君、大丈夫?  もう安心して。お姉ちゃんが居るからね。  んー? 私はね……。    はい。最後の一個です。これで全部。  それから、この袋使って下さい。  オレンジ。この中に全部入れましょ。  あの。今ってどんな状況です?  うん。  うん。  わかりました。  先輩が来た時にはもう、オレンジが散らばってて、自転車が倒れてて。  おばあちゃんが道に迷ってたんですね。  で、その定期入れは落とし物と。  じゃあ、私はここで自転車直しながら、そーくんのお母さんが来ないか、一緒にもうちょっと待ってみます。  先輩は、おばあちゃんのご案内をお願いします。  おばあちゃん、もう大丈夫ですよ。この方が連れて行ってくれますから。  ん?  ……!  とんでもない。  だからここは任せて? 行って下さい。  んーん。そーくんは、ここでお姉ちゃんと一緒にママ待ってよ?  大丈夫。すぐに来てくれるからね。  はい。また後で!  はぁ……! 何とか片付きましたね。  お疲れ様でした!  ほんと、そーくんママと交番で会えて良かったですよね。  お巡りさんが学校に連絡してくれましたから、遅刻扱いにもならないし。  色々運が良かったです。  ううん? 気にしないで下さい!  あーんな大変な事。一人じゃ無理ですもん。  お手伝いできて良かったです。  ふふ❤  あ、名前。言ってませんでしたね。  私、一年の桐生です。桐生 七緒っていいます。  あははっ。ありがとうございます。  でも、先輩こそすごかったですよ?  遺失物届のピンクの紙。書き慣れてましたし。  お巡りさん達ともお知り合いでびっくりしました。  あは❤ 常連なんだ❤  って事は、いつもこんな感じなんですか?  道聞かれたり。迷子ちゃん助けたり。  そう。倒れてるもの直したり。  色んな人、一杯助けてるんでしょう。  やっぱり❤  優しいんですね。  先輩がそういう感じの人だから、おばあちゃんも話しかけてくれたんでしょうね。  えー? そんな事ないです。  困った時、たまたま近くに居たからって。  怖そうな人とか、冷たそうな人には話しかけませんよ。    そう! 絶対そうですよ。  私だって先輩の事、絶対素敵な人だって思いましたから。  ねぇ。先輩。さっき、落とし物よく拾うっておっしゃってましたけど。  もしかして。スマホも拾った事ありませんか?  ……。  白い、白鳥っぽいデザインの奴です。  うん。それね、私のなんです。  ほら。見覚えありません?  ふふ❤  はい。そうなんです。  その節は、本っ当にありがとうございました。  うちの学校の人が届けてくれたって聞いてたから、私ずっと探してたんです。  何とかして、直接お礼を言いたいなって。  ついに会えましたね。  ……もし会えたら、好きになっちゃうかもって思ってたけど。  想像以上でした。  だからね。  私、先輩の事好きになっちゃいました。好きになってもいいですか?  ふふ❤