1. 長命ロリドラゴンさまに拾われる ん…なんだ、お前? そのようなガラクタを持って…脅しのつもりか? …はぁ。 金目の物を出せ、とな…。 全く…見て分からぬか? 我はドラゴンだ。 お前の様な小僧が脅して、どうにかなる存在ではないわ。 それとも…この様な体躯よ。 我はお前が想像するよりも、遥かに永い時を生きておるからな。 …分かったら、ほれ。 見なかったことにしてやるから、どこへなりとも去るがよい。 その若さで、灰になりたくはなかろう…? …何だ?それでも向かってくると…? ふむ…あまり殺生 …では、分かった。かかって来るがいい。 お前の蛮勇、試してやろう…。 …ん、どうした。 早く来い。 我も暇ではないのだぞ? …それとも、我から行ってやろうか? ん…ほれ…。 これでどうだ…? この近さであれば、お前のその粗末な刃であっても問題なく届くであろう…? …まさか、いざ我を間近にして怖くなったのではあるまいな…? 見たところ、身が竦んで動けぬようだが…。 …はぁ。仕方のない奴だ…。 ならば、せめてもの慈悲として、一息で終わらせてやろう…。 すぅ…ふ~…。 くふふ…。 どうした、火でも吐かれると思うたか…? 馬鹿め、我の劫火をそう易々とくれてやるものか。 お前には精々…吐息で十分であろう。 …それにお前、その程度の気概では、我を脅すことなど到底できぬよ。 分かったら、その命は取っておくがよい…。 我とて、無闇に人の子の命を奪うほど野暮ではないからな。 …嫌だ? はぁ…なんだ、それでも諦めぬのか? むぅ…困った奴だな…。 それではお前、まるで我に返り討ちにされたいように聞こえるが…。 一体、何を考えておる? …だんまりか。 もしや思うに…お前、身寄りが無いのではないか? 他に頼れる者が居らぬから、この様な自暴自棄な真似をしている…。 違うか…? …ふむ。 それならば…まぁ、よかろう。 …ではお前、その命は要らぬということでよいのだな? 我も気が変わった…。 故にお前のその命、我が貰い受けてやろう。 人の子の支配なぞに興味は無かったが… お前一人ぐらいならば、却って面白いやも知れぬ。 …何だ?その顔は。 言うている意味が分からぬか…? ふふ、要はな…我に忠誠を誓い、仕えることを許してやるということだ。 ほれ、別に要らんのだろう?その命。 それならば、我の為に使え。 その生涯の全てを、我に捧げてな。 どうだ?お前にとっても、悪い話ではなかろう? …くふふ。ならば、契約成立だ。 今この瞬間を以て、お前を我の従者とする。 その役割に恥じぬよう、しっかりと励むのだぞ? …うむ、よい子だ。 それでは…決まったところで、早速行くとしよう。 我の住処へな。 ほれ…手を繋いで、連れて行ってやる。 …ん、そうだ。しっかり握っておれよ? ふふ…。 ふむ…さて、帰ったらまずは何から始めるか…。 風呂と食事…あぁ、寝床も用意せねばなるまい…。 …おぉ、そうだ。まだ名乗っておらんかったな? 我の名はクーロン。 クーロン様、と敬意を込めて呼ぶがいい。 …ほれ、試しに一度呼んでみろ。 …む?「クー様」…? おい、お前…なぜ省略する? …こっちの方が可愛い、だと…? んん…可愛い…可愛いか…。 我に向かって、その様なことを言う人の子がおるとはな…。 ふふ、気に入った。 では…お前にだけ、特別だぞ? …うむ、そうだ。 その呼び名で我を呼ぶことができるのは、従者であるお前ただ一人のみ…。 どうだ、光栄であろう? …くふふ。何だ、照れおって。 お前、中々に愛い反応をするな…? それにこうしてよく見ると… ふむ、中々に我好みの顔をしておる…。 ふふっ…何だか少し、楽しくなってきたわ。 なぁ…? 我に仕える、従者よ…。