――最後に質問してもいいですか? あ、全然、答えたくなければ答えなくても大丈夫なんですけど。 おふたりは、お互いのどこが好きなのか、ぜひとも、お伺いしたくて。 ふふ、恥ずかしいですか。 はい。 ええ。 ふふふ。 とても素敵ですね。 新婦様は、新郎様の男らしいところが好き、と。 新郎様は、新婦様の素直なところが好き、と。 はぁ~、いいですね。 そういう関係性、憧れます。 私、こういう、 ウエディングプランナーという仕事をしていて、 良かったなーと思うところは、 毎日のように、幸せな新郎新婦のおふたりを見れることなんです。 ……といっても、 今、自分に恋人がいないので、 それはある意味、辛いところでもあるんですけどw ああ、すみません、変な話してしまってw でも、楽しみですね。 おふたりの結婚式。 素晴らしい時間になるように、 私、桐生奏が 全力でサポートさせていただきますので、 これから約8ヶ月間、よろしくお願いします! っと……。 それでは、あとは……。 うん。 新婦様のヘアメイクについて、 担当の者が打ち合わせをしたいそうなので、 別室でご案内させていただいて、 そちらが済みましたら、本日は以上となりますね。 新郎様はしばらくこの部屋で待機となってしまいますが、 よろしいですか? はい。 ありがとうございます。 それでは、新婦様。 そちらの扉から出ていたければ、 担当の者がスタンバイしておりますので、 どうぞ、そちらまでお願いします。 やりたいこと、したいこと、 なんでも、たくさん、 メイク担当に注文しちゃってくださいね。 新婦様、普通にされててもめっちゃくちゃ美人ですけど、 結婚式当日は、最高の仕上がりで式に臨みましょうね! はーい、いってらっしゃいませ❤ ……ふぅ。 奥さん、行っちゃいましたね。 あ、ねえ。 そっち、行ってもいい? うん、君の隣。 良いよね。 っと。 ふふ。 やー、でも、驚いちゃった。 仕事場で君に会うなんて思ってなかったからさ。 結婚願望あったんだね、君。 そういうのないって言ってなかったっけ? 良かったね、素敵な女性捕まえて。 ――ワカヤマ ミオさん。 君のタイプとは違う気もするけど……変わったのかな? あ、まだちゃんと言ってなかったっけ。 ご結婚、おめでとうございます❤ ……ん? ああ、そう。 入籍はまだ先の予定なんだ。 え? ごめんって、なに? 謝るのは、おかしくない? なにそれ。 なんかまるで、私が君に捨てられたみたいじゃん。 え、ちょっとムカつくw ねえ、彼女さんには話したの? 自分たちの結婚式を担当するウエディングプランナーが、 自分の元カノだーってこと。 ふw 話すわけないかw じゃあ私から伝えておいてあげよっか? ははw 冗談だってw 言わないよw まあ、君とは色々あったけど。 昔のことだから、ね。 大丈夫だよ。 私も、仕事は仕事として、ちゃんとやりたいから。 おふたりに素敵な時間を過ごしていただく。 おふたりに忘れられない最高の1日を提供する。 それが、ウエディングプランナ―の仕事ですから❤ ああ、そうだ。 それでひとつ提案したいことがあって。 あ、ちょっと仕事モードに切り替えるね。 新郎様から、新婦様へのサプライズなんて、いかがでしょう? 新婦様には秘密で、 式の途中で、新婦様への感謝の想いを伝えるお手紙を、 プレゼントと一緒にお渡しするんです。 きっと、お喜びになると思いますよ。 「私のために、準備してくれたんだ」って、 感動して泣いちゃうかもしれませんね。 ね、いかがですか? 新婦様へのサプライズ。 ふふ。 良いですよね。 私も、絶対にやった方がいいと思います。 それで……。 わかりますか? 新婦様が、喜びそうなプレゼント。 理解しているとは思いますけど、 これ、サプライズですから、 何が欲しいか本人に聞くなんてもってのほかですからね。 もし、プレゼント選びが不安なら……。 私が、協力してあげよっか? 新婦様――ミオさんと私、年齢一緒だし、 さっき話をした感じだと、 趣味とか好みも近いと思うんだよね。 だ・か・ら。 私が、アドバイス、してあげよっか? うん、決まり。 良かった。 大事な結婚式でのイベントだもん。 失敗するわけにはいかないもんね。 それじゃあ……君の次の休みって――。 あ、おっけー。 私もちょうどその日休みだから、 一緒に買い物しよっか。 時間とかはまた後で連絡するね。 連絡先とか、あれから特に変わってないでしょ? ん、了解。 ……ああ。 言う必要ないと思うけど、一応。 ねえ。 これは、ミオさんへのサプライズなんだから、 私と会うことは、彼女には絶対に秘密にしないとだめだよ? これは、ふたりだけの秘密だから……。 ね❤ くすくす❤