【母・愛季】 あ、お帰りなさい。 今日も遅くまで部活だったのね? お疲れ様。 あっ…、んっ…♥ あ…、紹介するね? この方は黒角先生♥ 催眠療法の先生で、ママがいつもお世話になってるの♥ …あれ…? でも、こうしてあなたと会うのは初めてだっけ…。 パパが亡くなってから何度もうちに来てたのに…。 あ、先生…♥ はい、この子が息子の…♥ …はい。前にも話した通り…。 この子、あの人にそっくりで…。 んあっ…♥ せんせ…♥ …はい…♥ 続き、お願いします…♥ ママ、先生にもう少しだけ、 寝室で「治療」をしてもらうから…♥ ご飯、少しだけ遅くなっちゃうけど…、 ごめんね?♥ あ、二階に行くなら、 ついでに唯がちゃんと勉強してるかどうか、 部屋を覗いてみてくれる? 美優が見てくれてるとは思うんだけど、 あの二人仲良しだから、 話し込んで全然進んでないかもしれないし。 うん、それじゃあ…、お願いね。 あ…♥ お待たせしました…♥ 【姉・美優】 あ、おかえり。 【妹・唯】 あ、お兄ちゃん。 なに? は? 勉強してるか見に来たの? もー、ママに言われたんでしょ。 別にしてるし。 【姉・美優】 クスクス…♥ ファッション雑誌読んで、 男子にモテる服装のお勉強してたんだよね? 【妹・唯】 ち、ちがうし…! …っていうか、 お兄ちゃん、あいつに会った? 黒角とかいう…、怪しいおじさん。 あいつ、前からママと会ってたって言ってたけど、 うちら誰も会ったことないんだよ? おかしくない? しかも催眠術師とか言って、 絶対怪しいって。 【姉・美優】 さっきね、 私たちも催眠術かけてもらったんだけど、 結局なにも効果なかったのよね~。 「勉強に集中できる催眠」って言ってたけど…、 唯は見ての通り、いつもと変わらないし…。 【妹・唯】 エセ催眠術師とか、絶対やばくない? それにあいつ、ママのこといやらしい目で見てたし…。 うちらのことも…。 とにかく、お兄ちゃんも注意してね? 【姉・美優】 まあ、唯の考えすぎな気もするけど…、 もし何かあったときは、お願いね? パパが亡くなってから、 うちに男性は、キミひとりだけなんだから、 何かあったときはママを守ってあげてね? 【妹・唯】 …ってか、もう用は済んだんでしょ? いつまでいるつもり? 【姉・美優】 クスッ♥ うちら、ガールズトークしてたんだよね~♥ 唯が同級生のユウスケ君のこと気になってるって話…♥ 【妹・唯】 ああああ、言うな~! お兄ちゃんには…、関係ないし…! お姉ちゃんこそ、この前の彼氏とのお泊りの話、 お兄ちゃんにバラしてもいいわけ? 【姉・美優】 クスクス…♥ 私は別に? 彼氏との恋愛事情を弟に話しても、 全然平気だよ? 唯みたいにお子ちゃまじゃないから…♥ クスッ…♥ 【妹・唯】 うう…、 とにかく、お兄ちゃんはもう出てって! 【姉・美優】 あはは…♥ あー、勉強は私が見ておくから。 うん。