■トラック1  秘密の誘い ---------------------------------------------------------------------- ●台本中の表記について  「」:台詞本体。  ():ディレクション指示。台詞前の記述は台詞ブロック全体に、台詞内の場合は次の改行までの局所指示になります。  <>:バイノーラルの位置・距離の指定。方向は聞き手側(マイク)から見た場合です。  《》はシーンのロケーション。  括弧が付いていない、2段階字下げされた文章はト書きです。括弧が付いていない、2段階字下げされた文章はト書きです。ト書き中のストロークの時間記述はピストンなどの速度(リズム)想定です。 ●バイノーラルの距離指定について(水平方向。垂直方向は必要に応じて都度記述)  密着:最接近  近距離:息がかかる程度の距離(15cm前後)  通常:通常の会話距離(30〜40cm程度)  遠め:一歩離れた距離(60〜70cm程度)  遠距離:それ以上の距離(1m以上)  上記の数値はおおよその目安です。シーンに合わせて適宜調整をお願いします。  主人公が座っているシーンでは着座姿勢を基準として位置指定しています。 (以下、本文) ====================================================================== 《部署内、自分のデスク》 仕事が一段落し、部屋中に安堵の空気が満ちる。 皆が思い思いに達成感を噛み締め始めてにわかに喧騒が起こり始めた中、瑞香がコーヒー片手に聞き手のデスクへとやって来る。 <右後ろ・通常> 「お疲れ様ー。いやはや、何とか切り抜けられたね」 振り返る聞き手。 <正面・通常> 「はい、差し入れ。コーヒーでいい?  …うん。仕事の後の一杯は格別だよね。…まだ午前中だから帰れるわけじゃないけど」 <正面・通常> 「あー…うんうん。ギリギリでチェック漏れが見付かった時は、空気が凍り付いたよね。  みんな一瞬で表情が固まってさ。  …私も、あー今週は休みなしかなぁ≠ネんて、ちょっとだけ覚悟してたんだけど、最悪の事態は回避できて良かった良かった。  みんなで懸命に頑張ったおかげだ。…もちろん、キミもね。  私は知ってるよ? キミが率先してみんなのサポートして頑張ってたのを。  ちゃーんと見てたんだから。えらいえらい」 <正面・通常> (意地悪っぽく) 「ふふっ…その褒められ慣れてない感じ、相変わらず可愛いなぁ。  つい、いっぱい褒めてあげたくなっちゃう。  ほーら、もっと私が褒めたくなるような報告とかないのかなー? あははっ」 <正面・通常> 「…あれ? うーん…もしかして、かなりお疲れかな?  うん、何だか言葉が溜め息交じり。…んー、ちょっと顔見せて」 <正面・近距離> 「あー、やっぱり。顔に出てる。  そうだよー。その愛想笑いも、頬に力が入ってないぞー?  ちょっと無理しすぎだね。体が資本なんだから、ちゃんとペース配分とか考えないとダメだよ? もう…」 <正面・通常> 「…んー。  あ、そうだ。  ちょうど仕事も一段落付いた所だし、私からご褒美をあげよう。  そ、ご褒美。  いつもお仕事を頑張っているキミに、素敵なプレゼントをあげます。  …何か気になる? んふふ、あのね…」 <右・密着> (ささやき。思わせぶりに) 「…昼休みになったらさ、休憩室に来て? そしたら、キミの疲れた心と体、いっぱい癒してあげるから…ね?」 <正面・通常> 「…さて! あんまりお喋りしてると怒られちゃうから、もう戻るね。  後片付けの書類整理もしなくちゃだし、部長はそういう事目ざとく突っ込んでくるから。  あとちょっと、頑張っていこう。  それじゃ、またね」 去り際に顔を寄せて念押し。 <正面・近距離> (小声) 「…昼休み、待ってるからね?」 (終)