「中学生の頃のノート書いた姫騎士が転生しクラスメイトになって護ろうとしてくれるボイス」 声優:(声優名) 1.お昼休み編 あっ。お待ちしていました。 貴重なお昼休み、いきなり見知らぬ転校生から屋上に呼び出されて、びっくりされていることでしょう。 話せば長くなるのですが……どこから話せば良いのやら…… まず、あなた……いえ、我があるじ様にお伝えしなくてはいけないことがあります。 私はこの世界の人間ではありません。 この世界に転生してからというもの、あるじ様を探していたのです。 そして、探しているうちに、この学校にあるじ様がいるという情報を耳にし、転校してきたのです。 具体的に言うとSNSでそれっぽい人物を探していたのです。 ……と、言っても、信じてもらえるとは思っていません。 あなた様は私のことを覚えて居ないかもしれませんが、私はあなた様を覚えております。 私は、あるじ様をお慕いし、そして……お護りいたします! あ、ここでいう「護る」というのは、難しい漢字のほうの「護る」です。 難しい漢字のほうで、あるじ様をお護りいたします! ふむ、やはり私のことを覚えて無いご様子…… いえ、お気になさらず。 あるじ様にはまったく落ち度はありません。 え、私に心当たりがありますか? いえ、あるじ様の顔にコロッケをぶつけたことはありません。 誰と間違えてるんでしょうか? こう言えば思い出していただけるでしょうか? サクラバ・ヴィンセント・カナメ……別名、プレリュードのカナメでございます。 そうです。前奏曲(ぜんそうきょく)と書いてプレリュードと読むプレリュードのカナメです。 あまりの殲滅力に、前奏曲の最中に戦闘を終わらせてしまうことから、あるじ様がつけてくれた異名でございます! 従兄弟(いとこ)にはレクイエムのヨーコも居ます、鎮魂歌(ちんこんか)と書いてレクイエムのヨーコでございます! どうなさりました?急に顔が曇って…… 心配しないでください、私はなにがあろうとも、あるじ様をお護りいたします! あ、もちろん、ここでの「護る」はごんべんのほうですよ! もしかして……やつらにグラヴィティの指輪を奪われてしまったのでしょうか? 「重力改ざんの指輪」と書いて、グラヴィティの指輪を…… はっ、そういえばあるじ様は指輪をされていない…… まさか私が転生し、あるじ様を探している間、すでにヴィンセント卿の手に…… もしや、ヴィンセント卿の卑劣な罠により奪われたということでしょうか? 数々の能力がうごめくあの空中都市セレグニアにおいて、初めて炎と氷を司ることができたあるじ様が、グラヴィティの指輪を奪われたということは、相当卑劣な罠だったに違いありません。 クラスメイトを人質に取られ……卑劣な……罠に…… よっぽど……卑劣な……あの……熱湯とかなんかその…… 具体的には何も思いつきませんでしたが、よっぽど卑劣な罠だったのでしょう。 はっ、まさか!コロッケというのは拷問のことを言っていたのでしょうか? マグマともギリギリ言えなくもないほどの高温となったコロッケを顔に押しつけることで、グラヴィティの指輪を奪われてしまったと言う事では……? え、関係ない? コロッケは近所で有名なコロッケおばさんにぶつけられただけ……? そうでしたか、私というものが大変な早とちりを…… なんで私と間違えたんですか? え、コロッケぶつけられるくらい、よく……あること……? この現世ではそんなことがよくあるということですか!? まさかこの現世は、コロッケをぶつけられる以上に理不尽なことにあふれているということでしょうか!? それは……なんて世知辛い…… そんな、世知辛い世の中から、あるじ様をお護りいたします! はい、難しい漢字のほうの「護る」でお護りいたします! コロッケおばさんはメンチカツおじさんと幸せに過ごしている? それは、とても素晴らしいことです! 誰もが平等に幸せになる権利がありますから、当然あるじ様も幸せになる権利がありますからね。 1万日続いた戦争、通称1万日戦争をたった3日で終わらせたあるじ様は、こちらの世界で幸せになっていただきたいのです。 しかし、どうやらこの世界は私が思っている以上に平和なご様子。 グラヴィティの指輪もどうやらこちらの世界には存在しないのでしょう。 火山に捨てに行く必要もありませんね。 平和なのは良いことなのですが、私のように転生してくるものが現れる可能性もあります。 そんなあるじ様をお護りすべく、あ、難しいほうの護るですよ。 私をそばに置いていただけませんでしょうか? 当然、12年続いた戦争をたった3日で終わらせるために、唯一にして無二の剣(つるぎ)、ブラッド・エクスカリバーの使い手である、あるじ様には「護り」など不要とは思います。 そうですあの、炎と氷の2つの能力を持つものしか抜けないと言い伝えられていたあのブラッド・エクスカリバーです! 空中都市セレグニアにて、初めての炎と氷の能力を2つもっていたのがあるじ様なのに、なぜそんな言い伝えがあったのかという疑問はありますが、そういった設定の矛盾からも……お護りいたします! あ、いえ、なんでもございません、失言でございました。申し訳ありません。 さて、あるじ様、そろそろ教室に戻りましょうか。 授業が始まってしまいます。 火と氷だけならず、その火と氷の応用でなぜか時をも操ることが出来た時期もあったようですが、こちらの世界ではできないようなので、普通に遅刻してしまいます。 ところで火と氷を応用してなぜ時を操ることができたのでしょうか? え?……あ、はい、それに触れてはいけないのですね。 では、参りましょう。 2.放課後編 あるじ様!あるじ様! 待って、待ってください!!! 今逃げようとしませんでしたか? 逃げてない……? その割には、ずいぶん歩く速度が早かったような…… いえ、心優しいあるじ様を疑うようなことを……申し訳ございません! お昼休みのこと、覚えていますか? サクラバ・ヴィンセント・カナメ……別名、プレリュードのカナメです! はい、前奏曲って書いてプレリュードと読むプレリュードのカナメです。 あまりの殲滅力に、前奏曲の途中で…… あ、その話はもういいですか。 再従兄弟(はとこ)にはインテルメッツォのトモミが…… その話もいいですか。失礼しました。 ですが、インテルメッツォというのは間奏曲と書いてインテルメッツォなので、それだけはお伝えしておきます。 ところで本題なのですが、あまり人気(ひとけ)のないところでお話したいので……あ、できればお家(おうち)にお邪魔してよろしいでしょうか? もちろん、なにもいたしませんよ? ちょっと、話したいことがあるだけです。 あるじ様、なに遠回りしようとしてるんですか! こっちですよ! もしかして……怖い犬がいるとかでしょうか!? そんな怖い犬からも……お護りいたします! 中型犬くらいまでなら、お護りいたします! 大型犬になると私でも、お護りいたしかねます! 犬は苦手なので、お許しください! 具体的には携帯のCMに出てる大きさまででお願いします! ということでこっちを通りましょう、もちろん家は把握しております。 え?どうやって調べたんだって? それは、予めSNSのアカウントを把握していたからでございます! あの時に路上に置かれていた不自然な色のヤカン、あれは私が置いたものです! はい、そこから徐々に範囲を絞り込み、住所を特定したのです。 転校前の下調べはバッチリであります。 プレリュードのカナメとは別に、ネットストーカーのカナメという別名もありましたので!ご安心ください! え、そんなの設定した記憶が無いしそれに犯罪? いえいえ、大丈夫です! 私は、あるじ様の従者でありますので、これくらいは許されると思います。 はい、というわけで着きましたよ、ここが、あるじ様の家、及び私の新居でございます。 あ、言い忘れていましたが、私もこの家に居候させていただくことになりました。 お父さんとお母さんはすでになんとかしてありますから……ふつつかものですが、よろしくお願いします。 3.休日編 おはようございます! あるじ様、せっかくの休日ですので、お散歩に行きませんか? この辺りは自然豊かな地域ですから、きっと楽しいですよ! ……と言いたいところですが、あるじ様はまだ眠たいご様子ですね。 昨日は遅くまで起きていらっしゃいましたので仕方がありません。 休日の前日というのは自分を磨くために最適なものですからね! 火と氷を司り、さらには時間の概念をも飛び越えるあるじ様にとって、休日といのは体を癒やすための特別な日。 どうぞゆっくり休んでいて下さい。 ところで、その、言いにくいのですが…… ベッドの裏から、このような本が出てきました。 あ、いえ違います違います。 どすこいベトベトマイクロビキニ地獄~番外編~のことではありません。 その本は、あるじ様の健全な育成のために処分いたしました。 過去編でこの濃厚な内容、現在編のほうはどうなっていたんですか? それとも過去編のほうが長い……アカギのような構成になっているのでしょうか? 後付の過去編のほうがあまりに白熱してしまい「本編を読み直すと、あれ、弱体化してない?」って思うことはよくあることですものね、仕方がありません。 とにかくああいった不健全な本からも……お護りいたします! どすこいベトベトマイクロビキニ地獄~番外編~のことは置いておくとして、私が言ってるのはその本のことではありません。 誰にも見つからないように置かれていたこのノートのことですよ。 このノート、見覚えがあるんじゃないですか? このドッシリとした重量感のあるノートに、最初の20ページだけに書かれた設定資料……このノートのこと覚えていますか? 忘れたとは言わせませんよ、白々しいことは言いっこなしです。 なにせ、あるじ様が作り上げた世界なのですから。 顔を真赤にして……もしかして恥ずかしいんですか? それとも照れてるんですか? 自分の世界を構築するために普段行かない無印で買ったんですよね。 コスパの良いバームクーヘンと一緒に買ったんですよね。 なんで知ってるのかって……(こっから落ち着いて)だって自分の生まれた世界のこと忘れるわけないじゃないですか…… もしかして自分の作った世界のことを恥ずかしいだなんて思っているんですか? でも考えてみてくださいよ、私達にとってそこは生まれた世界なわけです。 あるじ様はいっときの、今になってしまえば黒歴史と言えるそのノートに作り上げた世界観、それは私にとっての生まれ故郷であり、あるじ様が「黒歴史」と思っている世界で私達は生まれたわけです。 黒歴史と言いつつ、部屋の奥に追いやりつつも、ずっとずっと大切にしてくれてたんですよね。笑い話にしつつもずっと大切にしてくれてたんですよね。 ありがとうございます。 ノートの中の世界では自由だっていいじゃないですか。 何もしてないのに一人だけ火と氷を司るなんてチート能力を得て……更にはなんだか応用を効かせて、時まで操るようになって、結局収集がつかなくなってノートは途中で終わり。 でも、そんなあるじ様だからこそ、私、サクラバ・ヴィンセント・カナメは、お仕えしたいと思ったのですから。 ですから、恥ずかしがることなどありません。 むしろ誇るべきなのです。 黒歴史……ってそもそも本来は肯定すべき過去って意味もあるらしいですよ。 本来の意味から少し乖離してしまったせいで「黒歴史」のwikipedia、ちょっと面倒なことになってるらしいですよ。 だからね、私達を否定しないでください。 そっちへ行っていいですか。 (ベッドに座る音) えへへ、こう顔が近いと照れちゃいますね。 私だって、都合のいい設定の塊みたいなキャラクターです。 別にハーフでもないのに日本語と海外をあわせたみたいな名前になってるし、それにノートには国家についての記載なんてなかったからなぜ言語が分かれているかも謎ですからね。 世界観が広がってくると私の生まれ故郷として、和風の街が出てくる予定だったんですか? 和風の世界観って意外と難しかったりするんですけど大丈夫ですか? 結構うまく作品に落とし込めないことありますよ。 ちょっと脱線しちゃいましたね…… ねえ、私も一緒に寝て良いですか。 ダメって言わせませんよ、だって私があるじ様のことを慕っているって、あるじ様が決めたことですからね。 私はずっとずっとあるじ様の味方です。 あるじ様が、テレビ番組を違法視聴してても、いやそれは許せないですね……ですが、一緒に罪を償う覚悟はあります! 示談が成立するように、お護りいたします! よかったらもう一眠りしちゃいませんか? 一緒に寝ちゃいましょう。 あるじ様が世界を作ったこと……二度と、後悔なんかしないようにしてあげますからね……大好きですよ ずっと、ずっと、お護りいたしますからね。 もう黒歴史なんて言わないでくださいね。