本ファイルは、「坊やは、お姉ちゃん専用の恋人奴隷。」の ストーリー面での簡単な設定資料集です。 本編のネタバレを含みますので、基本的には視聴された後で読まれることを推奨します。 裏設定くらいの意味でお読み下さい。 ────────────────────────────── …以下、長い設定資料です。 すべてネタバレなのでご注意ください。 1)物語の舞台はどこなの? 西暦1200年のもうしばらく後辺りの、エジプトのアレクサンドリアという交易都市が舞台です。 「少年十字軍」というテーマに関しては 「船で地中海をわたって、アレクサンドリアで奴隷として売り払われた」というものが 定説のようです。 つまり、ミナさんはエジプトの人であり、主人公はヨーロッパの子供です。 ミナさんの肌が褐色なのもそのためで、「海の向こう」というのはヨーロッパです。 さらに、エジプト北部には、コプト正教会というキリスト教の分派があります。 ローマ帝国時代に布教されたものがエジプトで発展したものだそうです。 そのため、「ヨーロッパから少年十字軍に参加して エルサレムに行くはずだった主人公が、 エジプトのキリスト教コミュニティに流れついた」というお話になっています。 2)少年十字軍について。 特に1212年に、神のお告げを聞いたというフランスの少年から始まった少年十字軍があり、 おおむねその時期をイメージしました。(ジャンヌ・ダルクみたいですね) いわゆるローマ教皇が発する、騎士・貴族層が中心の遠征となる十字軍に対して、 民衆からエルサレムへの旅が起きた「民衆十字軍」という概念があり、 少年十字軍もその一つと考えられることが多いようです。 そのため、少年十字軍というのは子供だけの十字軍というより、 「発端が少年だった民衆十字軍が1212年にあったよ」、 くらいの意味が史実としては正しいようです。 3)船の話。 最後の方で、権力者の和平と、迎えの船が…という話があります。 これは、神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世と、 イスラーム圏の統治者であるアル=カーミルが1229年に停戦協定を結んだことを モチーフにしています。 その後10年は平和だったそうなので、この話を和平として話に入れた形です。 フリードリヒ2世とアル=カーミルは外交使節をお互いに結構送っていたそうです。 史実的に、少年十字軍(1212年)と和平(1229年)で空いてしまっているのですが、 そこはフィクションということで…。 4)固有名詞を意図的に排除しているのはなぜ? 上の方で「概ね1200年ごろの年代」ということを想定しまして、 そう考えると正確な地図もないはずで、国家/国境の概念もまだ確立していないと考えました。 「エジプトは~」「キリスト教は~」というような 具体的なセリフが出ると、時代にそぐわないように感じたため、 ぼかしつつセリフにしています。 「海の向こう」→地中海 「肌や目の色からすると…」→エジプトの人から見ると、ヨーロッパ人の外見 「私達の教会は、海の向こうから伝わったの」→コプト正教会 「今、海で戦いが起きてて…」→十字軍 「ラクダ」→エジプトの砂漠 のように対応しています。 ただ、アレクサンドリアという地名は入れても良かったかも…。 …というような形です。 まったくの思いつきだけではなく、 個々のテーマとしてはそれなりに史実に元ネタがあるんですよ、という設定でした。 今考えると、主人公が少年十字軍の出身と判明するイベントを、 あえて初対面シーンに持ってくれば、 もっとリスナーさんからわかりやすい話にできたかもしれません。 設定よりもストーリー構成で反省があります。 エジプトはもともと、古代は多神教寄りの信仰を持っていました。 エジプト神話ですね。アヌビスとかラーとかオシリスとか。 しかし現在はすでに9割がイスラーム、1割がキリスト教(コプト正教会など) だそうです。 「…不思議よね、教えが違うのに、神様は同じなんて 色々違いはあるみたいだけど、 一緒に仲良く暮らして、話し合えればいいのに。 こうやって、私と君みたいに… 触れ合ってわかることも、あるのにね。」 (終)