第三章 久しぶりのデート 〇デートの別れ際・夕方 今日のデート楽しかったね。 短い時間だったけど、久しぶりに君と会えて楽しかった。 (デートであなたが勃たなかったことを踏まえて) あぁ、もう。その事は気にしないで。男の人だって調子が良い時と悪い時があるんでしょ。君のそれも今日はたまたま元気がなかっただけだよ。だからあんまり自信無くさないでね。君と抱き合えるだけで私は十分幸せだったんだから。ね? うん、そうだね。ドラマの主演が決まった報告もようやく君に伝えることが出来てよかった。本当は一年以上前にオーディションの合格は貰ってたから、すぐに君にも教えたかったんだけど、色々コンプラとか厳しくて言えなかったから。 うん。そのドラマの監督さんね、これまで色んなヒット作を作ってきたすごい人なの。だからこれを機に私ももっと色んなチャンスが貰えると思う。 え、オーディションの内容? …どうしてそんなことが気になるの。 そっか、私が普段どういうことを頑張ってるのか興味があるんだ。えっと…オーディションは別に普通だったよ。よくある審査をされたの。 ドラマに対する意気込みとか、今後アイドルとしてどうやって成功していきたいかとかを聞かれた後は、監督さんの前で少し実演なんかもしたかな。 うん、勿論競争は激しいよ。君が想像してるよりもずっと。 だから今回の主演の座も簡単に手に入れられたわけじゃないんだ。最後まで同じグループの子と争ってて、なんとかギリギリ勝ち取れたものなの。そういうこともあったからドラマは絶対に成功させたいんだ。 実はこの後もね、監督さんとマンツーマンでレッスンをしないといけないの。 来週から撮影がはじまるんだけど、それまでにどうしても確認したい部分があるんだって。 せっかくのデートだったのにごめんね。寂しい思いさせちゃってるよね… あ、でもそっか。君も今日は響子と飲みに行くんだっけ? 先週も二人で飲み会をして結構盛り上がったって話聞いたよ。 響子もずっと忙しかったけど、最近は担当が私一人だけになったから、ある程度時間の融通が効くようになったんだよね。 いいな~。また三人で集まれる時間作りたいよね。 あ、そろそろ時間だ。私もう行かなきゃ。 うん。今日は本当にありがとう。 私も大好きだよ。 ん…ちゅっ♡ じゃあ、行ってくるね。ばいばい。