『二ヶ月前に入部してきた後輩に格闘技で負かされてしまう先輩男子の話』 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12184521 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12462798  これは年が明ける前に部活納めをした時の話。  学園にある二階建ての体育館の一階部分にある武道場での出来事だった。 ガシィッ!! 「ぐっ、が……ぁ……」 「ふふふ、やったぁ♪」  後輩女子が放った右ハイキックが僕の側頭部にヒットした。  視界が一瞬だけグニャリと歪み、痛みがスローモーションで襲いかかってくる。  僕の足が畳を踏ん張る力が急速に消え失せていく。  右膝に力が入らない。  このまま自分が崩れ落ちていくんだろうなという予感がする。 「あれあれ~、もう終わりですかセンパイ?」 「く、くそっ……」 「私に倒されたくないんですね。踏ん張ろうとしてる……でも」 ビシィッ! 「がああああああああっ!」 「待ってあげませんから」 ドサリ……  軸足にローキックを受けて、僕は倒れ込む。  彼女にしてみればほんの軽く落としただけのキックだが耐えきれなかった。 「大丈夫ですかセンパイ。もうやめにします?」 「まだまだ、平気だよ……」 「さっすがセンパイ♪」  両手で体を支えながら震える足で立ち上がる。  僕の姿を見て後輩が笑みを浮かべた。 「じゃあ、再開でいいですね?」  僕が頷いたのと同時に彼女が右ストレートを放つ。  反射的に左手でガードすると、後輩の右手がピタリと止まって左の鋭いパンチに切り替わった。 パチンッ 「あがっ!!」  単純なフェイントに引っかかり左が直撃する。  だが軽い。  当たった瞬間に腕を引いたのだとわかる。 「私のパンチどうですかセンパイ」 「こ、この程度で倒されるわけないだろ!」 「そうですか。じゃあたくさん打ち込まないと」 「っ!!」  そこからさらに後輩がギアを上げてきた!  手数が多くなったので僕は防戦一方にならざるを得ないが、数発に一度は回避しそこねてしまう。 (一発一発は軽いけど、ガードの隙間をくぐってきて……ぐああぁ!)  僕が慣れないように間合いを変えて後輩はパンチを続ける。  いつか息切れするときを狙って反撃してやろうとしていたのだが、 「粘られると面倒だからや~めた。えいっ!」 ビシイイィッ!! 「ぐああっ!」  突然やってきたローキックに対応できず、もろに食らってしまった。  今までのパンチが全て囮だったのではないかと思えるほど、しっかりとさっきと同じ場所に蹴りが打ち下ろされた。おかげで、収まりかけていた痛みが一気にぶり返して、とうとう僕は動けなくなってしまう。 「あっ、カウント取りますね。1,2,3……」 「ぐううぅぅっ!」  そしてゆっくりとカウントが進み、僕が立ち上がれないまま後輩の勝ちが確定した。 「ふぅ、これで私の一本勝ち……えっと、7勝目ですねセンパイ!」  倒れたまま動けない僕を見下ろしながら、後輩である涼見芳香(すずみ よしか)がその場でピョンと飛び跳ねた。  見た目は全然強そうに見えない普通の女子。  真っ黒でツヤツヤした髪を二つにくくっており、手足はすらりとして長かった。  むしろ可愛らしい容姿で、汗臭い格闘技が似合わない雰囲気すらある。  身長だって僕より数センチ低くて、格闘技は未経験。  そんな後輩が入部して二ヶ月と経っていないのに、あっさり追い抜かれてしまった。  決して彼女が格闘センスに優れているというわけではなくて、僕が単純に弱いというだけの話なのだろう。 「センパイもしかして手加減してくれたんですか?」 「そんなわけ、ないだろ……」 「あはっ、知ってましたぁ♪」  笑いながら容赦なく僕の心を傷つけてくる後輩。  睨み返すことしか今の僕にはできない。  視線に気づいた涼見芳香の口元がニマッと開いた。 「セーンパイ♪ 悔しいですか? 情けないですか?」 「……ッ!」  情けないし悔しい。そんなの決まってる。  もはや今日から先輩としての威厳なんて保つことができない。  唯一の救いは彼女と僕しかこの場にいないということなのだが…… 「いいわすれてましたけどぉ、はいこれ!」 「なっ」 「見てください。こっそり撮影していたんですよぉ? 後でじっくりセンパイの技を分析するために。でも必要なくなっちゃいましたね」 「け、消してくれ!」 「別にいいですけど。撮影と同時にクラウドに保存してますからここで消しても無意味ですね」 「なんで、そんな……」 「決まってるじゃないですかー。後で部活のみんなに自慢しようと思って♪」  そのたった一つの希望ですら、この後輩は握りつぶしにかかってきた。  まだズキズキ痛み続けている頭をなでながら僕は考える。  このまま後輩の好きにさせるか、なんとか思いとどまるようにお願いしてみるか。 「た、たのむ、それだけはやめてくれないか……」  僕は後者を選択した。穏やかな気持ちで新年を迎えたかったから。  しかし――、 「うふふふ、ちゃんと土下座してください」 「くっ……」  言われたとおりにやるしかない。屈辱的だ。今すぐ消えたい。  だがそんな気持ちが自然とにじみ出ていたのか、後輩がため息混じりに言った。 「下手くそですね、センパイ。全然気持ちがこもってないじゃないですか」 グニッ! 「……!?」  後頭部が不意に押さえつけられる。  まさか僕の頭をこいつ、足で……ッ!! (くそっ、いいかげんに! う、ううううううううう!!)  だが跳ね除けられない。  体力を消耗しすぎて後輩の足を弾くことができなかった。  しばらくそんな状態が続いてから、頭を押さえていた重みが消えた。  土下座をやめて顔を上げる。  すると目の前には微笑む後輩の顔があった。 「仕方ないなぁ、じゃあもうひと勝負しませんか」 「ま、またやるのか……」 「いえいえ、格闘技じゃもうセンパイに負ける気がしませんから他の勝負で」 「他って言うと」 「バトルファックしましょ、センパイ♪」 「!?」  後輩からの提案は僕の予想外のものだった。  セックスで勝負? 馬鹿げてる。  ここは学園で、部活の場所で、そして何より…… 「センパイもしかして童貞クンですかぁ?」 「……」 「言い返さないってことはそうなんですね。  じゃあこれも勝負にならないかなぁ」 「ふざ、けるな……」 「あれっ、童貞クンじゃないんですか?  それなら少しは我慢できるかも知れませんね」  後輩は生意気そうな表情でそう言い放ったけど、じつは図星だった。  僕は女性との性交経験がない。  せいぜいネットで拾った美少女の画像を見て自分を慰める程度だった。 「見るからに童貞っぽいからラッキーだなーって思っていたんですけどね」 「うるさいっ」 「おおー、こわいこわい♪」 「……」  それ以上何も言い返せないのが自分でも悔しい。  よく見ればこの後輩はとても可愛らしい顔をしているし、スタイルだって悪くない。  きっと男子からもモテるんだろうな……と容易に推測できる。  でも逆に、なぜそんな彼女が僕に向かってこんな提案をしてくるのか理解できない。 「じゃあ勝負の形式ですけど、我慢比べと本番勝負のどちらがいいですか」 「形式って……え、えっと……」 「我慢比べにしましょうか。十分間だけ気持ちいいのを我慢できたらセンパイの勝ちでいいですよ」  どうやら僕に拒否権はなさそうだ。  童貞の自分が後輩とは言え、おそらく性交経験者である彼女にセックスで勝てる気がしない。  これから起きる屈辱に耐えきる選択肢しか僕には残されていない。 「耐えきってやる……」 「さすがセンパイ、そうこなくっちゃ♪」  そう、たった十分。  人生の中で、今年最後の屈辱としての十分だ。  年が明ければ簡単に忘れることができるだろう。  その時の僕は本気でそう思っていた。 「じゃあ始めましょうか。その前に」 ふるんっ 「な、なっ!」 「少しくらいムードを出してあげますよ」 「それ以上は脱ぐなよ!」 「もちろんですよ。センパイなんてスポブラとスパッツ姿で十分です」 「お、お前の体なんかで、僕は……」 「えー、けっこう興奮しませんか?」  そういいながら目の前で胸を抱えるようにしてポーズを決める。  目の前で揺れるそれは予想以上に大きくて柔らかそうだった。  見つめる視線がそらせない。  これはまだ素肌ではないというのに。  スポーツブラというのは凶悪だ。  女性の肌を、曲線を実物以上にきれいに魅せてくれる。 「ふっふーん、しっかり見とれてるじゃないですか」 「そんなことは!」 「ん~? そんなことは?」  決して見とれてなんていない、と言い返せなかった。  実際に彼女の体はとても美しいラインで、つい先程まで感じられなかった色香が僕を悩ませる。 「意地悪しちゃいましたね。ごめんなさい」 「え……」 「これから肌を合わせるんだから、センパイに優しくしてあげます」 ふにゅううぅぅ…… 「あ、あっ!」 「抱きしめてもいいですか? センパイ……」  軽くギュッと抱きしめられると緊張の糸が緩んだ。  警戒心が心の奥へ溶けていく。  女の子の髪って、こんなにいい匂いがするんだ…… 「うっとりしてる。かわいい♪」 「そ、そんな、ぼく、は……」 「童貞クンじゃないんですよね? じゃあほら、ふううぅ~~~~」 ゾクゾクゾクゾクッ! 「んはああああああああああっ!!」 「お耳、弱いんですね。責めやすいところを一つ発見しちゃった」  抱擁をやめて後輩は正面から僕の目を覗き込む。  ほんの少しだけ目線が高い。 「いい? もっと弱いところを私に教えて」 「う、うううっ!」 「センパイ、もっと可愛くしてあげますからね」 「うあっ!」 「さあ、横になりましょう?」  まるで主従関係を刷り込むように彼女は言う。  後輩に軽く肩をこづかれてそのままゆっくり大の字に転がってしまった。 「女の子に見下されてるのって悔しいですか?」 「あ、あたりまえだ!」 「そーなんだ? じゃあもっと悔しくなっちゃうかも知れませんねぇ」  彼女の顔の脇に見える時計を見るとまだ一分も経っていない。  それなのに僕はすでに何度も負けた自分を感じている。  格闘技で負けて、抱きしめられて心がほどかれて、後輩に弱みを握られたことが悔しいはずなのに何故かドキドキしてしまって…… 「センパイって素直じゃないですよね」 「何を急に……」 「こんなにお顔を真っ赤にしてるのに強がるなんて」 「別に強がってなんか……」 「悔しくて恥ずかしい。違いますか?」  じっと見つめてくる大きな瞳。  流石に僕は小さく呻く。 「ちゃんと言えましたね。ご褒美です」  すると彼女の顔が近づいてきて、軽く額にキスをしてきた。  さらに両手を開いて僕に見せつけながら指先を動かし始める。 「私の手のひらで調べてあげますね」 スッ……  細い指先が同時に左右の乳首に振れた瞬間、僕は小さく喘いだ。  弱い電流を流されたみたいに体も跳ね上がる。 (きもちいい、こんなのっ、きもちいいはずが、ないのに……!)  怒りとか情けなさがかき消されて、ひたすら恥ずかしい。  それ以上に、一方的に裸にさせられた状態で女の子に体を触られることがこんなに気持ちいいなんて、認めたくなかった。 「セーンパイ、女の子みたいです」 「うあ、あ、え、ええ?」 「かわいいです♪」 「や、やめ……」 「また赤くなった。かわいいかわいいかわいいかわいい……」 「ああああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!」  ギュッと抱きつかれるようにしながら僕は叫ぶ。叫ぶしかなかった。  声を出していないと気が狂ってしまいそうなほど気持ちよかったから。 「好きですよセンパイ。すきすきすきすき……」 「や、やめっ、ほんとに、だめっ、だ……」 「この手のひらのも好きになってくださいね」  妖しく囁かれるとまた心が緩む。  悔しさを覚えていたはずなのに他の気持ちにすり替えられてしまう。  しかも肌の感触が直接伝わってきて、彼女との距離もどんどん近くなって。 「ピアノを弾くみたいに体中を触ってあげますから」  指先だけの接触だけで、僕は射精しかけてしまう。  ビクビクと震えだす体はすぐに彼女に抱きしめられ、ますます密着度が高まる。 「脇腹もこちょこちょしてあげますね」 「んひゃっ、あ、あああ!」 「くすぐったいって言い訳できるの便利ですよね? 本当は気持ちいいのに」 クニュクニュクニュクニュ♪ 「ふああああああああああっ!!」 「あはっ、ここがそんなに気持ちいいでちゅか~?」  年下扱いされて頭の中がカーっと熱くなる。  だがそれだけだった。 「ほ~ら、いいこいいこ……センパイの体はもう私の虜です~」 「あ、あああぁ……」 「もっと沈んで、溺れて、私のものになっちゃいましょうね」  その後、すべすべの手で全身を撫でられ、時々耳元で甘い言葉を流し込まれると抵抗する気持ちが起きてこなくなった。  次に彼女が何をしてくれるのかを待ちわびてる自分に気づく。  これじゃまるで本当に……! 「すっかり素直になったね」 「んっ、あぁ……」 「奴隷クン♪」  耳に流し込まれたその一言が脳内へ溶け込んでいく。  歪んだ主従関係みたいだ、と思っていても体が奮起してくれない。  後輩の奏でる甘い快楽の調べに包まれているうちに何もできなくされてしまう。  確実に恐怖心を感じているのに逃れられない。 「ずっと狙っていたんですよ、センパイ」 「え……」 「この期間、自主練しかありませんからね。他の誰にも私がセンパイより強いってことを知られなくてすみますし」  まさか始めからそのつもりで?  そんなはずはない、格闘技は未経験だと言っていたし――、 「はじめにここでセンパイを見かけた時、あっこの人弱いなーって感じたんです」 「っ!!」 「ふふっ、悔しいですか? 睨まれても怖くないですよ。  だってはじめから私のほうが強かったんですから」 「き、キミは……」 「全国格闘技大会45キロ以下中学生の部優勝って表彰状が私の部屋にありますよ」 「どうして……」 「不思議ですよね。私、自分より弱い男の子をなぶるのが趣味なんです。  しかも年上のサンドバッグ奴隷クンが欲しかったから……センパイを自分のものにしようと思っていたんですよ」  僕は何も考えられなくなった。  信じられない。彼女はずっと僕を見ていたんだ。  そして年末で誰もいなくなるこのタイミングで僕を誘い出し、自分の計画通りに勝利を収めた。 「でも何人か壊して気づいたんですけど、痛いだけじゃだめなんですよね」  いつの間にか勃起させられてしまったペニスへ、そっと手が置かれた途端に僕は喘いでしまう。 (きもち、いい……なんで、さっきよりも彼女の手が優しく感じるんだろう……)  戸惑う僕を見つめながら後輩が笑っている。  それは今まで蓄積された甘い刺激をさらに倍増させるためのトリガー。  整った顔立ちの年下の美少女に見つめられながらの手コキに抗うことはできない。  むき出しになったペニスをいたわるように指先が絡み、我慢汁を搾り取っていく。  裏筋をカリカリと引っかかれるたびに背筋が震えた。 (そ、それえっ! あ、き、気持ちいい……もう彼女に勝てない、勝てなくされちゃう……こんな、きもちいい手コキを続けられたらおかしくなる……)  不意に彼女の手がリズミカルに動き出す。  指先を折り曲げて亀頭をつまんでクルクルと回してくる。 「優しく優しく、気持ちいいのを織り交ぜて……」  上ずった声を出し始めた僕を抱きしめ、自分の胸へといざなう。  押し付けられた彼女の胸はスポーツブラの感触と相まって最高だった。  恍惚となっている間もずっと彼女はペニスを掴み、先端を包み込むように指先を全てかぶせてきた。  猫の手のような形で包み込まれたペニスを弄ぶように、手のひらを回転させて僕を喜ばせにかかってくる! 「うぐっ、ううううう!!」  抱きしめられ、刺激され、囁かれ、ねぶられる。  快感のループと呼ぶには激しすぎる甘美な刺激が数分間繰り返されたあとで、僕はすっかり抵抗する気力をそがれていた。 「ゆっくり壊していってから、もう一度固めてあげるとぉ……」 「あ、あああっ、ああ……」 「私の指マンコにセンパイをご招待しちゃいますね」 ヌチュウウウウウッ……  ねっとりとした感触の指先が再びペニス全体を包み込んだ。  気持ちいい、また僕は溶ける……溶かされちゃう!    ああ、これが女の子の膣内の感触……なのかな……  冷静な思考が彼女の手のひらの中でドロドロにすり潰されていく。  快感の旋律が絶え間なく僕を狂わせる。  クチュクチュと音を立てて踊るように動く指先が、一秒ごとに僕に新たな性癖を植え付けていくようだった。  年下の女の子、それも自分よりずっと強い女の子……  格闘でもセックスでも勝てそうにない……  でも僕を気持ちよくしてくれる大切な存在……  自分では到底生み出せない手コキによる快感は、僕の心に後輩への絶対服従というくさびを打ち込んだ。 「そろそろ仕上げかな、センパイ……」 「うあっ、あああ、イくっ、イくうううう!」 「いいよ、いっぱい出しちゃえ♪」  のけぞる僕を抱きしめながら、彼女の手首がクイッと翻った瞬間――、 ビュクウウッ、ビュクンビュクンッ!!  抱きしめられたまま手のひらの中へ大量の精液を吐き出してしまった。  一度、二度、三度……連続で大量の精を捧げながら僕の中で彼女という存在が変わっていくみたいだった。 「どうだった? 気持ちよかった? センパイ 「すき、これ、すきぃ……」  もうそれしか頭に浮かんでこない。  この日、僕は人生で初めて快楽によって壊された。  うわ言のように同じ言葉を繰り返す様子を眺めながら、後輩の目が嬉しそうに細くなっていく。 「うふふふふ……はい、できあがり。年上の奴隷クン♪」  そんな屈辱的な言葉を至近距離で聞かされても、僕にはもうどうすることもできなかった。  これほどまでに甘いご褒美付きの契約なんて断れるはずがない。 「もういちどピュッピュしよ? ね?」 「い、いや、だめだから、あ、あっ、ああああ!!」 「ほ~ら、ぴゅっぴゅっぴゅ♪ ぴゅっぴゅっぴゅ♪」  無防備な下半身にやってくる津波のような快感。  言葉に導かれるように、勝手に射精感がこみ上げてくる。  微笑む彼女のきれいな顔を見ながら、僕はあっけなく二度目の精を柔らかな手のひらに捧げてしまうのだった。 ■  呼吸が整わない。全身が心地よいさざ波に揺られているみたいで、妖しげな気だるさに包まれている。時折背中を駆け抜ける射精の余韻に浸りながら視線を上げる。  そこには余裕の表情で僕を見下ろす後輩・涼見芳香の顔があった。 「気持ちよさそうですねセンパイ♪」  軽くあしらわれてるような口調がたまらなく魅力的で、僕は整った顔立ちの彼女をじっと見つめている。  鼻先に感じるのは二つにくくったツヤツヤの黒髪。  こんな普通の、いや可愛いらしい子に負けてしまった。 「いつまで私に見とれているつもりですかぁ?」 「え、あっ、いや……」  なにげなく視線をそらして時計を見る。  開始時刻から逆算すると残り時間はまだ半分以上ある。  予定時刻の半分でノックダウン……  バトルファックにおいて軽くひねられたと言っていいだろう。  でも悔しいはずなのに快感が邪魔をする。  立ち上がろうとするたびに、手足に太くて重たい鎖が絡みついてくるみたいで身動きが取れなかった。 「これで終わりだなんて思ってないですよね?」 「え……」 「奪ってあげますよセンパイ」  降り注ぐ言葉に戸惑っていると、芳香がゆらりと身を起こしてスパッツを脱ぎ始めた。 「な、なにをっ!」 「……よいしょ、っと。これあげます」 パサッ 「ぅぷっ!!」  真っ黒なスパッツと、その下に隠れていた白いショーツが僕の顔に落ちてきた。  ほのかに暖かくて、汗を吸収しているせいなのか少しだけ重く感じる。 (こ、後輩の下着……こんなの、ただ屈辱なだけなのに、ドキドキする……!)  おそらく十秒くらいの間、自然にズルリとスパッツがすべり落ちるまで、僕は身じろぎもせずにその感触に酔いしれてしまった。 「うっとりしちゃってかわいいですよセンパイ」 「あ……」 「後輩の下着がそんなに好きだったんですかぁ? いつもどんな目で練習中の私を見ていたんでしょうね」 「ち、ちがうんだ! これは」 「すぐに言い訳しちゃうのもかわいいです♪」  そう言いながら後輩は僕に覆いかぶさる。  両手を僕の肩に置いて、両膝で僕の腰を挟み込むような女性上位の四つん這いだ。 (軽く抑え込まれてるだけなのに、動けない……)  恐怖心とともに何かを期待する気持ちが膨らんでくる。  触れ合ってるだけで全身が熱くなる感覚。 「私の手のひら、どうでした?」 「どうって……あっ……ひいっ……!」  ゆっくり言葉を選びながら後輩が尋問してきた。  そして指先に少しだけ力を込めて、僕の肩に指を食い込ませる。  さらに僕をマッサージするように指先が動き出すと、何故か触れられてもいないのに下半身がジンジンと疼き出した。 (これっ、て、手コキと同じ動き!!)  僕の体をペニスに見立てて指先だけで蹂躙するような淫らな動き。  先程味わった快感がフラッシュバックして、意識より先に体が敏感に反応してしまったのだ。 「クスッ、しっかり焼き付いてるみたいですね」 「あ、あっ……」 「この動きでセンパイは軽くイかされちゃったんですよ?」  肩に置かれていた手がそのまま内側に滑り、僕の両頬を抑える。  そのまま芳香は視線をそらさずに僕の顔を撫で回し始めた。 (あああぁぁぁぁーーーーーっ!!)  僕は心のなかでため息を付いた。 「おててのオマンコ、気持ちよかったんですよね?」  そこへ、こちらの気持ちを見透かしたような一言。  きっと僕は今、彼女に見つめられながらトロ顔を晒しているのだろう。  柔らかな彼女の手がペニスを弄び、射精に導いたことを無理やり回想させられているのだから。 「芳香のオマンコきもちいい?」 「う、う……ん……」  思考が蕩けた状態での彼女からの言葉には逆らえなかった。  暖かくて柔らかい指が僕をだめにしていく…… 「ふふ、素直になってきた♪ じゃあ、もしもですけどぉ……本当のオマンコに包まれたらどうなると思います?」 「!?」 「女の子の大切なところ、ほら……ここですよぉ♪」  芳香はにっこり笑いながら少しだけ腰を浮かせる。  そして片方の手でブイサインを作ってみせると、そのまま自らの股間へと忍ばせた。 クニュッ…… 「うあああああああーーーーーーーーーー!!」  二股になった指先が、いきり立ったペニスをはさんで軽くしごいた。  その直後、角度を調整しながら生暖かい場所へと導かれた。 ヌチュル……! 「あ、ああああっ、これえええ!?」 「先っぽが暖かくてとろけちゃいそうですか?」  そのまま僕を見つめながら芳香はニヤニヤ笑って手首を動かし続けた。  ヌチュヌチュという音が聞こえるたびに腰が溶けていくみたいな快感が僕を包み込んでいく。 (芳香のおっ、オマンコに、こすりつけられてるんだ! なんだ、これえええ、き、きもちいいい!!)  全く痛みを伴わない優しい拷問。  視線を落として凝視する。  女性の隠された花園に亀頭の先が少しだけ潜って、すぐに追い出されていた。 「反応がわかりやすくていいなぁ、センパイ♪」 「だ、だって! これはっ」 「おちんちんが少し触れただけでこんなに気持ちよくなれちゃうんですよ。もしも全部すっぽり、私の中に囚われちゃったらどうなるかわかりますよね」 ヌチュヌチュヌチュヌチュッ♪  今度はリズミカルに膣口へペニスがこすりつけられた。 「私もけっこう気持ちいいんですよセンパイ♪」  そう言いながら手を休めようとしない後輩。  必死で目をそらして歯を食いしばる僕。  男子の一番敏感な部分が彼女の膣口でねっとり舐められている……そう思うだけであっという間に射精してしまいそうだった。 「ああっ、ま、まってくれ芳香……」 「もうすぐですかね」 にゅるんっ 「はうあああああ!!」 「クスクスッ、気持ちいいですね? センパイのおちんちんは、芳香のオマンコに逆らえなくされちゃうんですよ……」  わざと大きく滑らされただけで本当に射精しかけた……  膣口全体を使ってペニスの裏筋までを溶かされたみたいで気持ちよすぎる。 「聞こえてますか? センパイ」」 「そんな、あ、ううう……」 「格闘技も強くてエッチもセンパイより上手な後輩のオマンコに抱きしめられたら、これくらい気持ちいいに決まってるじゃないですかぁ」  そうだ、僕は抱かれてる……芳香に、後輩に主導権を握られて情けなく喘いでるだけなんだ。こんな屈辱的な状況からはすぐに逃げなきゃいけないのに、手足に全然力が戻ってこないなんて! 「もう頭の中が大変なことになってますよね?」 「ち、ちがう、お、僕は……」 「ふふっ」  弱々しく手を伸ばして反撃を試みる。  スポーツブラ越しに芳香のバストに触れてやろうとした瞬間、 ツプリ…… 「うああっ!」  動けなくなった。何だこれ、温かいのを通り越して体が本当に溶けてるみたいで! チュプッ、チュルルル…… 「じゃあ実際に試してみましょうか。先っぽをゆっくりめくりあげるようにして……」 「えっ、ま、まさか!」  もう一度視線を落として僕は愕然とした。  亀頭がそのまま彼女に飲み込まれてる…… 「ふあっ、あああああ!!」 「まだ擦ってるだけですよセンパイ」  違う、もう完全にこれはセックスだ。先端が見え隠れしている時間が短くなって、だんだん奥へと引き込まれていく。  粘膜が擦れあって馴染み、一方的に彼女に包み込まれてく…… 「女の子の柔らかいお口でなめてあげます。ほらぁ、ペロペロペロペロ♪」 「い、言うなあああああ!!」  芳香はゆらゆらと腰を揺らして、何が起こっているのかを僕に見せつける。  今度はわざと短い間隔で膣口から亀頭を吐き出し、また入れ戻すという淫らな様子をゆっくり繰り返し始めた。 (きっ、きもちいい、ひい、え、えっちで! ヌルヌルのオマンコが僕を、何度も、何度も!!)  いつの間にか僕は身を固くして彼女の責めに耐えることしかできなくなっていた。 「どうして必死なんですか? こんなの我慢できるんでしょセンパイ」 「あ、あがあっ……!」 「たっぷり舐めてあげますから強いところを見せてくださぁい」 ヌリュッ、ヌリュ、ヌリュッ……  次に彼女がしかけてきたのは、一旦ペニスを外に出してからの素股だった。 「ひいっ、こ、これえええええ!!」 「まさかこれだけでイッちゃいそうなんてことありませんよね? ふふふふふ」  むき出しになったペニスのラインに沿って、膣口を滑らせて舐めあげていく。  腰を前後にグラインドさせながら亀頭から根本までを三往復された頃には、僕は完全にこのテクニックに魅了されていた。 (きもちい、芳香のオマンコすごい、ぬるぬるで、えっちで、僕をこんなに喜ばせてくれるなんて……)  入れたい、彼女の中に入りたい……  芳香の膣内で僕自身をすべて包んで欲しい…… 「じゃあそろそろ……ね?」  僕の気持ちを察してくれたみたいに、後輩が可愛らしくウインクしてみせた。  腰を持ち上げて狙いを定めてから、手を使うことなく腰の動きだけで亀頭を膣内へと誘い込む…… 「あ、あ、あああっ!」 「はじめてのオマンコ気持ちいいよね? でも出しちゃだめ……がまんがまん♪」 チュププププ……  淫らな音を聞かされながら、十数秒間かけてゆっくりと僕は後輩のオマンコに包み込まれた。  うっすらとした茂みをかき分けながら甘い誘惑の沼へ沈んでいく肉棒はまるで僕自身のようで逃げることも抗うこともできずにいた。 「はい、これで全部入っちゃいました……ちゃんと我慢できましたねセンパイ」  後輩はニコニコしながらそう言ってくれたけれど、僕には全く余裕がなかった。  蕩けるような膣肉が絶え間なく僕を愛撫してくる。 (あ、あああ、やさしい、優しくて、甘くて、トロトロで……おかしくなる、これ、これえええ!)  手コキとは別次元の全方位からの責めに僕は悶える。でも逃げ場がない。  しっかり体重をかけられて暖かい蜜で満たされた牢獄に閉じ込められたペニスは、射精するときに備えて切なく震えている。 「んっ、硬い……センパイ、そんなに私のオマンコが気に入ったの?」 「うぁっ、ぐ、はぁ! 締め付けが……!」  完全に根本が見えなくなるまで深くつながったせいでわかる。  このままだと僕は十秒も我慢できずに射精してしまう! 「たのむ、動かないで……」 「うふふふふ♪ はい、動きません。このままの体勢でセンパイを鍛え上げますから」 「ぼ、僕を?」 「正確にはセンパイのおちんちんをですね。私専用のサンドバッグにふさわしい強さを身に着けてもらわないと」  その言葉が終わると、不意にペニスの根本に圧迫感を覚えた。  お腹の奥が熱くなり、亀頭がクニュクニュした何かに擦り付けられて思わず前のめりになってしまいそうになる。 「うあああああっ、い、今……きゅうううって!」 「ええ、締め付けてますよ。簡単には射精できないように」  続いてカリ首のあたりも同じくらい強く締め付けられる。  まさかこれ、芳香がわざとやってるのか? 「センパイ、両手を上げてください。バンザイして」  困惑しつつも言われたとおりに腕を上げる。  ペニスはまるで射精寸前で時が止まったようにされていた。 「そのままじっとしててくださいね。今から特訓スタートです」 「なっ……」  挿入したままの体勢で、芳香が僕の両方の手首をいったん掴んだ。  それから、そっと指先だけを残した。 「くすぐったくても我慢してください」 「え、えっ!?」 「この私の指が一往復、下から上に上がってきたときに、もしも射精しないでいたらさっきの勝負はノーカウントにしてあげますよ」  僕を見下しながら彼女が言う。  しかし僕は断然やる気になった。  たったこれだけのことで汚名を返上できるなら! 「やってやるさ……」 「いい目になりましたね。センパイは歯を食いしばって、両手を上げ続けてればいいんです。じゃあはじめますね。私が使うのは両方の中指です」  そう言ってから芳香の指が僕の手首を軽く引っ掻いてみせた。  痛みはなく、じわりとくすぐったさが湧き上がる。 「だって、五本も使ったらセンパイ狂っちゃうでしょう? さっきの手のひらリサーチでセンパイがくすぐりに弱いことは把握済みです。さあスタートです!」  そう宣言してから芳香は指先をゆっくりと滑らせはじめた。 ツツツツ…… 「ぅくっ!」 「可愛い声がこぼれちゃいましたね。もっといじめてあげる……」  開始から数秒後だと言うのにすぐにくすぐったさが溢れてきた。  手首から肘までゆっくりとナメクジが這ってくるような動きだが、ペニスが囚われていることもあって全身が敏感になりすぎている! ツツツツ……カリッ…… 「はうっ!」 「くすぐられてるだけで我慢できなくなっちゃうの? ふふふふふ」  肘に到達した指先が少しだけ折れ曲がって、軟骨をくすぐってきたのだ。  たったこれだけのことで声を上げてしまうなんて恥ずかしい……  淫らな指先は左右対称の動きでゆっくり降りてくる。  肘を通過して肩と脇の……あああああああああああっ! 「ほらほら、もうすぐ脇の下ですよ……くぼみに指を滑らせて踊らせちゃいますか?」 「ひっ、ひいいい!」  芳香の指先がピタリと止まる。  脇の下に差し掛かる数センチ前といったところだけど、だめだ……考えただけでこんなの絶対我慢できないいいいいいい!! 「いくよ? こちょこちょこちょこちょ~~~~」 「ーーーーーーーーーーーーーっ!!!」  必死で歯を食いしばる。そしてやってくるであろうくすぐったさに備える。  それでも僕は我慢しきれずに見をくねらせてしまう。 「あはははは、言葉だけなのに感じちゃなんてヘンタイさんでしゅね~」 「よ、芳香、まって、まってくれれえ!」 「だ・め・で・す♪」 ツプッ…… 「あああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーー!!」  脇の下にするりと指先が滑り込む。  両方のくぼみに彼女の柔らかい指先が迷い込んだ。  このままかきむしられたら絶対に我慢できずに降参させられてしまう! 「センパイ、もう汗だくじゃないですか。おちんちんも私の膣内でヒクヒクしてきたし、イッちゃう間際ですかね」 「だめだ、うごか、しちゃ、だめだああああぁぁぁ!」 「ほらぁ、頑張って、センパイ♪」 ツーーーーーーーーーッ 「!!!!!!!!!!」  予想に反して芳香は弱点を責めてこなかった。だがこれはきっと彼女の優しさではなくて、いつでも僕を追い込めるぞという自信の表れだろう。 「指先が腰骨にたどり着いたら折り返しです。ここまで射精してないのは上出来だと思いますよ」 「偉そうに、あっ、ああ、ふうう!」  僕の言葉を遮るように彼女の指が一気に駆け下りた。  なにはともあれ、これで半分だ…… 「私、偉そうですか? うふふふふ……  生意気な言葉を使うセンパイもかわいいです」 「こ、このっ……!」 「おちんちんはオマンコの中でビンビンだし、手加減しないと私の指使いにも勝てないくせに」 「ッ!!」  後輩の言葉に何も言い返せなかった。  そして打ちのめされた気持ちになった。  情けないことにそのとおりなのだ。膣内に収まったままのペニスは今にも射精したくて仕方ないくらいに気持ちいいし、芳香にくすぐられるたびに快感が全身に広がっていく。 「くすぐられマゾのセンパイ、かわいいですよ? うふふふ」 「なんとでも、い、いひいいっ!」 カリカリカリカリ♪  脇腹を指先でクリクリとなぞられた……軽く爪を立てられただけで喋れなくさせられてしまうなんて! 「さあ、そろそろ二度目の脇の下ですけど」 「!!」 「ちょっと寄り道しますね。私の人差し指で両方の乳首さんをカリッ♪」 「うああああああああああああああああああ!!!」  芳香は小動物をいたぶる猫のように、親指で僕の乳首を責め始めた。  基本の中指を脇の下の手前においたまま、親指だけでグリグリと乳首を弄ぶ。 (やばっ、これは、なんだ……はじめはなんともなかったのに、だんだん……ふあああああああっ!!)  歯を食いしばっても貫通してくる。  鈍感だと思っていた自分の乳首がこんなに気持ちいいなんて思っていなかった。 「あははは、気持ちいいですかぁ? ほらほらもっとしちゃいますよ」 「やめっ、ひあっ、ああああ!」 「あと五秒我慢できたらやめてあげる。5,4,3……」  まるで死のカウントダウンのようだった。  でもあと少しで耐えきれる、終わるんだ……  その直前、芳香が上半身を倒して僕にしなだれかかってきた。 ふにゅっ 「うくうううううううううううーーーーーーーーーー!?」  柔らかい胸が形を変えて僕の胸に押しあてられる。  それと同時に彼女の顔が僕の真横に来て、ほっぺた同士が触れ合って――、 「我慢できちゃいそうですね。そういうところ好きですよ、センパイ」 「あああっ!」  好きと言われて胸が高鳴る。それを感じ取ったのか、彼女がクスッと笑う。 「好き好きスキスキスキスキスキスキ……ふふ、健気ですね。私がそんなに都合よく我慢させるわけないじゃないですかぁ♪」 「あ、あああ、だめだ、そんなのいわれたらああああ!!」  全身がわななく。せっかく我慢していたものがボロボロに崩されていく。  膣内の締め付けが少し緩んで、同時に軽く腰が打ち付けられたのがトリガーになった。 「さあ、私の言葉でイって……大好きなセ・ン・パ・イ♪」 「うあっ、ああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 ビュクウウウウウウッ、ドピュドピュドピュウウウウ!!!  直接的な刺激もさることながら、ささやきでイかされた……  これが勝負だとわかっていた。  起死回生のチャンスだとわかっていた。  しかし、可愛らしい見た目の後輩が最後の最後で本当に可愛く思えてしまったのだ。 「あーはははは! はい、センパイの負けです~!」 「ゼェ、ゼェ、こんなことが……」  信じられないと言った表情の僕を正面から見つめながら彼女が続ける。 「もう敗北で心が折れただけじゃなくて、私の魅力でドロドロに溶かされちゃってるんですよ。わからないですか」  芳香は諭すように語りながらゆっくりと腰で円を描くと、膣内で捕獲したままのペニスを優しく抱きしめた。 (ああああぁぁぁ……)  じわりと広がる幸福感は、彼女の言葉の正しさを表していた。  全身が蕩けてしまいそうな瞬間がいつまでも続いている。  年下の女子に負けて悔しいはずなのに、反撃する気持ちになれない。 「センパイは私に負けるのが好きなマゾ男子になんです。だからくすぐられたり甘く囁かれるだけで射精できるようになってるの」 「そんな……」  くすぐりもささやきも、全て芳香の仕込んだ罠だった。  男として完全に負けた僕の顔にそっと手のひらを当てて彼女は微笑む。 「壊れるまでサンドバッグにしてあげますよ。かわいい奴隷クン♪」  その言葉を聞き終えた瞬間、僕はもう一度射精してしまった。 (了)