む……気が付いたかの? ふむ……どうやら、生きてはいたようじゃな。 多少治癒を施したとはいえ、中々目を覚まさぬものじゃから、 このまま永久に眠ってしまうものかと思うたぞ。 お前……妾のお陰で命拾いしたの。 ……して、お前よ。 何ゆえ、あの様な場所で倒れておったのじゃ? この辺りは、人間がうろついていい様な場所ではないぞ。 よもや……迷い込みでもしたか? む、妾か? 妾は……そうじゃな、魔女、と言えば伝わるかの? ……何じゃ、その目は。 もしや、妾をただの童だとでも思うたか? ふん……これだから人間は。 見掛けだけで相手の真贋を判断しようとは……呆れるぞ。 ……まぁよい。 それよりも、早う妾の質問に答えるがいい。 お前……この様な魔の奥地に、一体何をしにきた。 妾が見つけた時、お前はほぼ丸腰であったが……。 まさか、死にに来たという訳でもあるまい? ……だんまりか。 ふん……何やら訳ありのようじゃの。 じゃがまぁ、お前にどんな訳があろうと、妾の知ったことではない。 答えたくないというのであれば……それもよいじゃろ。 別に質問の答えに特段興味がある訳でもなし……。 これ以上は時間の無駄じゃな。 ……ほれ、意識が戻ったのであれば、ここから疾く去るがいい。 お前を拾うたのはただの気紛れじゃ。 後は、どこへなりとも好きに行け。 ……はぁ。何じゃ、そのしけた面は。 その様な表情を見せてみれば、妾が絆されるとでも思うたか? ……言うておくが、妾は人間が嫌いじゃ。 特に、お前の様な物を知らぬ小僧はの……。 故に今、こうして話だけでもしてやっておるのは妾の温情によるものじゃ。 無論、これ以上妾の手を煩わせるようであれば……分かっておろうな? その命、無いものと思うがいい。 ……おい。お前、いい加減にせよ。 今この場で、消し炭にしてやってもよいのだぞ? それか、恐ろしい魔法の実験にでも使われるのが望みかの……? ……なに?それでもよいと……。 むぅ……尻尾を巻いて逃げ出すかと思うたのじゃが……。 はぁ……面倒な拾い物をしてしもうたの……。 ……。 ……思うにお前、大方行く当ても無いのであろう? 全く……であれば素直にそう言え。まどろっこしい奴め。 ふむ……ならば、そうじゃな……。 丁度雑用をこなす、都合のいい者でも欲しいと思うておったしの……。 ……では、こうしよう。 お前、妾の弟子になれ。 その命、どうせ捨てるのも惜しくない程度のものなのであれば…… せめて精々、妾の為に役立てるがいい。 よいな? ……何を呆けておるのじゃ? お前を、妾の弟子としてこき使うてやると言うておるのが分からぬか? くふふ……それとも、今更逃げ出したくなったかの……? じゃが、妾は一度決めたことを覆さぬ主義じゃ……お前に拒否権はない。 分かったのなら……お前は今この時より、妾の弟子じゃ。 故に今後は、妾の言う事に従ってもらうぞ。 弟子は師の言う事を何でも従順に聞くものじゃからな……? ……これ、いつまで黙っておる。 師に対して、返事ぐらいはきちんとせよ。 分かりましたお師匠様、じゃ。 ほれ、言うてみろ。 くふふ……まぁ、よいじゃろ。 後は……あぁそうじゃな、まだ名乗っておらんかったかの。 ……ネロじゃ。 本来ならば、人間如きに名乗る名ではないが……。 妾の弟子となったお前には……特別じゃ。 光栄に思うがいい。 ……くふふ。 では、よろしく頼むぞ……我が弟子よ。