※本台本は依頼時の台本であり、完成音声とは内容が異なっている可能性があります。 ご了承くださいませ。 ■1話『亡国の姫と護衛剣士』 お、剣士殿、この肉はもう良いのではないか? 頂くぞ? …ふふ、拗(す)ねるな拗ねるな 早い者勝ちだぞ? 肉は、まだたくさんあるではないか♪ ん?どうした? 言いたい事は言ってみよ ふふ そうだな、剣士殿が山で獣を捕えてくれたおかげで、夕飯にありつけたな 剣士殿あってのわたしだとも。 感謝しているのだぞ? だが、この肉は渡さん♪ あーぐっ はぐっ あつ(熱)っ♪ ふーふー あぐっ はむっ むぐむぐ ごくっ ん~~うまい♪ 柔らかな肉など、何日ぶりだろうな あーぐっ あむっ はぐっ あぐっ むぐむぐ ごくっ ん~~♪ なんだ、そんな目で見おって、まったく… 人の肉を欲しがるなど、浅ましい剣士殿だな? ん ほら 剣士殿もかぶりつくといい どうした 遠慮するな んー? そこはわたしが口をつけたところ? …剣士殿、さては女慣れしておらんな? ふふっ はははっ まさか天下無双の剣士殿に、そのような弱点があったとはな♪ よい、わたしがよいと言ったらよいのだ。 ほら かぶりつけ。 どうだ? 旨いだろう? そっぽを向いて、どうした? 赤くなっているのか? ふふ 剣士殿は意外とかわいいのだな? さて、剣士殿。日も落ちてきた。 そろそろ明日からの予定を話そうか。 いまいましいエルフの反乱軍どもの追跡は、ひとまず撒(ま)いた、とみてよいのだろうか? ふむ ふむ そうか、この一週間、我らの動きが捕捉されている兆候はない、か。それは良かった ん? あぁ、もちろん油断はしないとも ……我が国を、民を、この手に取り戻すまでは絶対に。 ふふ すまんすまん。つい熱くなった。 では、当初の予定通りでいこうか。 剣士殿の祖国である人間族の国、デレシア帝国にゆき、ダークエルフの同胞に関する情報を集めるとしよう。 エルフ共の反乱により、今や各地に散らばってしまったが、我が同胞はきっと…きっと一丸となり、国の奪還に協力してくれるはず…。 大丈夫、…きっと大丈夫だ。 …よし、方針も決まったし、会議は終わりだな。 ふぁ~ぁ 明日に備えて、そろそろ寝るとしようか。 ふぅ。ここら一帯に結界魔法を張っておいた。 明日も早い。剣士殿も、休むといい …ふふ、今日もか。剣士殿は本当に強情だな♪ 今夜も一晩中、火の番をするつもりなのだろう? …なぁ、剣士殿。 一緒の布団で眠るか? ふふ すぐに赤くなるではないか。 剣士殿はやはりかわいいな。 …本当は眠れないのだろう? …わたしもだ。 まだ、わたしも未熟だな。 不安、恐怖、怒り。 一人きりの時間になると、どうも抑え込んでいる感情があふれてしまうようだ。 だが、二人ならば、眠れるかもしれないぞ? …おろおろしおって♪ では、命令してやろう。 こっちへこい。姫の命令だぞ? 元姫、だがな♪ そうだ、そこに寝そべるんだ。 …なんだ、そっぽを向きおって。まったく♪ 剣士殿は、シャイなのだな では剣士殿の背中、失礼するぞ? んっ んっ んぎゅぅぅぅぅ こうやって、ぎゅーって抱きしめられると安心するだろう? んぅ んぎゅぅぅぅぅ すぅーはぁー すぅーはぁー すーはぁー すぅーはぁー 剣士殿の息遣いも聞こえるぞ? んー? 少し荒いな?♪ すぅーはぁー すぅーはぁー すーはぁー すぅーはぁー わたしが眠れない時にな、 お母様がよくこうやってくれたのだ すぅーはぁー すぅーはぁー 温もりを感じると安心するだろう? ふぁぁ んぅ 眠くなってきた、な 剣士殿。剣士殿の背中は大きいな …それに、とってもあたたかい。 剣士殿。剣士殿にはよき人はいるのか? ふふ そうか、いないのか。…そうか♪ 剣士殿。剣士殿がいてくれてよかった 剣士殿まで居なくなってしまったら、わたしは…もう… んむぅ すぅ…すぅ… すぅ…すぅ…