どうぞ。 薬草茶です。 ふふっ、この薬草茶は体を温め、 内臓を癒す効果があるんですよ。 熱いのでゆっくり飲まれてくださいね。 ……まだ傷が痛みますか? ふむ、このどんよりした感じ。 もしかしたら、これは……、 少し、傷を見せていただいてもいいですか? 傷は塞がっているのに、 痛みだけが出てきている。 どうやら先ほどのモンスターとの戦いで、 呪いも受けたようですね。 邪気のようなものを吸い込みすぎたようです。 それに、この感じは……。 もしかして以前に、 アンデッドのようなモンスターと、 戦ったことはありますか? あぁ、それでなのですね。 どうやら先ほどの戦い以外にも、 呪いを受けているようです。 一つ一つは小さな呪いですが、 こうして積み重なると、 意外に大きな呪いとなるのですよ。 もう少し見せてください。 ふむ、特に耳のあたりがひどいようですね。 即効性は無いようですが、 このまま放置しておくと、 近いうちに異常が出てくるでしょう。 耳というのは守るのが難しい場所ですからね。 呪いの箇所として狙われやすいのですよ。 ふふっ、ですが、安心してください。 あなたの前にいるのは女神アルティス。 この程度の呪いなど、 簡単に浄化することが出来ます。 ふふっ、森を守ってくれたお礼です。 私に任せてください。 ふむ、この呪いの感じだと、 ヒーリング耳かきがよさそうですね。 ご存知ですか? こちらの特殊な杖を使って、 耳に癒しの魔法をかけていく、 というやりかたがあるのです。 この杖は形は耳かきによく似ていますが、 この森に生える聖なる木から作られたもの。 こちらを使って、 耳から癒しの魔法を送っていきます。 そうすることで通常よりも、 効果的な浄化を行うことができるんですよ。 そうと決まれば、 早速始めていきましょう。 では、まずは左耳からしていきましょうか。 膝枕してあげますね。 どうしました? 遠慮することはありません。 ほら、私に体を預けてください。 そのほうが私もしやすいですからね。 ふふっ、気遣ってくれるのですか? 優しいんですね。 ですが、私は女神ですよ。 人が何かをしたくらいで、 ケガをするようなヤワな存在ではありません。 ですから、安心して全てを任せてください。 それにこれは呪いを解くための術ですから、 何も恥ずかしがることはありませんよ。 そうそう、体重をかけてください。 ふふっ、そうですよ。 頭の位置はそこでいいのですか? では、左耳を上にしてください。 どれどれ、耳はどんな感じでしょうか? ふふっ、随分と汚れているみたいですね。 あぁ、恥ずかしがることはありませんよ。 汚れというのは、 がんばってきた証です。 忙しくてなかなか手入れをする暇もなかったのでしょう。 ふふっ、頑張っている人は素敵ですよ。 だから恥ずかしがらないでください。 では、始めていきましょう。 まずは綿を使って耳を拭きあげていきますね。 これですか? これは祈りを込めて織り上げた女神の綿。 この綿にたっぷりと、 聖水を含ませていきますよ。 この聖水を含ませた綿で、 耳の周りを拭いていきますね。 まずは耳の表面を、 撫でるようにして、 やさーしく拭き取っていきます。 少しひんやりしますから、 びっくりしないでくださいね。 ……いかがですか? ひんやりして気持ちいいですか? それならよかったです。 ふふっ、この聖水は、 泉の水を原料としているんですよ。 泉の水とハーブと混ぜて、 祈りを捧げることで聖水になるのです。 こうして治療にも使えますし、 お茶にして飲むと、 体の中から女神の祝福を受けることができるのです。 面白いでしょう? ふきふき、ふきふき。 ふきふき、ふきふき。 ふふっ、これですか? 治癒魔法の呪文です。 本来は全く違う詠唱なのですが、 耳のマッサージをしながら、 長い呪文というのも落ち着かないですよね。 なのでオノマトペで発動するように、 特殊な術式を私が作ったのです。 ふきふき、ふきふき。 ふきふき、ふきふき。 ほら、言葉に身を任せて、 リラックスしてください。 私がオノマトペを言うたびに、 じんわりと癒しが染み込んでいきますからね。 耳を通して、 身も心もほぐしていきますからね。 ふきふき、ふきふき。 ふきふき、ふきふき。 次は耳の裏側です。 ふきふき、ふきふき。 ふきふき、ふきふき。 あら? こんなところにも傷が。 古傷になっているようですね。 何も言わなくてもわかりますよ。 勇者、というのは大変な立場ですものね。 それでもあなたは人前に立ち、 文句を言わず戦い続けてきた。 きっと人に言えないプレッシャーとか、 たくさんあったと思います。 しかし、あなたは全部を飲み込んで、 立ち向かい続けているのでしょう。 とっても偉いです。 本当に頑張りました。 誰も気づかないかもしれませんが、 私は全てをわかっています。 よしよし、ですから今日くらいは、 私に全部甘えていいんですよ。 人に頼っていいのです。 私はあなたの女神。 私の前で隠し事をする必要はありません。 ふふっ、 今度は耳の窪みのところを拭いていきますね ふきふき、ふきふき。 ふきふき、ふきふき。 窪みに合わせるようにして、 綿でなぞっていきます。 ふきふき、ふきふき。 ふきふき、ふきふき。 いかがですか? こうして耳を拭くだけでも、 スッキリするでしょう? 汚れと一緒に呪いも少しずつ、 落ちてきていますよ。 このまま続けていきましょう。 では、次は指で耳をほぐしていきますね。 手のひらで耳を包み込んで、 温めるようにして揉んでいきますよ。 モミモミ、モミモミ。 あら? 気づきましたか? 実は少しですが、 手にも聖水をつけているのです。 こうして手を使って塗り込むことで、 より深くまで染み込ませていくんですよ。 モミモミ、モミモミ、モミモミモミ。 耳が温まっていくのがわかりますか? 聖水の効果を深く感じることができるでしょう。 モミモミ、モミモミ、モミモミモミ。 ふふ、お耳、柔らかくなってきましたよ。 モミモミ、モミモミ、モミモミモミ。 ほぐれて赤くなってきました。 気の流れが良くなってきた証拠です。 それでは、そろそろ耳かきをしていきましょう。 じっとしていてください。 ゆっくりと、耳かきを入れていきますね。 ふふっ、入りましたよー。 それでは動かしていきますね。 まずは耳の浅いところで、 カリカリ、カリカリ。 具合はいかがでしょうか? 違和感があれば、 すぐにおっしゃってください。 カリカリ、カリカリ、カリカリカリ。 耳は敏感な部位ですからね。 やりすぎると、 逆効果になってしまうのです。 コソコソ、コソコソ、 カリカリ、カリカリ。 カリカリ、カリカリ、カリカリカリ。 とはいえ、こうして動かすの、 気持ちいいですよね? ふふっ、わかってます。 もっと動かしていきますよ。 カリカリ、カリカリ。 コリコリ、コリコリ。 カサカサ、カサカサ、 カリカリ、カリカリ。 ふふっ、言葉にされると、 意識してしまうでしょう? カリカリ、カリカリ。 コリコリ、コリコリ。 カサカサ、カサカサ、 カリカリ、カリカリ。 次はもう少し深くしてみましょうか? カリカリ、カリカリ、カリカリ、カリカリ。 ふふっ、なんだか大きなものが中にいるようですね。 カリカリ、カリカリ、カリカリ、カリカリ。 ここは少し集中して、掻き出していきましょう。 じっとしていてくださいね。 優しく。 カリカリ、カリカリ、カリカリカリ。 もう少しですよ。 じっとしていてください。 カリカリ、カリカリ、カリカリカリ。 硬いのが、 入り口のところまで出てきてます。 カーリカリ、カリカリ、カリカリ、 カーリ、カリ、カリカリ、カリカリ。 ふふっ、取れました。 大物が潜んでましたよ。 ふふっ、それでは、 今度はこまかい汚れを掻き出していきますね。 カリカリ、カリカリ、カリカリカリ。 動かすたびに、 こまかい汚れが出てきます。 気持ちいいですか? ふふっ、それはよかったです。 汚れと一緒に呪いが浄化されてる証拠ですね。 カリカリ、カリカリ、カリカリカリ。 カリカリ、カリカリ、カリカリカリ。 かき出すのはこれくらいにしておきましょう。 残りは梵天でやっていきますね。 梵天、というものをご存知ですか? 耳かきの裏側についている、 このふわふわした部分です。 こちらを使って、 耳の中に残った汚れを払っていきますよ。 中で少し動かしますよ。 くるくる、くるくる、くるくるくる。 ふふっ、いかがですか? ふわふわした感触が気持ちいいでしょう? 実はこの梵天も特製のものなんですよ。 くるくる、くるくる、くるくるくる。 ふふっ、左側はこれで終わりです。 体の左側がすっかり軽くなったでしょう。 耳の汚れはもちろん、 呪いや邪気もしっかり払ってしまいました。 物足りない場所はありますか? もし、あれば、 遠慮なくおっしゃってくださいね。 ふふっ、気持ちよかったなら何よりです。 それでは仕上げに祝福の息吹を。 はぁ、はぁ、はぁ。 ふぅー、ふぅー。 ご存知ですか? 女神の吐息には幸運を招く効果があるのです。 たっぷり浴びて、 幸せになっちゃいましょうね。 はぁはぁ、はぁはぁ、 ふっ、ふっ、ふぅうー。 いかがでしょう? ちょっぴり幸せな気持ちになれましたか? ふふっ、喜んでいただけたのなら、 何よりです。