3.あなたの過去 いらっしゃい。元気してたかしら。 叶愛はいま準備をしているから今日は私が部屋まで案内するわね。 それじゃあ行きましょうか。 ねえ、あなた。朗報よ。 今日の女の子は最高に期待してもいいわ。・ ビジュアルだけで言えば間違いなく学園トップ。 他の社長さんのフィードバックでも断トツで評価が高い人気生徒なの。 どんな子か気になる? うふふ、詳細は後でじっくり語ってあげるから、楽しみにしてなさい。 あ、そうだ。話は変わるけどあなたに一つ聞きたいことがあったの。 事前調査のカウンセリングの結果を見たんだけど、どうやらあなたって中学生のときに恋愛関係でトラウマになる出来事があったみたいじゃない。 それについて叶愛が少し気になってるみたいで、差し支えない範囲で教えてくれないかしら。 うん。うん。 へー、ずっと仲の良かった幼馴染の女の子がいたのね。 名前は円香さんっていうんだ。それで? うん。 うん。 あなたと円香さんは両思いだったけど、親の反対があって付き合えなかった。 彼女は良家のお嬢さんだったから許嫁がいたのね。 で、中学三年生のとき、彼女が遠く離れた土地へ転校してしまって以降、彼女とは会ってないと。 なるほどねぇ。 まあ確かに、思春期の男の子がそんな経験をしたらショックかも知れないわよね。 だけど、流石にその話を引きずり過ぎじゃないかしら? あー、どんな女の子と知り合っても、円香ちゃんと比べちゃって駄目だったんだ。 それで女の子と話さなくなっていったら青春コンプレックスをこじらせて、今に至ると。 いつか円香さんと再会する日のために、お金持ちになろうと思ったのが会社を立ち上げるきっかけだったのね。 うふふ、あなたって不器用な人ね。そこまで努力できるならもっと自信をもってイイ女を探せばよかったのに。 でも、ずっと一途な片思いをしてきたなんてピュアところもあるのね。 叶愛があなたのこと可愛いって言ってる意味もわかった気がするわ。 あーぁ、あなたのこと馬鹿にしようと思って話を聴いてたのに同情しちゃった。 虐める気も失せちゃったじゃない。 うーん、そうね。ならせっかくだし、今日は私たちのオプションを逆にしてみない? 叶愛が言葉責めを担当して、私があなたを肯定するの。 私も叶愛もプロだから、ちゃんと満足させられると思うけど、どうかしら。 うふふ、じゃあ決まりね。 そういう決断力があるところもかっこいいわよ。 よし、到着。時間ピッタリね。それじゃあお部屋に入りましょうか。