9. 鬼山先輩のはんなり耳かき お…なんやぁ、やっぱし男の子ってお風呂上がるんが早いなぁ。 そやけどまぁ…丁度ええタイミングやね。 …ふふ、まぁまぁええから…ほら、早うこっち来てや。 んー…っと、ほらこれ。 お風呂でさっぱりしたついでに、うちが耳かきしたげる。 …え、なに急にって…。 いやほら、たまにはこういう癒し系もええかなって。 なんや彼女っぽいやん? …ほーら、つべこべ言わんと、早う膝に頭乗せーや。 嬉しいやろ?膝枕やで、膝枕。 ふふ…素直でええ子やね。 よし、よし…。 …ん、それにしても、こうやって人の耳を間近で見るんは初めてかも。 ふぅん…うちのと形は違うても、中の作りは案外同じっぽい…。 これならまぁ…問題無さそうやし、早速やっていこか。 じっとしとってな…。 …ん、どうや…? 痛いとか…ない? …あ、気持ちええ? そか…なら良かった…♡ まぁ、流石にうちも誰かに耳かきしたったことはあらへんさかい… 上手くできるかは、ちょい心配やったけど…。 ふふ、この調子ならいけそうやな…。 …膝枕、気に入ったん…? なんやすっごいリラックスしてはるけど…。 …あらまぁ、そう…♡ そこまで言うてもらえんねやったら、うちも安心やわぁ。 ほら…付き合い始めなんかはあんた、何かにつけてドキドキしとったやん…? それが今は、こないにふにゃふにゃになってもうて…。 ふふ…ま、ええことやねんけどな…? …え~…なに、「もう気ぃ使う必要なくなりました」て…。 そこはこう…なんや、別の言い方あらへんの…? …ま、うちかてあんたに特別気ぃ使っとる訳とちゃうし…お互い様か。 やったら…今後もそないな感じでよろしゅう頼んます。 その方がお互い気楽やろうし…ええやろ? ふふ…。 …あ、なんやええこと思いついたかも。 んー…あんた、うちのこと下の名前で呼んで見ぃひん…? …「え?」やないって。 だってあんた、付き合うてからもずっとうちのこと呼ぶ時、 「先輩」か「鬼山先輩」のどっちかやん。 そやからそろそろ…なぁ? 彼女らしく、下の名前で呼ばれてみたいなぁなんて思たんやけど…どう? …ふふ、今更変えづらいて…もう気ぃ使わへんのやろ? せやったら、何も問題あらへんやん。 なぁ…? …言うてくれへんねやったら、耳かき止めてまおかなー…。 ほんで、心地よさそうな膝枕もここで終了…。 ふふ…そんなん嫌やろ? …せやったら早う…♡ 沙羅、やで? ほーら…上手に言えるやろうか…♡ さん…に…いち…。 はい、どーぞ。 …あ、先輩付けたな…。 はぁ…うち、呼び捨てを期待しとったのに…。 …でもまぁ、「沙羅先輩」も結構悪ないかも…♡ 初めて呼ばれたし…なんや特別って感じする…♡ そやから…ふふ、今回は勘弁したるさかい。 命拾いしたなぁ…? ふふふ…。 …ん、よし。 綿棒はこんなとこにして… 後は…こっち、梵天で仕上げや。 ほら、この耳かき棒の反対に付いとるふわふわ…見える? …ふふ、準備ええやろ? なんやこれ、えらい気持ち良さそうやなぁと思て、 ついあんたで実験してみとうなったんよ。 ふふ…覚悟はええ? …なんや、えらい気持ちよさそうな声出すやん…。 「はぁ…♡」なんて吐息まで漏らして…そんなにええの? …そやったら、あんま話しかけへん方がええか…。 折角の仕上げやし、あんたもこの気持ちよさに浸ってたいやろ? …んー?いや別に、気ぃ使うてるわけやないよ? ただ、あんたが気持ちようなってるとこ、 じーっと眺めるんも悪ないかなぁって思ただけ…♡ それに…別にうちら、無言が気まずい中でもあらへんやろ? そやから、あんたはそのままうちに体預けて、気持ちようなっとってや…。 ふふ…。 …ん、こんなもんかな…。 ほな、最後に…。 ふ~~…。 ふー、ふー、ふ~…。 …ん?あぁ…うとうとしとったから、びっくりした? ふふ…随分とまぁ、瞼が重そうやね…? そやけど、今寝落ちしてもうたら中途半端やさかい、ええ気付けになったんとちゃう? もう半分も…してほしいやろ? …ほんなら、反対側向ける…? うちの方に顔向けて…ごろんって。 ふふ、はい…上手やね…♡ 偉い、偉い…。 …こっち側向くん、恥ずい…? まぁ…確かに、あんたの顔がよう見えるなぁ…? んー…? …ふふっ。ほんま、かわええ子…。 ほら…始めんで…。 …ん、こっち側もええ感じ…? ふふ…そう…♡ なんや…あんた、もうすっかりうちの耳かきにハマってもうてへん…? まさに骨抜きって感じのお顔してはるけど…。 …また今度もお願いしたい、かぁ…。 んー…そやねぇ…。 ほな、下の名前で呼んでくれはったら、考えてもええよ…? …ずるい? そやろか…? うち、そないややこしいことは言うてへんのやけどなぁ…? …ふふ。ま、別にまたしたってもええけど…。 ほら、耳かきってやりすぎるとあかんっちゅうやろ…? そやから、あんたは自分でやる回数減らして、 あんま耳の中傷つけんようにしいや…? 基本的には…今日みたいなお泊りの日に、うちが綺麗にしたるさかい。 分かった…? …ん。なら、そうしよか。 ふふ…。 …眠たかったら、寝てもうてもええよ…? もうこっち側やったら終わりやし…。 …ふふ、安心しい。 終わったらちゃあんと起こしてあげるさかい…。 それまでは目ぇ閉じて、すやすやしとき…。 …まぁ、寝顔はうちにバッチリ見られてまうけど。 ふふ…それぐらいはええやろ? …ほな、おやすみ…。 …ん、ええ感じ。 ほんなら後は、ふわふわしよか…。 ふふ…ふわ、ふわ…。 …やっぱしこれ、気持ち良さそうやなぁ…。 あんたの顔見てるだけでも、なんやこっちまで眠なってまう…。 ん…ふぁ~あ…。 …たまに、思うんやけどな…? うちが卒業したら、あの二人で図書室におる時間もなくなってまうやろ…? それがなんや寂しいなぁ…とか、あんたも思う…? …ってもう聞いてへんか。 ふふ…幸せそうにぐっすりやね…。 …ま、そやけど一応、これは言うとこかな…。 うちが卒業した後、浮気したら殺す…。 ふふっ、よぉく覚えといて…。 …よし、完璧。 後は仕上げの…。 ふ~~…。 ふー、ふー…。 ふっ、ふ~…。 …はい、終わり。 ほんなら、約束通り起こして…と思たけど、もうちょいこの顔、見とってもええかも。 ふふふ…。 なで、なで…。 うちの愛しい旦那はん…。 これからも、どうぞよろしゅう…。