R:う、くうう。ぐす。たす、けて。誰か、誰か助けてえええ!  R:え?  A:あなたがルビィちゃんで良いのかしら?  R:あ、う、うん。お、お姉さんは?  A:王国騎士団の騎士よ。任務の途中でたまたま村に立ち寄ったら、ゴブリンに女の子が拐われたって言うから、急いで助けに来たの。  A:さ、もう大丈夫だからね。  R:でもまだゴブリンがこんなに。  A:ふふ。こんな程度の攻撃なんかじゃ、私に傷ひとつ付けられないわよ。仮に大怪我しても自動ですぐに回復するしね。  R:そのティアラ、それに綺麗で長いブロンドの髪。もしかしてお姉さん、姫騎士様?  A:あら、私を知ってるの?  R:凄い!本当にアリア姫なの!?王国で1番沢山の魔法が使えるんでしょ!?それに剣帝の弟子のひとりで!ドラゴンだって倒しちゃうって!それに凄く綺麗!凄い凄い!本物だぁ!    A:はは、使える魔法が多いのと強いのは違うんだけどなぁ。それにドラゴンもひとりで倒した訳じゃないし、噂が大袈裟過ぎるだけなんだけど。まあ、あなたが逃げる時間を稼ぐ程度なら、お姉さん簡単に出来ちゃうかな?  R:アリア様は?一緒に逃げないの?  A:ここまでゴブリンが多いと、巣に他の人間も連れ去られてるかも知れないの。私は捕まったふりをしてそこに案内して貰うから、ルビィちゃんは先に村に帰ってて。ひとりで帰れる?  R:うん!ここからなら大丈夫!ねえ、終わったら村に寄ってくれる?  A:ふふふ。ええ、もちろん。その時ゆっくりお話ししましょうね。  R:うん!約束だよ!?ありがとう!アリア様!  A:ばいばーい。可愛いなぁ。間に合って良かった。さて、じゃあゴブリンさん達、私を捕まえて巣に連れて行ってくれる?  A:ほら早く。あ、それ隷属の首輪?物騒な物持ってるわね。それで人間を捕まえて奴隷にしてたのね。まあレベルが高いと一切効果無いから、私には効かないけど。  A:はいはい、こうさーん。ほら、首輪着けなさい。  A:そうそう、それでい──ひけりゃああ!ひっ!ひきぃ!ひょ、ひょおぉぉ。  A:な、なに?なんで?はあはあ、嘘でしょ?なんで効果が無効化されないの?まさかこれ隷属の首輪じゃ、ない?  A:いっ!体が勝手に四つん這いに?ぐっ!私は馬じゃないのよ!?乗らないで!退きなさい! ちょ!む、胸を蹴らないで!なんで?自分の体なのに言うこと効かない。こんな、ゴブリンなんか乗せて歩くなんて、くっ。  A:これ、まさかテスカトリポカの首輪?私を隷属化出来るなんてそれ以外あり得ない。でもなんでゴブリンなんかが伝説級の呪いのアイテムを?  A:いっ!胸を蹴らないでってば!くぅ、スピードアップってわけね?不思議となんて言ってるかわかるわ。この首輪の効果ね。仕方ない。巣に着いたら全力の魔力を解き放って首輪焼き切ってやる。覚えてなさい。