*──────────────────────*  CHAPTER 1 子供の頃の話 *──────────────────────* ―SE 主人公の足音 IN ―徐々に泣き声が聞こえてくる うぅ、うぅ、すんすん、うぅ、うぅ、えーん、えーん、はぁ、 うっ、えーん、えーん、すんすん、あぁ、えーん、えーん、ママぁ すんすん、すんすん、うぅ、ママ助けてぇ すんすん、うぅ、うぅ、お家どこー えーん、えーん、すんすん、うぅ ……えっ、ママっ あ、誰? ……うぅ、昨日、ママとお散歩してて それで、うぅ、わたし、またお散歩したくて ひとりでできるって、うぅ、思ったんだけど すんすん、道わかんなくって わたし、お引っ越してきたばっかりで うぅ、どこかわかんなくて すんすん、うぅ、ママぁ すんすん、うぅ ……お家? お家、パン屋さん ええと、パン屋さんとお団子屋さんがあってね 公園もあるの 屋根が赤いの 2階建てで うぅ、すんすん、すんすん ……わかるの? ほんと? ……きみのお家も近く、なんだ どっち? どっちの道行けばお家帰れるの? 教えて お家帰りたい ママに会いたい ……あっち? ありがと うぅ、でもまた迷子になっちゃうかも あっち、行って、次は? どこにお家あるの? 道わかんない お引っ越しなんてしない方がよかったぁ うぅ、すんすん、うぅ、うぅ、帰りたいぃ ……うぅ、いいの? ……うん、連れてって お家帰る きみについてく 行こう ―SE ふたりの足音 FO ―間 ―SE ふたりの足音 IN ……足? あ、ほんとだ 迷子になって、怖くて いっぱい歩いたら疲れて転んじゃった それで擦りむいたんだと思う ……洗わないとだめなの? ……そうなんだ じゃあ、お家帰って、ママに洗ってもらう ……ん? あ、公園あるね なら、そこで洗おうかな ―間 近所の公園よりちっちゃい でも、きれいだね お花もいっぱい咲いてる ―SE ふたりの足音 OUT ―SE 水道から水を出す音 IN ここに水つければいいの? いたっ 痛い、しみる 洗いたくない もう水ついたしいいよね ……えぇ、でも、すっごく痛かったから嫌っ ……バイキン? それも嫌…… 足、洗う…… うっ……痛い……しみるよぉ もういい? ……うぅ 痛い…… ―SE 水道から水を出す音 OUT バイキン入ってこない? ……よかった じゃあ帰ろう ……おんぶしてくれるの? 足痛いけど、歩けるよ ……いいの? ありがとう いくよ んしょ 大丈夫? ……へへ、楽ちん ―SE 足音 FO ―間 ―SE 足音 IN あっ、ここわかる 見たことあるよ よかったぁ あっ、お家見えた ママに会える なんだかお腹空いてきた ……え、ここ、きみのお家なんだ ご近所さんだね いつでも遊べるね わたしのお家、あれだからいつでも来て まだお引越ししてきたばっかりでお友達いなくて……お友達になってくれる? ……いいの? へへ、嬉しい こっちに来て初めてできた男の子のお友達 優しい男の子 道教えてくれたし、ついてきてくれたし、足も洗ってくれて、おんぶも、えへへ ―SE 足音 OUT んしょっと ―SE 向かい合う足音 足、もう痛くないよ きみのおかげ 今度、お礼、する なにすればいいかわかんないけど……でも絶対お礼するね ありがとうね これからよろしくねっ ……うん、バイバーイ ―間 ―SE インターホン ―SE 玄関ドアを開ける音 あっ、あの、こんにちは さくらです この間はありがとう ……うん、あのあとね、ママに絆創膏してもらって その前に消毒もちゃんとしたよ 痛かったけど もう大丈夫 洗ってくれたきみのおかげ、ありがとう あのね……んと、一緒に遊びたいなって、来たんだけど…… いつもなにしてるの? お家でもいいし、この前の公園で遊ぶのもいいかなって お天気もいいから ママがね、あんまり遠くまで行っちゃダメって また迷子になっちゃうからって でも、きみのこと話したの 一緒だったらいいよって言ってて どうする? ……うん、わたしも公園行ってみたい お花、ゆっくり見たい でも、男の子はお花、興味ない? うちの弟も全然お花好きじゃないから…… ……いいの? ……じゃあ、公園行きたい 行きたいんだけど…… 道、まだ覚えてないから、また連れてって 帰りもね 勝手に帰らないでね ……へへ、行こう ―SE 玄関ドアを閉じる音 ねえねえ、もうお友達、だよね ……だったら、はい 手、つなごう 仲良しになったんだから 手繋げば迷子にならないし ふふっ ―SE ふたりの足音 IN 今日は転ばないように気をつけるね この前みたいにおんぶしてもらったりはしないから 早く公園行きたい お花見て 滑り台もあったよね あと、ブランコ 前のお家の近くの公園のよりおっきかった スピードいっぱい出るのかな ちょっと怖いかも でも楽しみ きみがいるから大丈夫、だよね、えへへ ―SE ふたりの足音 FO ―間 ―SE ドアの開閉音 ―SE ふたりの足音 ―SE ふたりが床に座る音 今日は、なにする? ……お絵かき? お絵かきは……んぅ、今日は違う気分かも わたし、上手じゃない きみの絵はうまいからまた見たいけど…… んん……絵本は? ……そっか、昨日もしたね なにかしたいことある? 今日は天気もよくないから、公園も行けないし…… あっ、おままごとは? いい? ……んと…… あった これでおままごとしよ わたしが奥さんで、きみが旦那さんね ―少しして あなたー、お仕事お疲れ様― もうすぐご飯できるから待っててねー お腹空いてる? ……今日はね、あなたの大好物のからあげよ とってもおいしくできそう 今日はね、スーパーで鶏肉が安かったの だからいっぱい買ってきちゃった たくさん食べてね♪ あなた、赤ちゃんのお世話してて そろそろミルク飲ませてあげないとだから 哺乳瓶は……んー、あ、そこにあるから できる? ―少しして ふふっ、ミルクたくさん飲んでる 元気な赤ちゃん 赤ちゃん、夜さみしそうに泣くの だから、弟か妹もいたほうがいいよね わたしもね、弟いるの 楽しいよ たまに喧嘩しちゃうけど だから、赤ちゃんふたりいたほうがいい 4人家族になって、毎日、にぎやかで楽しいお家にするの いいよね、あなた ……うん、えへへ だけど、赤ちゃんふたり育てるにはお金がないと あなた、今月のお給料は? ……ええ、それしかないの…… それじゃあ赤ちゃん育てられないよ ご飯だって、からあげなんてもう食べられないかも 明日からはもやし生活ね もう、あなたのせいなんだから 愛してる奥さんのためにがんばってもっと働いてね ふぅ、ご飯できたよ はい、どうぞ おいしそうなからげでしょ? 赤ちゃんのミルクでお腹いっぱいになってるみたいだし、今度はわたしたちのご飯ね いただきまーす あなた、わたしの作ったご飯、おいしい? ……どういたしまして わたしも……あーん、もぐもぐもぐ、ごっくん からあげおいしいね もぐもぐもぐ、ごっくん お料理上手でしょ〜 もぐもぐもう、ごっくん はぁ、お腹いっぱい ごちそうさまでした じゃあ、次は、こっち ―SE ふたりの足音 ―SE ヒロインがベッドに乗る音 どうしたの? ―SE ベッドをポンポンと叩く音 もう寝ましょう ―SE 主人公がベッドに乗る音 あなた、おやすみなさい 愛してますよ〜、ふふっ (あくび)ふわぁ、本当に眠くなってきちゃった ……きみも? お昼寝する? ……うん、しよー はぁ…… おままごと楽しかったね ママになった気分だった いつもは弟とやるんだけど、最後まで付き合ってくれないの きみはちゃんとやってくれて嬉しかった あのね…… ―SE ヒロインが動くときのベッドの音 ―こっそり言うように 大きくなったら、わたしのことお嫁さんにしてくれる? わたし、きみとパパとママになりたい ……いいの!? 本当? ……約束だよ 指切りしよ 指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲〜ます! 指切った! はい、約束 えへへ、きみと結婚するんだ〜 楽しみ ん? どうしたの? お耳真っ赤だよ 風引いちゃったの? ―おでこをくっつける ―SE ヒロインが動くときのベッドの音 ん〜? 熱はないみたいだけど お腹いたい? ……平気? ……そっか ―SE ヒロインが動くときのベッドの音 でも、顔熱い 痛いの痛いの飛んでけー いいこいいこー まだ、熱い 大丈夫だよ わたしが隣にいてあげるからね ―SE 左耳をさする IN ……ふふっ、お耳撫でるの気持ちいいんだ じゃあ、もっとやってあげる いいこいいこー 足怪我したとき、洗ってくれたから 今度はわたしの番 早く元気になってねー 明日も遊びたいから あ、熱とか出てたら無理しないでね そのときはゆっくり休んでて ―SE 耳をさする OUT ―SE 耳を塞ぐ IN こういうのは? 声、聞こえる? もしもーし、聞こえますかー? あなたー、愛する奥さんの声、届いてるのー? えへへ ―SE 耳を塞ぐ OUT ―SE 耳をくすぐる IN こしょこしょ〜 へへ、耳くすっぐたいいんだ こしょこしょこしょ〜 ふふっ、きみの弱点見つけちゃった〜 こしょこしょ、こしょこしょ、こしょこしょこしょ〜、えへへ 気持ちよさそうだね、ふふっ こしょこしょ〜 こしょこしょこしょ〜 こしょこしょこしょこしょ〜 楽しい こしょこしょ、こしょこしょ、こしょこしょ〜 ―SE 耳をくすぐる OUT ―眠そうに少しとろんした感じで いっぱい遊んだけど まだまだきみと遊びたい これからもいっぱい遊ぼうね 将来結婚するんだから 一緒にいないといけないんだからね う〜ん、まだお耳赤いね こしょこしょじゃ治らなかったみたい じゃあ、寝ればいいかな? 寝よう きみと遊んで疲れちゃった 寝ても結婚の約束わすれちゃダメだよ わたし、きみの奥さんになるんだから 赤ちゃんも2人だからね (あくび)ふわぁ、眠い いつも何時に寝てるの? ……わたしも同じくらい…… でもね……もっと夜まで起きてみたくてね…… 大晦日は頑張って次の日になるまで起きてみたんだけど…… はー、それだけで、すーはー、今はすぐ寝ちゃう すー、はー、すー、はー 寝たい、けど、まだ遊んでたい すー、はー、すー、はー お昼寝終わっても、すー、はー 帰らないでね すー、はー、すー、はー、すー、はー バイバイ、すー、はー、するから すー、はー、すー、はー、すー、はー んうぅ、あなたぁ すー、はー、すー、はー おやすみなさい すー、はー、すー、はー 明日のご飯も、すー、はー、からあげよー すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー その次は、もやし すー、はー、すー、はー、すー、はー スーパーで特売の、もやし すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー もやしでも、すー、はー、あなたと一緒なら んぐんぐ、すー、はー、すー、はー とってもおいしい、から すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー 幸せ、だよぉ、へへへ すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー あなたぁ すー、はー、すー、はー 大好きぃ すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー ―寝息でFO *──────────────────────*  CHAPTER 2 高校生の頃の話 *──────────────────────* ―SE ヒロインの足音 ね、ねえ…… 久しぶり、だね…… わたしのこと覚えてる? 子供のころよく一緒に遊んだよね? ……ほ、本当? えへへ、そっか、嬉しいな 同じクラス、だね…… あの、ずっと話せてなかったけど でも、やっと……というか、中学も同じ学校だったけど、 一緒のクラスになることもなかったし、会うこともなかったから、なかなか話しかけられなくて…… これから、委員会の集まりで一緒になることとかあるよね だから、その前に話しておいたほうがいいかなって…… ……ううん、いいの 委員長、みんなから押し付けられた感じだけど 去年も委員長やってたから むしろやりたかった でも、自分から言い出すの、ちょっと恥ずかしから…… ああいう流れになってよかったかな 将来やりたい仕事があって、そのための役にたつかもしれないし きみは、自分からクラス委員に立候補してたよね? どうして? ……あ、そっか たしかに体育委員とかになったら大変そうだよね あ、ごめん 一方的にはなしすぎちゃったよね じゃあ、改めて、これからよろしくね ―SE ヒロインの足音 FO ―間 ―SE 教室のドアを開ける音 あっ、どうしたの? ―SE 教室のドアを閉じる音 ―SE 主人公の足音 ……あ、これね 先生から頼まれちゃって ……んー、まあ、そうかな でも、学校が閉まっちゃう前には終わると思うけど…… ……え、いいの? これ、委員会の仕事とかじゃないんだよ ただの、雑用っていうか ……本当? じゃあ、お願いしていい? ……ふふっ、ありがとう そっち座って ―SE 主人公の足音 ―SE 主人公が椅子に座る音 ―SE 紙束を置く音 これ、部活動の活動実績が書いてある資料なんだけど これを…… ―SE ノートを置くような音 こっちに書き写してまとめてほしいの ―SE ノートを開く音 この資料は運動部のなんだけど…… 最初が陸上部 これ、実績がある部活順になってるみたい ペンは…… ―SE ペンを置く音 はい、わたしのなんだけど、使って わかんないところがあったら何でも聞いてね ―SE ペンを使う音 IN ―しばらくして 部活、多いよね 強い部活もそこそこあるし、実績はなくても活動的でみんな楽しそう そういえば、部活ってなにか入ってるの? ……そうなんだ 運動もできるイメージあったけど…… 勉強もできる方だったよね 文化部とかでも興味あるとこなかったの? ……え〜、そっか 部活ってさ、青春って感じじゃない? いいの? なにもしなくて ……そっか ……わたし? わたしは運動音痴で、よく……転んだり、するし、えへへ それに、勉強したいの 好きだし、将来のためにね ん、あれ 部活やってないのに、なんでまだ学校に残ってたの? 教室になにか用事でもあったんじゃない? いいんだよ、無理に手伝わなくたって ……きみがいいなら、いいんだけど…… ―短い間 久しぶりなのに、なんだかそんな感じしないね 最初に話しかけたときは緊張しちゃったけど、今は平気 あの頃とあんまり変わってないからかな ……あっ、違くて 見た目は変わってるよ 体も大きくなってる だけど、優しい雰囲気はちっちゃいときのまま また、わたしのこと、助けてくれたし…… 覚えてる? 出会った最初のときのこと ……えぇ、わたしにとってはいい思い出なんだけどな〜 あれからたくさん遊んだよね きみの家でも、わたしの家でも あと、あそこの公園でも 最近行ってる? わたしはちょくちょく行くよ ひとりでブランコ乗ってる、へへ ちょっと恥ずかしいけど でも気持ちいい たくさん思い出もあるしね また、話したいなって 一緒の学校なのに、全く話せないなんてって もしかしたら、公園に来るかも、とか変なこと考えちゃったりもしてて 最初から話しかければよかったのにね きみと一緒にクラス委員になれてよかった こうやってまた一緒になれて嬉しい ―短い間 うぅ、部と大会と優勝の文字がゲシュタルト崩壊してきた 準優勝の準って文字がこれであってるのかわかんなくなってきた 優も勝も漢字書くの大変 文化部の大会って聞いたこともないものばっかりだし…… 優勝と金賞と入選と、んぅ、優秀賞とかもあって くらくらする そっちは大丈夫? ……あ、もうそんなに進んでるんだ 手際がいいね ―短い間 (あくび)ふわぁ、ちょっと眠くなっちゃった ―短い間 (あくび)ふわぁ あっ、へへ、ごめん 変な顔見せちゃった 気が抜けすぎてるね 男の子にあくび見られるなんて あんまり男の子って感じしない 男の子の友達なんていないし、話すこともほとんどないから どう接していいかわからなくて、未だにちょっと苦手なんだけど…… ……んぅ、それは 委員長としてなら話せるの 男女関係なく でも、普通のなんでもないおしゃべりとかは難しいかな きみならなんともないんだけどね、へへ あのさ……わたしたちって、まだ……友達、なのかな? きみはわたしの最初の、それで唯一の男の子の友達だったんだけど…… ……ふふっ、そっか うん、友達だよね へへ、ふふっ ―短い間 ……あ、終わった? じゃあ、ノートそこに置いておいて ―SE ペンを使う音 OUT ―SE ノートを閉じる音 ―SE ペンを使う音 IN ちょっと、待っててね こっちももう少しだから これが終わっても、もう1つやらないといけない仕事があるんだけど…… 手伝ってくれる? ……ありがと ―短い間 あの……ちょっと、わたしのこと見過ぎ やることなくて暇なのはわかるんだけど…… うぅ、ちょっと、書きづらいかも…… ―短い間 ふぅ…… ―SE ペンを使う音 OUT お待たせしました ―SE ノートを閉じる音 次はね…… はい、これ ―SE 折り紙とハサミを置く音 今度の休みにやる地域の交流イベント用の飾り付けなんだけど…… この折り紙で切り絵みたいなのと、輪っかをつなげる飾りなんだけど、どいういのかわかる? きみには輪っかの方頼みたいんだけど…… 1回やってみるね まずは、折り紙をこういう風に ―SE 折り紙を切る音 流しながらセリフ 切って…… 短冊状にしたら 端っこをノリで…… ―SE 糊付けする音 で、くっつける 難しいことじゃないし、大丈夫そうかな 折り紙を四等分に折ってから切るといいよ この輪っか、どのくらいあれば足りるんだろう 一応、渡された分だけ作ってくれるかな? ……うん、お願い ―SE ハサミを使う音 IN わたしは切り絵の方やるから ―短い間 ちょきちょき、いい音だね 折り紙なんていつぶりだろう 夏休みの宿題で出た自由研究みたいでちょっと楽しいかも あ、折り紙もしたよね 鶴つくったり、紙飛行機飛ばしたり ハサミで切って……あれ、なにしたっけ きみとちょきちょきやってた記憶はぼんやりあるんだけど…… なんだったかな きみは器用だったよね 今も、そうみたいだね ……単純作業だけど、丁寧だよ 上手 ―短い間 あれ? う〜ん? お手本とちょっと気がう気もするけど…… でもおおまかにはあってるよね…… ん? ええと……ん〜? ―SE ハサミを使う音 OUT よし あとは、開けば……なにこれ? あー、今笑ったでしょ 頑張ったんだよ、これでも ……蛇じゃありません お花……のつもりなんだけど…… 笑うならきみがやってみてよ〜 ほら、これ見本だから ―SE ハサミを使う音 IN お手本、もっとじっくり見ないとわかんないでしょ ―短い間 うぅ……やっぱり器用、だね ―短い間 ―SE ハサミを使う音 OUT もう、できちゃったの? 開いて見せて わぁ、きれいなお花になってる よし、選手交代しよ きみがお花で、わたしが輪っか よろしくね ―SE ハサミを使う音 FO ―間 ふぅ、終わったね お疲れ様 ひとりじゃこんな早く終わらなかった、というかお花なんて作れなかった 手伝ってくれて本当にありがとうね そうだ、お礼してあげる そこに座ってて ―SE ヒロインが椅子から立ち上がる音 ―SE ヒロインが主人公の後ろに回り込む音 肩たたきしてあげるっ 力抜いて楽にしてて…… ―SE トントン肩を叩く音 IN トントン、トントン 痛くない? トントン、トントン、トントントン ふふっ、気持ちいい? ……よかった お礼になってるかな 男の子の体ってやっぱりがっちりしてるね 運動部とかに入ってなくてもこんななんだ 昔はわたしよりちょっと大きいくらいだったのに、すごいね トントントントン ……えっ、へへ つい口に出ちゃう トントントン、トントントン♪ 何か、昔みたいに遊んでるみたいで楽しい ……肩もみとかはしてないけどさ ごっこ遊びみたいなのしたでしょ? そのこと思い出す トントントントン、トントントントン、トントントントン、トントントントン ―SE トントン肩を叩く音 OUT ―SE 肩を揉む音 IN 肩揉みもしてあげる もみもみもみもみ 力加減はどう? ……もっと力入れてみる もみ、もみ、もみ、もみ ……ふふっ、よさそう? もみ、もみ、もみ、もみ、もみ ……えぇ、もっと? もみっ、もみっ、もみっ、もみっ、もみっ うぅ、手の力いるね もみっ、もみっ、もみっ、もみっ、もみっ 体硬い 肩こってるの? もみっ、もみっ、もみっ、もみっ、もみっ それとも緊張してる? リラックスして もみっ、もみっ、もみっ、もみっ、もみっ 力抜くんだよ〜 もみっ、もみっ、もみっ、もみっ、もみっ ふぅ…… ほぐれてきたかな〜 もみっ、もみっ、もみっ、もみっ、もみっ ―SE 肩を揉む音 OUT 握力なくなってきた 力入れ過ぎちゃったみたい 疲れたからお終〜い 今、思い出したんだけどさ ―SE 両耳を撫でる音 IN こういうの好きじゃなかった? ……え〜、好きだったじゃん 小さいころさ……最初にしたのは……あっ、そっか…… ううん、なんでもない なんでそうなったか忘れちゃったんだけど 耳、なでなでしたら気持ちよくさそうにしてくれて それからちょくちょくやってたでしょ 忘れちゃった? ……じゃあ、これ、気持ちよくない? ……ふふっ、そうでしょ〜 ベッドでゴロゴロしながらしてたな〜 気分良さそうにしてて、寝ちゃってたよね きみの寝顔見て、わたしも寝てた よくお昼寝したよね〜 ―SE 両耳を撫でる音 OUT ―SE 両耳を塞いだりする音 IN こういうのもしてた 手で、耳抑えると、音の感じが変わって…… ふふっ、あれ〜? どうしたのかな〜? お客さん、耳が真っ赤になってますよ〜 風邪引いちゃいましたか〜? 照れちゃってるんだ、かわいいね 一緒 小さい頃と同じ あの頃も耳赤くしてた 照れるとこうなっちゃうんだよね〜 なんで照れてるんですか〜? 流石にこの歳になってするのは恥ずかしいか わたしも勢いで始めちゃったけど、実は、結構照れちゃってます、えへへ ―SE 両耳を塞いだりする音 OUT もうやめとく? ……ふふっ、いいよ〜 きみが満足するまでしてあげる ―SE 両耳に触れる音 IN こんなとこと見られたらどうしよ もうこの時間までに教室までくる人いないと思うけど…… 付き合ってるとか思われたりして、へへ それでもいいけどね 噂とかになっても、わたしは……関係ないし…… きみはからかわれたりするんだろうけどね〜 わたしとなんかじゃ嫌? 恋人だと思われるの ……ふふっ、なに真面目に答えてるの 冗談に決まってるでしょ、へへ 恋人でも耳なでたりしないでしょ しかも学校なんかで こんなとこ見られたら、放課後に残って変なことしてる変わり者って思われて距離置かれちゃうよ ―SE チャイムの音 流しながらセリフ あ、もうこんな時間 ―SE 両耳に触れる音 OUT 先生にこれ提出してこないと わたし、職員室行くから……よかったら校門で待っててほしいな 一緒に帰ろう これからもさ、できたらでいいの 時間あったときだけでいいから一緒に帰りたいな だめ、かな? ……いい? じゃあ登校は? 来るときも一緒がいい ……迷惑じゃない? ……なら、一緒に、へへ ―間 ―SE ふたりの足音 IN ―間 あのさ…… 話さないといけないことがあるんだけど…… きみと一緒に登下校するようになって、委員会の仕事もあってふたりですごす時間増えたでしょ? とってもとっても嬉しかった 毎日学校行くのが楽しみになってたくらい なんだけどね…… まだ、誰にも言ってないんだけど…… 実は、ね……お家の都合で、引っ越すことになったんだ こっちに引っ越して、きみに会えて 仲良くなって それから距離できちゃって、やっとまたこうやってふたりで過ごせるようになったのに…… やだなぁ きみともっとお話もしたかったし、遊びにだって行きたかったな ―泣きそうになってくる んぅ……結構遠くなんだ 気軽にこっちには来れないくらい遠く はぁ……引っ越すのは来月で、すぐにってわけじゃないんだけど…… 遠くに行って、離れ離れになってもわたしのこと忘れないでいてくれる? ……本当? ……子供のころの思い出忘れてたのに? ……ふふっ、ごめんね きみのこと信じる わたしも絶対忘れないよ きみと過ごした時間のことずっとずっと、一生覚えてるからね あと少しの時間だけど、仲良くしてね、えへへ *──────────────────────*  CHAPTER 3 社会人になってからの話 *──────────────────────* ―SE 駅の環境音 IN ―少しして ―SE ヒロインの足音 流しながら すみませーん、ちょっと、通してください ふぅ…… あのどうかしましたか? ……えっ、痴漢? 大丈夫ですか? 怪我はありませんか? 一旦落ち着きましょう 深呼吸して すー、はー、すー、はー、すー、はー 落ち着きましたか? どなたか彼女についてあげてください えっと、あなた……痴漢、されたんですか? ……そう、ですか かばん、ですか…… 疑っているわけではないんですけど、被害を訴えている方もいるので 一旦、駅員さんに来てもらって…… ん、あれ? もしかして……! きみって…… ―SE 駅の環境音 FO ―間 ねえねえねえねえ、耳かきしてあげよっか? そろそろかな〜って ……うん、しよっ ―SE ヒロインがベッドに座る音 はい、こっち ―SE 主人公がベッドに座る音 ―SE ヒロインが膝を叩く音 膝にどうぞ〜 ―SE 主人公が体を倒す音 ふふっ、じゃあ、はじめるよ…… ―SE 耳かき IN ―少しして 耳、きれいだね、へへ よくするもんね 耳かきってやりすぎもよくないみたいだよ この前ネットでたまたま見つけて…… しないほうがいいのかな? ……うん、わたしもしてあげたい 痛くなければ、やろうね ―短い間 んぅ、ちょっと、頭もぞもぞしないの 危ないでしょ もぉ〜太ももに顔、こすりつけないの〜 ―ふざけた感じで可愛くからかうように …まぁ仕方ないか〜 痴漢に間違われる変態さんだもんね〜 ……ふふっ、ごめんごめん あのとき大変だったよね 通勤中に、ざわざわしはじめたからなんだろうって 困ってる人がいたら助けないとだから そうしたら痴漢だって 怖かったけど誰かがあの人のケアしないとだから そうしたら……ふふっ、顔真っ青なきみがいた 助かったのわたしのおかげだよ 感謝しつづけていいんだからね きみはどうしていいかわからずおどおどしてて、代わりにわたしが呼びかけたんだから 誰か見てた方いませんかーって よかったよ、証言してくれる人が現れて 女性の方(かた)も納得して謝ってもくれたしね どうなることかとおもったけど、丸く収まってよかった それにしても、あんなところで会うなんてね、びっくりした 同じ電車で通勤してたんだよね もっと普通に出会いたかったな〜 全然変わってなかった スーツで社会人って雰囲気になってたけど雰囲気はそのまま 高校で同じクラスになったときと同じ感想だね あのときもこんなこと言った気がする 覚えてる? ……ふふっ、約束守ってるじゃん 言ったよね、わたしのこと忘れないでって あのとき、わたしだってわかった? ……そうだよね、それどころじゃなかったもんね だけど、きみはずっとわたしのこと想っててくれたんだよね あれからご飯とか行くようになって、それからすぐ、告白してくれたし、同棲まですることになって 想われつづけてるなんて、わたし幸せものだね ありがとう わたしも好きだよ、えへへ ま、それだったら、もっと連絡してくれてよかったのに〜とは思うけど 大学生になってから連絡少なくなってたし、社会人になってから全く ……わたしも忙しくて、こっちからもできなくなっちゃってたからお互い様だけど でも、わたしもきみのことずっと心の中にはあったよ ―短い間 ふぅ…… ―SE 耳かき OUT ふわふわの入れるよ〜 ―SE 梵天 IN こしょこしょするね〜 ……こら、顔動かさないの 危ないでしょ〜 くすっぐったいかな? 平気? 気持ちよさそうな顔してる〜、ふふっ ふわふわふわ〜 ふわふわふわ〜 すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……ん……ん……はぁ すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……すぅ……はぁ…… ……すぅ……ふぅ…… ―少しして ―SE 梵天 OUT 仕上げに…… ふー、ふー、ふー フーフーに弱いねぇ ふー、ふー、ふー、ふー、ふーーー もっとする〜 ふー、ふー、ふー ははっ、反応してる ふー、ふー、ふー、ふー、ふーーー よし、これでOK はーい、こっち向いてくださーい ―SE 主人公が動くときのベッドの音 へへ、なーに? ……きみが見つめてくるから見つめ返してるだけだけど? ―短い間 ふふっ、耳かきするよ ―SE 耳かき IN ―少しして ……ん? んーそうだなぁ 最近も相変わらず、調べ物とか書類作りとか雑用がほとんどかな まだまだ見習いのひよっこだからね 一生懸命頑張って早く一人前の弁護士になりたい それで、あのときのきみみたいに困ってる人を助けたい そのために学生時代から勉強してきたんだもん ……そうかな〜 委員長のときは、ほとんど押し付けられてやってただけだもん あのときは弁護士になるのにいい経験かもって思ってたけど 今考えると全然違うよ みんなをまとめるのと、ひとりひとりに寄り添うのは わたしのこと心配して、雑用手伝ってくれたきみの方が弁護士に近いよ あのときさ、たまたま教室来たーみたいな感じだったけど、本当はわたしのこと心配してくれてたんでしょ? すぐには気づかなかったけど、あとからそうかもって 当たり? ……そっかそっか〜 あのときから好きだったってこと? ……えっ、違うんだ ショックかも…… わたしは好きだったんだけど じゃあ、いつからそういう気持ち持ってくれたの? ……ふふっ、そんな前からなんだ…… 子供の頃は恋愛とかわかんないもん きみのこと好きだったよ でも、友達の好きと男の子として好きの違いとかわかんないもん 中学生くらいからだよ、意識しはじめたのは、ふふっ ―短い間 きみの方はどう? お仕事は大変? ……そっか、そうだよね 大変なこともあるよね きみが頑張ってるのはわたしがよく知ってるよ 偉いぞ〜、よしよし、ふふっ 頑張るのも偉いけど、辛いときはゆっくり休んでもいいんだからね 無理しないで自分のペースでやるのがいいと思う 他人と比べたり、周りからの評価を気にしないといけないときもあるけど、 気にしすぎると心がすり減っちゃう 自分と向き合うのが大事だと思うな 昨日より、ちょっぴりでも前進できてればそれで100点 偉い〜ってわたしが褒めてあげる、ふふっ ヘトヘトのときは、家事の当番とばしてもいいんだから 支え合うのがパートナーでしょ? 家に帰れば、きみがいてくれて、一緒に過ごせる それだけで嬉しいの わたしも、きみにとってそういう存在になれてればいいんだけど……えへへ、本当? ……照れるなぁ ―SE 耳かき OUT よし ふわふわいくよ〜 ―SE 梵天 IN ふわふわふわ〜 癒やされて〜 耳かきでリフレッシュして明日からも頑張ろ〜 すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……すぅ……はぁ…… ふぅ…… ―しばらくして ―SE 梵天 OUT 最後は…… ふー、ふー、ふー、ふーーー ニヤニヤしてる〜 ふー、ふー、ふー、ふー、ふー ふふっ ふーーー、ふーーー、ふーーー、ふーーー はい、きれいになったよ〜 ……もっと? やりすぎはダメって言ったでしょ 本当、耳かきが好きだね〜 また今度やってあげるから、ね? ―SE 主人公が起き上がるときのベッドの音 その代わり……耳のマッサージしてあげる いろいろ調べたんだ 耳にはツボがあって、自律神経を整えたり、肩こりに効いたりするらしいよ ざっくり調べただけの知識なんだけど きみは、耳触ってもらえればそれでいいよね〜 そのままリラックスしてて やってみるね ―SE 両耳のツボを押す音 IN 痛くない? ……このくらいの強さでいいのかな…… ここは、確か肩こりだったかな…… ―少しして で、こっちが、なんだっけ 胃腸とかかな? ―少しして 効いてる感じする? ……わかんないかぁ じゃ、気持ちいい? ……ふふっ、ならいっか マッサージもやりすぎはよくないよね、多分 もうちょっとだけしてみよ ―少しして 耳、なにしても気持ちよさそうな顔してくれるから、いまいち手応えないな〜 マッサージするよりも昔みたいに触るだけの方がよかったりする? ……そっか ―SE 両耳のツボを押す音 OUT ―SE 両耳をなでる音 IN 気持ちいい? ……ふふっ 耳、すっきりさせると、わたしの声、よく聞こえるようになるのかな 好きだよ〜、ふふっ 伝わってる? わたしの、愛情 はぁ…… 好き 大好き はぁ…… 愛してるよ〜、えへへ はぁ、暑くなっちゃった ふぅ…… ―少しして このくらいにしておこうか ―SE 両耳をなでる音 OUT もういい時間になっちゃったし寝よ ―SE ふたりがベッドに横になる音 ―SE 掛け布団をかける音 きみと一緒のベッド、ふふっ 何回寝ても、ドキドキする いつか慣れるのかな…… きみも? ……ふふっ、一緒だね ―短い間 ずっと、両思いだったんだよね 勇気を出して告白しておけばよかった 学生時代から付き合ってれば、もっと一緒の時間を過ごせたのにね ……あぁ、そっか 引っ越しのとき、悲しくなっちゃうね 付き合ってなくてもすっごく寂しくて いっぱい泣いちゃったもん いろいろあったけど、これでよかったんだよね きみから気持ちのこもった告白もしてもらえたし 学生時代じゃこうはならなかったよね、きっと、ふふっ 本当にいろいろあったね…… 初めて出会ったときのこと覚えてる? わたしが迷子になってたときのこと どうしていいかわからなくて、不安でどうしようもなくなってたときに、 きみが声をかけてくれた それから、友達になってたくさん遊んだよね わたし、人と話すの得意じゃなかったんだけど、不思議ときみとは自然に話せてた 毎日、会いたい、遊びたいって思ってた いい思い出 きみはあんまり覚えてないみたいだけど〜 これからもたくさん思い出できるよね しっかり覚えておいてよ 忘れないように写真もたくさんとらなくちゃ じゃあ、あれも覚えてないのかな 大きくなったら結婚してって言ったこと わたしの1番大切な思い出 ……えっ、へへ、そうだったかな わたしのことお嫁さんにしてくれる? か、かわいい言い方するね、ちっちゃいころのわたし なんだよぉ、大事な約束覚えてるんじゃん しかもわたしよりはっきり 学生のとき、覚えてない感じだったから、ちょっとショックだったんだよ ふ~ん、そっかぁ~♪ 小さいときのこと覚えてるのが恥ずかしかったんだ〜 約束、守ってくれるのかな? ……ふふっ、顔まで赤い わたしも、かも…… わたしのこと、早くお嫁さんにしてね、へへ いつでもなってあげるんだから どんなプロポーズしてくれるのかな〜 最高の思い出にしてよ でも、無理はしないでね きみと一緒になれればそれだけで あ、そうだ 忘れちゃってたことがあって まだしてないでしょ 迷子のわたしを助けてくれたお礼 なにがいいかな? ある? きみのお願い叶えてあげるけど? ……え〜、なんにもないの〜? 大好きな彼女がしてあげるって言ってるんだよ〜、ふふっ 一緒にお風呂とかは? 背中流してあげる ……えへへ、まあわたしがしたいだけなんだけど ……いいの? じゃあ、明日一緒に入ろ んー、毎日チューしてあげるとか……もうしてるか なにがいいだろ ……えぇ、そんなのお礼にならないよ きみのこと一生愛し続けるなんて、そんな当たり前のこと ふぅ、明日も早いしそろそろ寝ないと お礼、なにか考えておいてよ どんなことでもしてあげるから それじゃあ…… はぁ…… ちゅ……大好きだよ ふふっ、おやすみなさい すー、はー、すー、はー、すー、はー、んうぅ、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、ふわぁ、 すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、んんっ、 すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー…… ―寝息でFO