帰ったぞ、弟子よ。 早速じゃが……夕食の準備をせよ。 今日は忙しなく、碌な食事もとれておらんかった故、少々早いが……。 ……って何じゃ?その耳は……。 それに尾まで付けて……。 ……お前まさか、変身魔法でも使うたか? はぁ……たわけ、それはまだ早いと釘を刺しておいたであろ。 自らの体を変化させる変身魔法は、才ある者でも習得に長い年月が必要じゃ。 それをお前の様な未熟者が使えば……必然、その様に中途半端な姿にしかなれぬ。 加えて……どうせ元に戻せなくなったのであろ? 偶然耳と尾まで再現できたはよいが、偶然故に戻し方が分からぬ……。 全く、未熟者の典型よ。 なに、妾を……? はぁ……馬鹿弟子め。 お前如きが妾を驚かせようなどと、百年早いわ。 おまけに……失敗しておったら世話もない。 妾の弟子として、ほとほと呆れる醜態じゃな……。 ……ふん、まぁよい。 それよりも……どれ、少し見せてみろ。 ……ほれ、屈め。 そのままでは、耳に手が届かぬではないか。 ……ふむ、これは中々……ふわふわじゃの……。 耳と尾のみとはいえ、馬鹿弟子にしてはよく出来ておるわ……。 ……。 ん……?何じゃ?別に妾はお前を助けてやるつもりなどないぞ? この結果は全て、お前の不注意が招いたこと……。 故に、これもよい教訓だと思って、暫くはこのままでいるがいい。 ……そう案ずることはない。 この様な未熟な魔法、放っておけばその内勝手に戻るであろう。 それまでの間は、大人しく反省でもしておくんじゃな。 ……では、夕食の準備ができたら呼ぶがいい。 妾は部屋に戻っている故……迅速にの。 ……あぁそれと……弟子よ。 その姿は……くふ、正うているぞ? いっそ、戻すどころか当分はその姿のまま、暮らしてみるかの……? ……くふふ、冗談じゃ。 では、また後での。