トラック2  ここは国の外れにある魔王城… とは言っても悪いことなどは一切しておらず ただただ魔王という肩書を親から引き継いだだけのゆる~い魔王と… 魔王以上にゆる~い手下オークが のんびりとした生活をしているだけなのです そんな平和な魔王城に… ※ くっ⁉ はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…っ! ここはっ…魔王城… まずいわね…間違えて迷い込んでしまったわ… ってあっ⁉ 私は道の小石に躓き、盛大に頭を打ちました ぶえっ⁉ そしてそのまま…気絶してしまいました ※ い~ちごミルクは甘いけど~♪ 私はやっぱり…練乳派~♪ あれっあれっ…こ~れ…あんまり変わんない~♪ ん? なっ⁉ ちょ、ちょっとっ⁉ 大丈夫すっかっ⁉ し、しっかりしてください~! ※ うっ…うぅ… あ、あれ…私… あぁっ⁉ き、気が付いたっすっ! 大丈夫っすかっ⁉ え…? って、オークっ⁉ あっ、待ってくださいっ! 僕は別に、危害を加えるつもりはないっす! 噓よっ! オークは私達姫騎士相手に… あれこれ色々として…屈辱的な思いをさせるんだからっ! そんなことないっすよっ! 第一、もしそのつもりがあるなら…牢屋に入れてるっすよっ! 今…お姉さんが寝てるのは…ベッドすよっ! それに拘束とかもしてないっすっ! くっ! オークのベッドで寝かされるなんて…なんたる屈辱っ! 酷いっすっ! 僕…一生懸命、洗いたてのシーツを用意して、ベッドメイキングしたのに~! それに大変だったんすよっ! ここまで運ぶのっ! 噓噓噓噓っ! そうやって油断させておいて、私を襲うつもりでしょっ! 違いますよっ! 僕は魔王様のことが大好きなので、他の人に興味ないっすっ! いいや、信じられないわねっ! はぁ…本当に擦れてるっすね… 僕…心配で助けてあげただけなのに… あっ⁉魔王様~! なっ⁉魔王っ⁉ ぐすっ、ひぐっ! 魔王様ぁ~聞いてくださいよ~! 僕…僕っ! ただただ心配で助けただけなのに… この人、いちゃもんまでつけてくるんですっ! うぇええええええんっ! あっ…でへへへ~♡ 魔王様ぁ~♡ 僕のこと慰めてくれるんですか~♡ あぁ~っ⁉ イチゴ飴っ! く、くれるんですかっ⁉ ありがとうございます! は~むっ! ん~♡ 甘くて美味しい~♡ 魔王様しゅき~♡ くっ! 魔王っ! 私を捕らえてどうするつもりっ! って…え…? あ、あれぇ…? う、噓…でしょ? ひ、久しぶり… あ、あんた…こんな所で何してるの? んぇ…? この人、魔王様の知り合いっすか? 知らない人っ⁉ ちょっとあんたっ⁉ 私のこと覚えてないのっ⁉ 魔王様…? どうしたんすか? えぇっ⁉ 返してきなさいって…なんすかっ⁉ そんな、捨て猫を持ち帰った子供に怒る母…みたいなこと言わないでくださいよ そうよっ! それに私は、そこのオークに連れて来られたのっ! だから絶対に帰らないわっ! いや、体調良くなったら帰ってくださいよ え? 普通に…ずっといられても迷惑っす え? ってか魔王様見る前はずっと帰りたそうにしてたのに いきなりなんすかっ? わ、私は姫騎士よっ⁉ 魔王を見たら、討伐しないといけないのっ⁉ だから帰らないのっ⁉ は、はぁ…なるほど… ※ それから一週間ほどが経ったっす はぁ…いつまでいるつもりなんすか? もう一週間っすよ? う、うるさいわねっ! はぁ…よく分かんないっすね… あっ、これ夜ご飯っす うん…ありがと… 前から思ってたけどさ… なんすか? オークくんって料理上手よね でへへへ~♡ そんな風に褒められると照れるっすね~♡ 練習したの? はいっ! 魔王様って、黙ってるとろくな物食べませんから 僕がちゃ~んとした物を作ってあげないと! 本当に魔王のことが好きなのね はいっ! 僕の恩人ですからっ! 何かあったの…? あ~…それは… あっ! 言いたくなかったら、別に大丈夫よ? い、いえ、全然そんなことないっすっ! あの…僕…オークの中でも落ちこぼれの部類で… どんくさくて、能力低くて…ろくに就職先も見つからず… 故郷でみんなに出来損ないって馬鹿にされてったす でも…とうとう耐えられなくなって… 故郷を飛び出して、独りで旅に出たっす だけど…すぐにお金も底を尽きて…ご飯も食べられなくなって… 途方に暮れて…道端でぶっ倒れたんです そこであいつに助けられた…と? そうっす! 僕のことを優しく抱きかかえて お城まで運んでくれて…め~いっぱいご飯を食べさせてくれたっす! その後、僕を雇ってくれて… だから魔王様は命の恩人っす! ふふっ…そうなのねw 相変わらずだな…あいつは… え? 私も…オークくんと同じなのよ… あのね? あいつは、幼稚園の時の幼馴染なんだけど… 昔…私…デブでブスでさ… 周りの子達から仲間外れにされて…いじめられてて… でもね? そんな私に唯一…絡んでくる物好きがいてさ… はぁ…一体、どこの魔王様なんですかね…w ふふっ…分かっちゃった…? そう、その通りよ…w 馬鹿だと思わないw? 可愛くもないし性格も終わってる女の子に優しくするとか まぁ、魔王様って時たま マジで詐欺にひっかからないか、心配になっちゃうくらいのお人好しですもんね… でも…僕はそういう所が大好きなんですけどっ! ふふっ…私もよ… え? ん? 魔王様のことが好きなんすかっ⁉ 今さらっ⁉ むしろ今までの私の言動でどうして気付かなかったのっ⁉ い、いや…ってきり本当に憎んでるのかと… 逆よっ! 好きで好きでたまらないのっ! だ、だからその…まさかこんな所で再会できるなんて…思ってなかったから… ずっと…居座ってるわけ… なるほど… 探してた…ずっと探してたのっ! 愛重いっすね でしょ? 処女って愛重いのよ? ちなみにあいつに捧げるために守り続けてるのよ わ、分かったっすっ! 僕に任せてくださいっ! え? ここまで熱々な思いを聞いて黙ってられないっすっ! 僕が…え、え~っと…名前は? ミナリアよ? ミナリアさんの長年の恋を成就させるっすっ! 本当にっ⁉ はいっ⁉ 任せてくださいっすっ! じゃ、じゃあ…私に一つ名案があるんだけど… 手伝ってくれないっ! もちろんっすっ! ごにょごにょ…ごにょごにょ… うんうん…あっ… おぉっ! な、なるほど…確かにそれは…