おー……い!  こっち、こっち〜!      お疲れ様!  ううん? 遅れてないわよ?  私がだいぶ早く終わっただけよ。  ……どう? スマホ直った?  よかった! 完全に元通りね。  私? お陰様ですっかりいいわ。  あんな……あんな病気、最初からなかったみたいに元気。  ところで、この病院って、スマホまで直してくれるのねぇ。  おまけに、タダだったんでしょ?  なるほどねぇ。  そうだ、AIの話の方は聞けた?  私の治療中、貴方が少しでも有利に動けるように手伝ってくれてたっていう。  あら……。  そうなの……。残念ね。  貴方、私の治療用AIの事、とても気にしてたものね。  どうか気を落とさないでね?  本当に残念ね。  私としても、彼女は恩人のようなものだし。  お話ができたらって思ってたんだけど……。   あれって、治療完了とともにデータ削除されちゃうものなのね。  元気、出してね?  ……そっか。  まぁ確かに、スマホの件が解決してよかったわよね!  私のせいで、壊れたようなものだものね。  そうは言われても、責任感じちゃうわよ。  貴方、このスマホ。  転んだお年寄り庇って壊したんですって?  ……あの日、来る途中に。  ……あー……。  うん。  貴方のお母さんから聞いた。  もう。余計な事なんかじゃないわよ。  でもお母さんの事、怒らないでね?  貴方、絶対自分からは言わないだろうって思ったから、私が無理に聞き出したの。  貴方のスマホ、酷い事になってたんでしょ。  ……連絡できないのも当たり前よね。  言い訳、すればよかったのに。  全く……。  ていうか貴方、あの日はまずお年寄りを見送って一回病院に行って。  その後今度は私の搬送でもう一回行ったって事よね?  大変な一日だったわよね。  そりゃあ遅刻するよね。途中で諦めたってよかったのに……。  『約束は守る?』『私に二言はない』ぃ〜?  はぁぁ……。  貴方、そういうとこ、絶対曲げないんだから。  ……まぁ、そういうの、私は『いいな』って思ってるけど……。  じゃあここで、私から一つお知らせなんだけど。  実はね。今回のせめてのお礼……って訳でもないけど。  貴方にプレゼントがあるの。  AIさんの代わりにはなれないけど……。  良かったら使ってほしいなって。  ……猫ちゃんのスマホケース。  色は、私と同じピンクだと恥ずかしがるだろうから、黒にした。  ……まぁ、貴方が要らないなら私が自分で使うから、はっきり言ってくれていいわよ。  あ……❤  ……!  そうよね⁉ うん、貴方は黒がいいって言うと思ってたの。  へへ。大当たりだったわね……❤  うん! 早速つけてみて。  今の貴方のスマホ、裸だものね。  ……どうぞ。  受け取ってくれてありがとう。  あ……!  うん! ぴったり!  ……ぁでも、こうして持ってみると……。  ……うぁ……!   やっぱりそう思う?  こうして持ってたら、もう『私達カップルです』って、すごい主張しているようなものよね。  ……どうする? やっぱりやめとく?  えぇ?  『なんでよ』って……。  ……!  ……うん……!❤  そっか。もう私達、付き合ってるんだから。何も問題、なかったわね。  えへ、えへへへへ……。  嬉しい……❤      あら、電話?  どうぞ、出て?   もしかしたら、ずっと繋がらなくて心配してた人からかもよ。  ゆっくり話してきて。私、そこのコンビニ入ってるから。  あ! 終わった? 大丈夫? なんか大事な話だったんじゃない?  そう見えたわよ。  だって貴方、ここから見てもわかる位、泣きそうな顔して話してたし。  ……ねぇ、ほんとに大丈夫だったの?    うん。  えぇっ⁉ み、未来のわたしが電話してきた……⁉  そのスマホどうなってるの?  それ、絶対バグか心霊現象よ。怖すぎるわ。  やっぱり病院で直すのは駄目ね。  きっと何かおかしなものが入り込んだんだわ。  ……どうしましょう。今すぐ直してもらいに行く?  ……いいの?  ふーん……?  あ……❤ そうだ。そうだったわね♪  ……そろそろ行かないと、プラネタリウム始まっちゃうわ!  ……じゃあ。  手とか繋いじゃったり、する?  ふふふふっ……❤  では……行きましょうか!