「さてさて、次は~…っと あれれ?ここからは店員さんにお任せってなってますね ホントにこれで大丈夫なんですか?」 ええ、お客様は今回、どんな音を聴かせるかは一任して下さってるの だから、私たちにとっては責任重大ね 「確かに…せっかくここまでリラックスして貰えたのに、変な音を聴かせちゃったら台無しですもんね んんぅ~…どうしましょう…」 ふふ、お客様は普段から好きな音探しをするくらいなんですもの… やはりここは少し趣向を変えた音をお聴かせした方がいいんじゃないかしら? 「なるほど~!耳が色んな音に慣れちゃってますから、新鮮な音でぞわぞわさせちゃおうって訳ですね」 そういうことっ… というわけで、今回はこういうのを使ってみようと思うんだけど… 「えぇと…これは粘土…ですかね? んぅ…それに炭酸パック…? なんだかよくわからない組み合わせな気が…」 それもそうね、普通に粘土をこねたりする音でもいいし、炭酸パックの疑似プレイでもいいんだけど… ここは敢えて、耳元で聴かせていく形を取ろうと思ってるの ほら、やっぱり耳かき音とか耳に近い音の方が感覚的には強いでしょ? だから、通常の使い方ではダメだなって思って… 「えぇ~っ!? そ、それじゃあ…マイクに直接くっ付けたりするんですか…? いやいや、流石にそれはまずいですって響花センパイっ… お店の機材なんですし、壊したら店長さんに怒られちゃいますよ~」 ちょ、いくらなんでもそんな危ない事はしないわよ この特殊な道具を使って、マイクに直接当たらないようにするつもりだから… 「そ、そうだったんですね…良かったぁ~ 私の中で響花センパイが過激なイメージになるところでしたよ」 もう…勝手に人を危ない人みたいに思わないでよね ほら、花奏さんもこれを使ってやってみなさい? もし、不安なら私のを見てからでも大丈夫だから… 「は、はいっ…ありがとうございます なんだか緊張するなぁ…」 大丈夫よ、見よう見まねでいいんだから♪ それじゃあ、まずはこの粘土から… …… …… 袋から出して、これを道具の中にくっつけていって… ぺた、ぺた… うん、これくらいでいいかな? このくっつけた粘土を綿棒で擦っていきますねー… …… …… 「わ、粘土を綿棒で擦るとこんな音が出るんだ… 使ってる道具の影響で耳かきっぽくなってますし… なんて言ったらいいんだろ…粘土耳かき…?」 呼び方はなんでもいいから、ほら… 花奏さんも反対側の方からやってみて? 片側だけお預けだとお客様が可哀想でしょ? 「そ、そうですねっ それじゃあ、私も…失礼しまーす…」 …… …… 「う、うーん… こんな感じでいいのかな…?」 良い感じよ、花奏さん… 単調にならないように、音の出し方にも気を付けてね? 耳元だとちょっとした音でも敏感になりがちだから… …… …… 浅い所だけじゃなくって、こうやって奥の方も…っ 現実的にはやらないシチュエーションですし、どうか音だけをお楽しみくださいね …… …… 「ふふ、耳に粘土なんて普通はくっつけたりしないですからね あくまで音の癒しがメインですし、深く考えたりはしないのが一番ですっ…」 …… …… さてと…これくらいにして、今度はくっついている粘土を取り除いていきましょうか はい、花奏さんっ…このヘラを使ってみて? 「なるほど~、直接指で取るんじゃないんですね これだと、なんだか耳かきしているみたいな感じになりそうかも…♪」 ふふ、出せる音はともかく…やってる私達からしたら、そう思えるかもね さっ、お客様も待ってる事だし、続けていきましょう? …… …… ヘラで粘土を細かく切ってから…少しずつ…少しずつ… …… …… 「んぅ…おっきな音を出さないように慎重にやらなきゃ… そーっと…そーっと…」 …… …… 段々とくっついていた粘土が取れてきましたね… あとは奥にあるのをっ… …… …… 「うーん…奥の方は見えにくくてやり辛いなぁ… んしょ、んしょ…この辺かなっ…? うるさくしちゃったら、ごめんなさいっ…」 …… …… ふぅ…こんなところで大丈夫かしら そっちはどう?花奏さん 「あ、はいっ なんとか全部取り除くことが出来ましたよ あー…でも、まだ細かいのがくっついてるかも…」 大丈夫よ、後で水洗いするし… それに替えなら用意してあるから 「ほっ…それなら安心ですね んぅ?替えがあるってことは…まさか、あの炭酸パックも…?」 ふふ、そのまさかよ♪ 炭酸パックを直接耳に付ける事なんて、現実的にはないだろうし、 私達が疑似体験としてお客様に感じて貰わなきゃね 「さすがは音の探究者…響花センパイはやる事が違うなぁ~… 私にはそこまで考えが至らなかったですもん…」 な、何よその二つ名みたいなの… お客様への癒しを考えたら、こんなの普通じゃないっ ほら、お喋りしてないで早く始めるわよ? …… …… この炭酸パックを耳に流し込むように… んしょ… …… …… 「ふわぁ…凄いですね 耳の中に泡が広がる音と炭酸のしゅわしゅわした感じが響いてきて新鮮です… ふふ、お客様も凄く気持ちよさそう…♪ だったら、私も…えぃっ…♪」 …… …… 一通り流し込んだ後は、この泡を綿棒でかき混ぜてみましょうか お客様…どうかそのまま何も考えずにリラックスです… …… …… 「まさかこんな風に泡を綿棒でかき混ぜるなんて思わなかったなぁ… まるで耳の中を泡洗浄してるみたいですね …っていうか、この泡…すっごいもちもちぃ…♪」 ふふ、泡の中にクレイが混ざってるのもあって、通常の泡とは違うのよね おかげで吸着力も高くて、すぐには流れたりしないし… …… …… 「えへへ、綿棒でツンツンするのがもったいないくらいですね こんな風に指で直接触りたくなっちゃいますもん…♪」 そうね、肌で実際に触れた方がこのもっちり感は味わえるんじゃないかしら 私は綿棒…花奏さんは指でかき混ぜて音の違いを出してみる? 「いいですね~… お客様にはこの微妙な違いを感じ取って貰えたら嬉しいな…♪」 …… まぜ、まぜ… まぜまぜ…まぜまぜ~… …… ちょっと動きを止めて、しゅわしゅわ音を聴かせたり… …… …… 耳かきをするみたいに浅い所から深い所へ… 「お客様ぁ…このもちもちの泡に包まれていってくださいね~… 現実では味わえない感覚だからこそ、その中に心地よさがあるはず…」 …… …… 眠くなってきたら、無理して意識を保とうとしないでくださいね…? 知らない内に寝落ちしてしまうのが一番いいのですから…♪ 「そうですよー…気付いたら施術が終わってた~、くらいが丁度いいんです お客様にとっては少し勿体ないんでしょうけど…」 私たちからしたら、むしろお客さまを癒せたということ… 途中で寝てしまわれても、勿体ないどころか嬉しい事なんです ですから…遠慮なく、ストンって眠って下さいね…♪ …… …… 「えへへ、お客様ってば、身体がぴくぴく動いちゃってる…♪ 口も半開きになってるし、もうすぐ寝ちゃいそうなのかな?」 そうね、あと一押し…と言ったところかしら んー…このまま炭酸パックを続けてもいいんだけど、最後はアレ…やってみましょうか? 「あっ、アレですね? ふふ、お客様は大好きだもんなぁ… コース料理で言えば、締めのお茶菓子とコーヒー…といった感じかな?」 ええ、お客様はこれまで提供した様々な音でたっぷり癒された訳だし… コース料理でお腹いっぱいになったように、眠気が最高潮に達したところで提供するのがベストなタイミングね♪ それじゃあ、花奏さん…いきましょう♪