…あ、目が覚めたみたいだね。 …そうだよね、いきなり目の前が真っ暗になったと思ったら、全然知らない場所にいるんだもん。 ビックリしちゃうよね。 大丈夫、落ち着いて…怖くないよ〜… ごめんね。 人間ってビックリすると、暴れて怪我をしちゃうって聞いたから… こうそく…? で合ってるよね? させて貰ってるね。 あと、間違って舌を噛むと死んじゃうって聞いたこともあるから、猿ぐつわっていうのもしてあげてるけど… うん、上手くできてるみたいだね。 良かった… あ、自己紹介がまだだったね。 私はライカ。 君たちの言葉で言うと…研究者、かな? それで、君をここに連れてきたのには、ちゃんと理由があるんだけど… ん〜…君たちにも分かるように言うと… これから君に幸福になってもらうために、 実験をさせて欲しいの。 あれ、わかってない…? あ、ごめん! 前提をちゃんと説明しないとだよね。 えっと、私はね… 君たちの住んでる世界から、 とっても遠いところから来たの。 あ、ううん、違うよ、距離とかじゃなくて… もっと…そうだな… 違う次元?から来たって言えば良いかな? そこでは、色々な世界の生命の『保全』を行っているんだけど… 私は少し前に君たち…人間という種の保全をする役目を任されることになったんだ。 本当は私の前にも、この役目をやっていた前任者がいたんだけど… 君みたいな人間で色々な実験をやった後、 『この子をずっと可愛がりたいから、あとはよろしく~』 って、いなくなっちゃったんだ… でね、資料は少ししか残されていなかったんだけど… それを読んでみたら、 人間という種の保全には、 人間が『幸福』に感じる事が一番大切で… 体が『気持ち良い』って言うのを感じると 『幸福』の値が高くなる。 って書いてあって… でも肝心の 『どんなことをすれば、人間の体が気持ち良くなれるのか』 が全然書かれてなかったんだ。 だから、それを今から君で実験させてもらうね。 あっ、大丈夫。怖くないよ。 痛いこととかは絶対ないから、安心してね。 それに… 実験で失敗しないように、前任者が注意事項をちゃんと書いてくれてたんだ。 幸せすぎると、それを受け止めきれなくて暴れちゃうことがあるから、 怪我しちゃわないように、ちゃんと手足を拘束しておくこと。 とか。 あとは… 喜びすぎると喉が潰れるほどの大声をあげちゃったり、 間違って舌を噛んじゃうことがあるから、 そう言う事がないように猿ぐつわをしておくこと。 とか。 あ、大丈夫。 喋る必要はないよ。 ふふ、ちゃ~んと知ってるよ? 人間って『嘘』って言うのをつくし、でも『体は正直』なんでしょ? 本当は『もっとやって欲しい』って思ってるのに、それを素直に打ち明けるのは恥ずかしくて… つい口では『辛い』『やめて』『助けて』『許して』なんて、思ってもないことを言っちゃう… これも資料に書いてあったの♡ だから、座った人間の『気持ち良い』の値を計れるように、その椅子も私が作ったんだ♡ この値を見ながら、君ができるだけたくさん気持ち良いって感じられるように実験をしていくからね。 今はまだ、よくわからなくて怖いかもしれないけど… 安心してもらえるように、私も精一杯頑張るから。 じゃあ…早速実験を始めるね♡