(タイトルコール) 90年代セカイ系に影響されすぎている子が回りくどい告白をしてくれるボイス! こえ:(声優名) 風が…… 風が私を包み込んでいる。 やさしい風。 まるでカボチャのパイのような、 そう、お母さんが作ってくれた、かぼちゃのパイような…… やさしい風だ。 君もそう思うだろ? (風の音) 「いつから気がついていたんだ?」と言った顔をしているね。 気がついている……そんな大層なものじゃないよ。 なにせ僕はなにも気がついていないんだからね。 なにも気がつかない。 なにもわからない。 ただ僕が……いや順を追って話したほうがいいか。 僕の特異性について、いや、普遍性についてかな。 この世界は普遍的なんだよ。 だから普遍性の塊と言える君は僕なんかのことを気にしてはいけないんだよ。 例えば、天体観測はとても楽しい行為といえるよね。夜空を観察してロマンティックな気持ちになれるだろう。 だけど危険を冒してまで宇宙に行きたいと思う人はそうそう居ないだろう? だから君がここに来ることを知っていたとしても、そうおかしなことじゃない。 なんの事かって? やれやれ、話を戻すとしよう。 君がここに来ることを、僕は事前に分かっていただけだよ。 君が来るずっとずっと前からね。 だけど理由はわからない。 分からないし……あの……分からないな。 手紙? 手紙があったのかい? 古風だね、その手紙には何が書かれていたんだい? 屋上に来いと…… くくく……やつら……ずいぶんと手回しがいいことだ。 機関のやつは、まだ僕のことを嗅ぎ回っているらしいな。 やれやれ、この世界には知らないほうがいいことがたくさんある、そのうちの一つが僕のことを嗅ぎ回っている。 ただそれだけのことなのさ。 だが、心配には及ばない。 僕が君を守るからさ。 苦肉の策というやつさ、なあに君はなにも知らなくていい。なにも知らなくていいし……あの、えっと……何も知らなくていいのさ。 僕の隣にいれば安全は保証する。 機関のやつらは僕がいれば手出しできないだろう。 何? 僕が居れば安心なんだったら、機関が手紙を書いて僕に会わせた意味がわからない? えっと…… 何も知らなくていいのさ。 一期一会という言葉があるだろう。 君が僕と出会うことでなにかその縁みたいなのが発生したのかもしれない。 だから君は僕と一緒にいればいいのさ。 君は何も知らないよう、装っていればいい。 本当に、ずっと僕の隣にいればいいだけなのさ、簡単だろ? 警察?そんなものは役に立たないさ、だって……警察も、機関の手にあるわけだからね。 そもそも機関とは何かって? やれやれ、好奇心は人を殺すというが、君の場合はまさに……好奇心は人を殺すだな。 さっきからちょくちょく上手いことを言おうとして何も思いつかずに失敗してるんじゃないかって? や……やれやれ、君も意地が悪いな。 まあ君がそう思いたければそう思えばいいさ。 なにせ困ったことに僕はある組織の末端だからね、上が決めた指示には逆らえないのさ。 それに、君を巻き込む訳にはいかないんでね。 ただ、君みたいな普遍性の塊のような人間は、僕に守られていればいい。 え、さっきから具体的なことを何も言ってないように聞こえるだって? (困惑した感じ)は? (焦った感じ)いや、えっと…… 風が呼んでいる…… 風が…… 風なんて吹いてないだって? 君はそう感じるのかもしれないね。 だけど、その……風は…… 機関が……そう、機関がまちまちに吹かせているからね。風を。 いや、機関は風を吹かせないか。 いや、そう、なんか、風を吹かせることができるんだ。 あんま聞かないでくれ、ちょっと私も末端なんでね、ちょっと聞かないでくれよ。 しつこいよ。 (ちょっと感情を出して)末端パンチするよ! (コホン)取り乱してしまったね、すまない。 いいから君は僕の言う事に従ってればいいんだよ。 それだけで君は救われるんだから、救われたくないのかい? え、知らない人の言う事なんて聞けない? そもそも初めて話すのにそんなこと言われて怖い? ちょっと……合同授業のときに、一緒になったことあるだろう。 縦割りというか、あ、そうそう、君が転びそうになったとき、助けようとしたんだけど、え?覚えていない? 君にとっては些細なことだったのかな。 とにかく僕の言う事を素直に聞いてくれたまえ。 ああ、そうだ。 もうすぐ時間だ。 早く決断してほしい、僕と一緒に来るのか、それともこのまま機関の手に…… え、信用ならない? 帰るって? いや、やっぱりゆっくり考えるといい。 だけどね、機関に行ってしまえば、もう君には自由はないんだよ。 それは分かっているんだろう? 僕と一緒に来るというのなら……そうだなぁ…… なんかその……家とか来ていいよ…… 年頃の女の子の家とか、来たくないかい? あ、その、もちろん、君が望むならだけど…… ほら、興味出てきただろう? 君のことを守ってあげられるのは僕しかいないんだ。 どうだい? 来るかい? 正直に話せばちゃんと考えるって? どういう意味だい? ははん、なるほどね。 つまり……その……そういうことだよ。 回りくどいこと言ってすまなかった…… その……君のことが好きだから…… 一緒に居たいってことだよ…… え、オッケー!? (全力で)やったーーー!