めてやろう。 ……あぁ、そうさな……。 この道観も、住処として申し分は無かろうて。 ただまぁ……もう少し、妾好みの趣であれば尚よいとは思うがな? 今のままでは人間の住処と差異が無い故、少々落ち着かぬ……。 ……くふふ、そう功を焦るでないわ。 部屋の模様替えなぞ、少しずつ変えていけばそれでよい。 今はその様なことよりもまず……当面の出方を考える方が先じゃろう。 ……お主の話によると…… やはり今の俗世に、妖は殆ど残っておらぬということであったな? つまり……妾が封じられた後の世は、妖ではなく人間が勝ったと、そういうことで相違ないかえ……? ……ふむ、そうか……。 //煙管を吸う すぅ……ふぅ……。 ……くふふ、まさに栄枯盛衰よのう……。 如何に隆盛を誇ろうとも、所詮妖なぞ時代と共に滅びゆく定めであったか……。 まぁ……他の妖共がどの様な末路を辿っておろうが、特に興味は無いがのう……。 ……じゃが、却って好都合であるとも言えよう。 封印から目覚めた折には、静かに隠居でもする腹積もりであったが……。 斯様な世であらば、これ以上人間共がのさばらぬよう、軽く躾けてやってもよいかもしれぬの。 恐怖を以て、この地に大妖狐、白尾が再び戻ったことを知らしめ…… 世俗の緩んだ気を、妾が手ずから引き締めてやるのも一興であろう。 丁度、お主というしもべも手に入れたことじゃしのう……。 ……くふふ、そうじゃな。 無論、お主にも精々役に立ってもらうつもりじゃ。 くれぐれも、妾を失望させるでないぞ……? その働き、期待しておる故な。 ……ん?妾の世話か……? あぁ……そういえば、特に考えておらなんだが……。 他の者と暮らすことなど、考えたことも無かったしの……。 ……うむ、折角じゃ。 妾の身の回りについても、全てお主に任せるとしよう。 この時代のことは、お主の方が詳しかろうしの。 くふ……妾の世話を焼けるなぞ、人の身に余る栄誉であるぞ? 光栄に思え。 ……くふふ。 ふむ……愛いのう……。 よもや従順な人間のしもべに、ここまで愛着を覚えるとは……。 かつての時代には、考えもしていなかったことじゃ……。 これも巡り合わせかのう……面白い。 ……ほれ、お主。 近う寄れ……妾の元に。 ……ん、ぎゅー……と……。 ん……すぅ……ふぅ……。 ……ふむ。 感じるぞ……お主の鼓動が……。 とくん、とくんと脈打っておるな……。 ……これも、既に妾の物か……。 こんなもの、少し力を込めれば簡単に止まるというに…… こうしておると、その脆さが逆に愛おしく思うの……。 くふふ……。 ……ん?あぁ……お主も気付いたかえ? そうじゃな……誰ぞ、この道観に近付いてくる者がおるようじゃ。 それも複数人……恐らく、術師であろう。 ……ほう?お主が何かあった時のため、声を掛けていた者共と……。 ふむ……では、お主が戻らぬ故、様子を見に来たということじゃな? はぁ……もう少し、こうしていたかったのじゃが……。 ん……仕方ないのう……。 ならば、妾の暇を害した罰として…… その者らには、相応しい最後を与えてやらねばな。 面倒じゃが、表に出るとしようかのう……。 ……む?お主に任せよ、と……? くふふ、よいのか……? その者らは、お主と既知の仲であるのじゃろう? それをお主自身の手で、始末すると申すのかえ……? ……ふむ、妾の命であれば、か……。 くふ、流石は妾のしもべじゃ。 ならば……よい、お主に任せよう。 好きにするがいい。 ……あぁ、その前に、少し口を開け。 お主に、妾の力を少し分け与えてやろう。 ほれ……。 【舌を絡める深めのキス】 ん……ふぅ……。 ……どうじゃ? 妾の妖気が馴染んだお主の体であれば、この力を使いこなすことができるはずじゃが……。 ……うむ、それは何よりじゃの。 では……行ってこい、我がしもべよ。 妾はここで、吉報を待っておるぞ。 くふふ……。