【解説】 この作品の仕掛けは「双子トリック」にあたります。 式ノ島探偵事務所に所属しているのは、所長兼探偵である式ノ島織と事務員1名のみ。 事務員は式ノ島織の双子の姉、式ノ島凌です。 事の発端は、織が助手を欲しがったことから始まります。 ちなみに理由は、「いた方が箔が付きそうだから」という単純なものです。 式ノ島探偵事務所の経済事情的にあまり思わしくはありませんが、織は言い出したら聞ききません。凌はしぶしぶ承諾。そして、主人公はそこにタイミングよく連絡を入れて来ました。 電話に出たのは凌で、ここで当日履歴書は不要であると話しています。 織はただの助手を雇ってもつまらないからと、とある採用試験を用意します。 それは、「3日間の採用試験中、式ノ島織が別人に成り替わっているのを見破れるかどうか」という試験でした。 あくまで姉妹は本気で採用希望者を騙すつもりであり、作中の伏線と言える部分は全て織、凌のミスと言えます。 ☆時系列 ---本編開始前--- 0日目 主人公が式ノ島探偵事務所に連絡を入れる。 この時に対応したのは事務員の凌。凌の声でそのまま応対。 仮採用を言い渡される。 ---本編--- 1日目 織が主人公に応対。 2日目 凌が主人公に応対。 3日目 織が主人公に応対。正体を見破られたため、奥に控えていた凌が出てくる。 ☆伏線 《声優様による3種類の声の使い分け》 ①織の声 ②織のフリをした凌の声(+凌のフリをした織の声) ③凌の声 それぞれ調子が異なるように、声優様に演じて頂きました。 《足音》 音声作品の性質を利用した伏線として、足音の効果音に差異を持たせました。 織はのんびり屋で歩調が遅く、凌はせっかちなためきびきびと歩きます。 同じヒールの靴音ではありますが、速度に違いがあります。 《ヒロインの口調と態度》 織と織のフリをした凌とでは、若干ですが口調や態度も異なります。 凌は真面目なためさっぱりとした言い回しを好み、相手をからかうような口調が中々出来ません。 作中のセリフでも、「頼んだよ」、「待たせたね」、「地味な雑用ばかりで申し訳ない」、「よろしく頼む」など、凌本来の真摯な性格が出てしまっている部分も多々あります。 そして、凌はかなり律儀で親切な性格。そのため挨拶や案内、確認、指導を欠かしません。 自分の飲んだお茶のカップを積極的に片付けようとしたり、掃除用具を一緒に取りに行こうとしたり、メモを持っているか尋ねるなど(もし持っていなかったら備品のメモ帳を与えるつもりだったと思います)、面倒見の良さが発揮されています。 反対に、お茶を淹れることもままならない織は、そもそもメモの有無などの細かい事は気にも留めなさそうです(むしろわざわざ持参してきたことを意味なくつついたり…)。 掃除も、手持ち無沙汰な主人公自ら申し出て、「じゃあ適当によろしく」などと放任するかもしれません。 《その他の識と凌のミスについて》 ・茶葉の位置も知らないような織が、掃除用具の場所や掃除の手順をこと細かに把握している。 ・2日目、織の姿で事務作業をしていた凌。うっかり事務用パソコンとお茶をそのままにしてしまっていた。 ・3日目、勝手に入っていいと言っていたにも関わらず、実際にその場面に遭遇すると驚く織。 ・3日目、いくら近所だとしても鍵も掛けずに外出するのはおかしい。織がうっかり忘れたという理由以外でそれが起こり得るとしたら、誰か別の留守番役がいる可能性が考えられる。 ☆本筋外の伏線 ・織の手袋での握手描写は、後のサイコメトラーである説明への布石。 ・販売ページにて、「キャラクター紹介」とは書かず(当サークルではその表記で統一しております)、「プロフィール」と記載(紹介と書いてしまうと、作中に本来存在する凌を伏せてしまうことがややアンフェアに感じたため、そういった形で表示させていただきました)。 ・タイトル、「探偵、式ノ島織/」の「/」はもう一人登場人物がいる暗示。 ----------------------------- 解説は以上となります。 最後までお読みくださりありがとうございました。