君への思い (遠距離恋愛彼氏視点) いつからだったのだろう? 意識をし始めたきっかけも…分からない…。 気が付いたら自然と目で追いかけてたんだと思う。 親同士でも仲が良かったし、物心が付いた頃には隣にいるのが当たり前だった。 家族旅行で一緒になる事も珍しくなかった。もうそれは半分家族みたいなもんだった。 当たり前のように幼稚園から高校まで一緒で、更に家が近い事もあり一緒に帰る事多かった。 小学生の時はからかわれる事もあった。まあ、子供の頃はありがちな話だ。 自分からしたら兄弟みたいな感覚だったし、何がおかしいのかよく分からなかったのを覚えている。 とにかく一緒に遊ぶのが好きだった。男女の感覚なんて全く無かった。 中1くらいまでだろうか?今までと同じように部活が無い日は合わせて帰ってたりもしてた。 でもある日こんな話を耳にした。どうやら幼馴染はモテるようだった。 それからは無意識に気を使うようになったんだと思う。気にした事は無かったが顔もスタイルも凄く良い方だと思う。 性格も優しくて気遣いができる。考えるまでもない。それはそうだ、モテない訳がない。それに比べて自分は普通だった。た、多分……。顔はどうだろうか…。 …。 成績は? ……。普通だ…。性格は? や、優しいとは、思う…。……。 子供ながら気が付いてしまっていたんだと思う。 注目を浴びる美少女と冴えない男が一緒に帰ってたら、それはまあ、うん。 何かしら言われたり、しょうもない噂が流れる未来は容易に想像できる。自分は気にならないが幼馴染は別だ。年頃の女の子だ。 本当は遊ひたかったが、それからはあまり遊ばなくなった。会うのは親同士での付き合いの時くらいだろうか。 実際に目の当たりにした事はないが幼馴染は中学時代でも結構な数告白されていたらしい。 だが一度も付き合う事は無かった。 不思議に思っていた。理想が高いのだろうか? だがある日偶然見てしまった。高校で幼馴染が告白されている所を相手は学年でも有名なイケメンだった。 正直お似合いだった。誰が見てもそう思うだろう。 そしてその時の幼馴染は見た事の無い表情をしていた……。それを見た時に今までに味わった事の無い強い感情を感じた。 結果は知らなかったがそれからだったと思う。あらゆる事を努力した。 そして気が付いたら告白していた…。 今でも無謀だったと思う…既に付き合っていた可能性もあった。でも泣きながら頷いてくれた。 情けないが嬉しくて嬉しくて泣いてしまった事を覚えている。 それからはまた一緒に過ごせるようになった。時々喧嘩もした、全部自分が原因だけど……。本当に本当に毎日が幸せだった。 それからは自然と先の事も考えるようになった、他の人は考えられなかった。 どうすれば幸せにできるのだろうか?多分どんな形でもついてきてくれるとは思う。でも最高の形で幸せにしたかったから選択肢を変えた。理想の未来の為に。 今は中々会えなくなってしまった。 会えない距離ではないが片道4時間程度だ。どうしても次の日を考えると基本的に日帰りは厳しい。 でも数年我慢すれば理想の未来まで最短だ。 今の時代連絡手段はいくらでもある。会える回数は減るが連絡はこまめにしていたし、寂しくは無かった。 声を聞けるだけでも十分に幸せだから……。 最近ようやく時間が取れた。二人で映画館に行くことになった。懐かしい。高校生みたいなデ一トプランだ。 その後は手料理を振舞ってくれるらしい、本当に楽しみだ。後は猫カフエも。 一人暮らしを始めたのは本当に驚いた…サプライズって笑ってたけど本当に本当に驚いた。 最近色々とあったが彼女に励まして貰い何とか立ち直り最近は上手くいくようになってきた。それに加えて手料理だ、もう無敵だ。 楽しみで仕方がない。 ただ心配な事もある、最近は体調を崩しがちな事だ。 子供の頃はよく寝込んでいた。中学くらいからはほとんど無かったが……最近はそういった事が多いみたいだ。大丈夫だろうか…。もしかしたら環境の変化についていけてないのかも知れない。周りはなんだか賑やかな感じだし、振り回されてるようだ…。 もしかしたら環境ストレスと言う物なのかも知れない。本人が知らず知らずのうちに疲労が蓄積していたのかも知れない。微熱程度でも心配だ…。 でも熱はすぐに引き今は鼻風邪程度と言っていたが本当だろうか…….彼女は本当に優しい。無理をしていなければ良いが…。 後は周りが賑やか過ぎるのが正直気になるが…。彼女を信賴しているし、誰よりもしっかり している事を知っている。大丈夫だと思う。 そろそろ待ちに待ったデ一トだ。本当に楽しみで仕方がない。ただ、前回話した時も何だか息が荒かった気がする。本人は全然大丈夫と言っていたが本当だろうか…。 だが彼女はもう大人だ、自己管理くらいは出来るはずだ。彼女を信じる事にした。 ギリギリまで仕事を賴まれ集合時間が遅くなってしまった。まあ仕方ない…。でも会える事に変わりはない。十分だ。 久々に会う事ができた。いつ見ても本当に理想の人だ。改めて一日でも早く一緒に住めるよう努力すると誓った。 ただ…出会って早々なんだか火照っている感じがした。時々歩き方にも違和感があったし。上映前も後も、なんだか様子がおかしかった。 息も上がっていたし、既に熱が出ていたのだろう…。 何故もっと早く気付けなかったのだろうか……。浮かれ過ぎていた…。 上映後のトイレで再度本屋で集合する事になった。 20分経っても来なかったので電話したが出なかった。繋がったのは40分後で彼女からの電話だった。 自分に風邪を移さないように先に帰ったらしい……。 声が苦しそうだった。一人で浮かれてた自分が恥ずかしい……。悪い事をしてしまった……。 それから一か月近く通話する事は出来なかった。 心配で何度か話そうとしたがあまり体調が良くないと返ってきた。 出来れば声を聞きたかったが…あの時無理をさせてしまったからにはこれ以上無理はさせられない。 その後ある日突然電話が掛かってきた。 なんだか様子がおかしい、大丈夫なのだろうか…。 完全に息が上がっている、ただの風邪では無かったのだろうか…。もしかしたらインフルエンザだったり他の病だったりするのだろうか…。常に息が上がっていてなんだか返答もままならない感じだった。 それに何だか色っばい感じがした…。でも病人に対してその捉え方はあんまりだ…… 笑って誤魔化す彼女を心配しつつも会話を続けた。 通話を続けると聞いた事のない声が聞こえた。悲鳴にも近しい発声だったが同時に色っぼくもあった。そして唐突に通話が切れた。 …。 …*. …. ははは……。 ま、まさかな……。 …。 ……。