●1章 レ「この辺のはずなんだが…。  これ以上は車じゃ進めないな。  キミ、地図ではどうなってる?  …何? さっきから、  地図には載ってない道を走ってる?  なんだそれは。  そういうことはもっと早く言ってくれ。」 マ「何? また道に迷ったの?  これで何回目?  だからそいつに地図任せるなって言ったんじゃん。  もう…。  うちらの中で一番の新人なんだから。」 ヒ「まあまあ。そうは言うけど、  私たちの中で地図読めるの、  運転手の部長以外だと、彼だけなんですから。」 リ「そうそう。うちらが何か言えることなんて、  まったくないんだよねぇ。  …んで、どうすんの?  一旦引き返す?」 レ「いや…確かに地図には載ってないけど、  ほら、この辺り。  この辺の山の位置は一致してるんだ。  ということは、目的の場所が  この辺りにあることは間違いない。  車から降りて、歩いて行ってみよう。」 マ「ホントに? 大丈夫なの?  この先、ジャングルみたいなんだけど。  迷って出てこられなくなったりしない?」 リ「いやジャングルって。  そこは樹海とか言おうよぉ、舞~。」 マ「…うるさい、バカ涼。」 ヒ「まあまあ…。  でも部長、本当に歩いていくつもりなんですか?  道らしい道もないみたいですけど…。」 レ「いや、それがそうでもないんだよ、雛。  ほら、あそこ。  あの辺りに鳥居みたいなのが見えないか?」 ヒ「あ…確かに見えますね。  ということは…。」 リ「どこかに道があるってことだっ。」 マ「潰れた神社とかじゃないの?」 レ「かもしれないが…。  とにかく、行ってみないことにはな。  気を付けていってみよう。  先頭は私が…ん?  何? キミが行くのか?  しかし、いくら私たちの中で唯一の男子とはいえ、  私たち霊研…心霊研究部に入ったばかりの新人だ。  危険な役目はやはり、部長である私が…。  それにキミは、重たい機材を持つ役目もあるんだからな。」 マ「本人が行きたいっていうんだから、  それでいいでしょ。」 レ「しかしだな…。」 ヒ「あんまり話してる時間はないみたいですよ。  ほら、もう空が暗くなり始めてます。  急がないと、真っ暗になっちゃいます。」 リ「よし。じゃあキミが先頭ってことで、  とっとと行っちゃおう。  ダメならダメで引き返すことにしてね。」 レ「仕方がない。  よし、それじゃあ行こう。」 マ「…ん? なんだ、普通に道あるんじゃん。  ほら、こっち。」 リ「あ、ホントだ。  なんだ、車からは見えなかっただけか。  しかもご丁寧に看板付き。  文字は…かすれて読みにくいけど…」 レ「孕魅ノ村…。  うん、やはりここが、目的地の孕魅ノ村の跡地だ。  ようやく辿り着いたぞ、みんな」 ヒ「よかったですね、部長。  じゃあ、早速行きましょうか。  何があるか、ワクワクしますね。」 レ「そうだな。さあ、行こう、みんな」 マ「これがさっきの鳥居か…。  ボロいけど…朽ちてるわけじゃないね。」 ヒ「あ、あっち!  建物がありますよ。  神社みたいな…。」 リ「お、やるじゃん雛。  ぃよぉし、行こう行こう!」 レ「おい待て。勝手に行くな。  何が起こるかわからないんだからな」 リ「ほほう。やっぱり古い神社みたいだね。  かなりおっきい。  うわ、すごいなぁ。雰囲気出てるよぉ。  ちょうど、この村の中心に建ってる感じかな?」 ヒ「ここが本堂の中みたいですね。  確かにかなり広くって…。  ここを拠点にして、機材を拡げてもいいかもしれませんね。」 レ「そうだな。  キミ、重かっただろう?  ここに置いてしまっていいぞ。」 マ「明かり、持ってくよ。  この辺に立てておけばいいよね。  …ん、明るくなった。」 ヒ「寝泊まりもここですることにしましょうか。  さすがに火は使えないですけど、  インスタントの食料はもって来てますし。」 リ「じゃ、寝袋もここに置いとくよ。  いやぁ、こんな古い神社の中で一晩過ごすのか。  何が出てくるかわからなくって、ドキドキするね。」 レ「心霊研究部としては、どんと来いと言ったところだな。  だが、まだ寝るには早いだろう?  だから、あれを見てくれ。  ここを中心にして、行き先が四つあるんだ。」 マ「ふぅん…。  あそこが入口だったから、行き先は、確かに四つか。  一つはこの神社の奥に行く道で、  残りは外…というか、村の中に出るみたいだね。」 ヒ「なら、手分けして探索しましょうか?  一人はここで留守番をして、  残りがそれぞれ道の先に行くようにすれば、  よさそうじゃないですか?」 リ「うん、あたしもそう思ってた。  どう? 部長。」 レ「いや…それだと効率はいいかもしれないが、  何かあった時に危険だ。  撮影機材もあることだし、男手がないと危険だろう。  だから、キミには悪いが、  二人が探索に出て、残りは待機ということにしよう。」 マ「というと…。  まず最初に誰かとコイツが出発して、  戻って来次第、次の誰かとまたコイツが、ってこと?」 リ「うっわ。  キミぃ、重労働じゃん。  大丈夫なの?  変わってあげよっか?  大事な新人は大事にしないとだしさ。」 ヒ「ふふ、さすが、男の子ですね。  大丈夫だって、強くうなずいてくれて。  じゃあ、部長の言う通りにしましょうか。」 レ「では、早速私とまず、神社の奥の道…。  そうだな、A地区とでも呼ぼうか。  あちらへ出発することにする。  待機のメンバーはここで、寝泊まりの準備だ。  残りのB、C、D地区に誰が行くのかも、  そちらで決めておいてくれ。」 マ「ついでに、この本堂の中ぐらいは調査しておくよ。」 ヒ「では、二人とも、いってらっしゃい。」 リ「気をつけてね。  何が出てくるか、わかんないからさ。  キミも。フィールドワークはこれが初めてなんだから。  無理しないようにね?  部長は…ま、慣れっこだから平気かな。」 レ「ああ、そのとおりだ。  どんと来いと言ったろう?  さあ、行こう。 腕が鳴るな。 ふふふふふ。」