●第1章  母「それじゃあ、お母さん、行ってくるからね。  お留守番よろしくね。  お母さんとの約束、覚えてる?  戸締まりはきちんとすること。  見ず知らずの人を、勝手にお家にあげないこと。  火や刃物を使う時は、充分気をつけること。  あと、困ったことがあったらお隣さんに相談ね。  でも、お隣さんもいろいろ忙しいそうだから、 あんまりご迷惑はかけないこと。  自分でできることは、自分でやるのよ? いい?  大丈夫? うん、それならよし。  一週間ぐらいで帰ってくると思うから、それまでがんばってね。  お土産買ってくるからね。  じゃあね。ふふふ。」 重「ごめんくださーい?」 代「どなたかいらっしゃいますかぁ?」 重「あら? ボク…。ふふふ、こんにちは。  はじめまして。」 代「お母さんやお父さんはいらっしゃるかしら。  …え? いないの?  あらあら…。ということは、今、ボク一人でお留守番?」 重「まぁ、そうなの…。ふふ、えらいわね。  お仕事かしら…。  う~ん…。  私たち、一昨日ここに引っ越してきたから、  近所の人たちにご挨拶に回ってるのだけど…。」 代「帰ってくるのはいつ頃になるの?  …一週間? また長いのねぇ。  それじゃあその間、ボク一人なんだ?」 重「そう…。なんだかさみしそうね。  ふふ、よかったら、お姉さんたちが毎日、  様子を見に来てあげましょうか。  ボク一人で一週間も過ごすのは大変でしょう?」 代「え? そんなことない?  ふふ、そうね。ごめんなさい。  ボクはもう、立派な男の子だもんねぇ。  じゃあ、様子を見に来るんじゃあなくって、  遊びに来るってことでいい?  ご近所さん同士、仲良くしましょ?」 重「私の名前は八重。こっちが…。」 代「八代って言うの。よろしくね、ボク。  ふふふふ…・」 重「それじゃあ、はい。これ、ご挨拶の菓子折り。 中にお菓子が入ってるの。  …そうだ。せっかくだから、いっしょに食べましょ?」 代「あら、いいわねぇ。  お近づきの印に、いっしょにお茶しちゃいましょう。  いいでしょ?  お姉さん、ボクのこと、もっと知りたいなぁ…。」 重「いいの? ふふふ、ありがとう。  それじゃあ、お邪魔しまぁす。」 代「失礼します~。ふふふ…。」 重「っと…。気をつけないと、天井に頭、ぶつけちゃうわね…♪」 代「はい?  ふふ、そうね。私たち、大きいでしょう?  大きなお姉さんは嫌い?  ふふ、そんなことないんだ。  ええ、ありがとう。そう言ってくれて、嬉しいわ。」 重「さて、お茶を入れましょうか。  ボク、台所まで案内してくれる?」 代「お姉さんたちが、おいしいお茶、入れてあげるからね。  いっしょにお菓子を食べながら、お話しましょうね。  ふふふふふ…♪」